May 20, 2023

ピッチングをマスターする【パート1】

 

アメリカの'Golf Magazine'誌が過去に出版したショートゲームの本からピッチングの骨子を抜き出してみました。

[pitching]

'The Golf Magazine: Short Game Handbook'
by Peter Morrice and the editors of Golf Magazine (The Lyons Press, 2000, $14.95)

「・チップとピッチの違い

寄せの全行程(飛行+ラン)で飛行部分が1/3以内のショットはチップ、飛行部分が1/3かそれ以上のショットがピッチである。【編註;飛行がランと同じかそれ以上のショットがピッチという意味】

・ピッチングの前提

ゴルフコースがよく整備され、充分灌水されるようになり、グリーンでボールを停めることが出来るようになってピッチングに人気が出た。しかし、ロフトの多いクラブはリスクが大きいものだ。

基本のピッチングは満足出来るライと、チッピングよりも長く複雑なスウィングが不可欠である。スウィングの要素が増えれば増えるほど、許容範囲が狭くなるので結果が悪くなる恐れが増大する。ロフトの多いクラブがリスキーである理由だ。

だから、ピッチングは必要悪だと思うべきである、グリーン周りでチップでは軌道が低過ぎたりランが多過ぎたりする状況が訪れた場合がピッチングの出番である。

覚えておくべきことは、ロフトが増すにつれスウィングも大きくしなければならないということだ。スウィングのエネルギーはボールを上方と前方とに送り出すが、上げる力が強いと推進力を弱めるため、距離が減ってしまう。

ロフトが増えるとランが減るということも忘れてはならない。地面に急角度に下降するためランが減る。だから、高いボールを打つということはカップの近くまでキャリーで運ぶということなので、もしミスすればグリーンの向こうのトラブルに突入することになる。

・ピッチングの準備

ピッチングにとって最重要なのはライである。ピッチングはチッピングよりもダウンブローに打たねばならないので、ボール後方の草が邪魔する度合いも増す。

グリーンまで歩いてどこにボールを着地させるか、ピンのどちらの方向からパットしたいか、自問自答し着地点を定める。

・ピッチングの心構え

ロフトの多いクラブを用いる目的は二つ、1) ハザードを越える、2) ボールを素早く停める…であるが、多分あなたはこれらの二つに自信がないかも知れない。不安は筋肉を緊張させ、手首を固くし、テンポを早めてしまう。

グリップの緊張は手首・腕・そして肩へと伝染するため、それらが自然に動くことを妨げてしまう。緊張の副産物は予期せぬスウィング速度だ。もし、アドレスでクラブ・ハンドルを強く締め付けたら、ひったくるようにボールからクラブを遠ざけてバックスウィングし、強打するようなダウンスウィングをすることだろう。

緊張はまた手首と肩の動きの幅を減少させてしまうので、ダウンスウィングでの打つ強さ(スピード)を生むことを手と腕に強制する。こうしたパワー製造は手・腕の筋肉の完璧なタイミング次第なので全く当てにならない。アドレスでグリップをソフトにし、それをスウィングの間じゅう維持することによって手・腕によるアクションを弱めるべきである。

アマチュアの多くは、ボールを宙に浮かべる短いショットの能力を信じていない。アマチュアはボールを空中に上げるクラブ・デザインも、それを使う自身の能力も信ぜず、ヒッティング・ゾーンでボールを上げるために急速に手首を返したりする。これはムラのあるプレイへの招待状である。

ピッチ巧者になるためには、常にリラックスし、成果に関して自信を持つべきである。

・クラブ選択

どのクラブを用いるかはあなた次第だ。ロフトが多いクラブはハザードを楽に越えられるが、ロフトの多いクラブで距離を得ようとすると長いスウィングをせねばならず、失敗するもリスク増大する。

ピッチングのボール位置

ボール位置は両踵の中間。両手を僅かにターゲットに傾ける(ハンド・ファースト)。これがヒットダウンのスウィングをお膳立てする。

・体重

アドレス時の体重は左右の足に均等。ピッチングはスケールこそ小さいがフル・スウィングと変わらない体重移動をする。

・スタンス

両踵間を25~30センチ開く。スクウェア・スタンスは最も簡単だが、ややオープンにしたスタンスはダウンスウィングを容易にする。両方試すべきである。

・グリップ

クラブを短く持たないこと。短く持つとクラブ自体を軽くしてしまうため、パワーが減ってしまう。それを相殺するには長く早いスウィングをしなくてはならなくなる。

クラブをフルに握るとクラブヘッドの重みを感じることが出来、ダウンスウィングで手首のコックをほどき、両手の打つアクション抜きでボールの下をスライドさせることが出来る。

【パート2に続く】

【おことわり】画像はhttps://dxbhsrqyrr690.cloudfront.net/にリンクして表示させて頂いています。

(May 20, 2023)

座頭市症候群

 

[impact]

ボールの行方を早期に見送るlook up(=ヘッドアップ)とは違います。打つ瞬間に目を閉じるようなミスです。まるで座頭市がゴルフしているような塩梅。座頭市も相手が人間なら斬れるかも知れませんが、小さなゴルフ・ボールを斬るのは難しいでしょう。仲良しの上級者に恥を忍んで聞いてみたのですが、なんと「オレも時々同じ症状が出る」ということで、何の助けにもなりませんでした。

そこで思い出したのが「一意専心」(tips_18.html)という記事です。これはスポーツ心理学者Dr. Tom Dorsel(トム・ドーセル博士)が普段79前後で廻っていた際に、「クラブヘッドがボールを通過する様(さま)を見る」という集中実験を行ったところ、76という自己新記録を出したというリポートでした。

ここで注目すべきは「ボールを見る」ではないことです。われわれはボールを見ているようでも、実際にはぼやっと焦点の定まらない目で見ていることが多く、本当にボールを見ているとは云えないことがあります。それに抗するため、以前「ディンプルを見よ」というtipを考案したことがあるのですが、現在使用中のCallaway Supersoft(つや消し仕上げ)はディンプルがハッキリしないので、これは使えません。

単に「ボールを見る」のではなく「インパクトの瞬間を見る」ように集中すれば座頭市症候群から脱却出来るかも知れないと思いました。

その後、私は一打毎に「インパクトを見よ!」と呟きながら打つようにしました。これは役に立ちます。しかし、先ず一回ミスを犯してからこの文句を思い出して真剣になるというパターンなので、紛れもなくドジですが(^^;;。

【おことわり】画像はhttps://www.liveabout.com/にリンクして表示させて頂いています。

(May 20, 2023)



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