March 01, 2023

新・頭の研究【パート3】

 

[Bobby's head]

頭を動かさないスウィングの研究、その後の進化です。

「Bobby Jonesをモデルにするなんて古いし、かっこ悪い」と思われる方はこの記事を飛ばして下さい。確かに彼はヒッコリー・シャフト、パーシモン・ヘッドの時代に活躍した人ですから古いのは間違いありません。しかし、いまや骨董品のそういう道具で彼が当時前人未到の偉業を達成したのも事実です(彼は必要と思えば300ヤード飛ばせました)。彼は身長体重もわれわれに近いし、そのスウィングは自然で堅実であり、優雅であるとさえ云われ、われわれが模範とするに足るメソッドだと思います。

・準備1) 頭を動かさない第一の要件は、スウェイしないことです。そのために、スウィングを始める前に右膝を左に押し込んでおきます。ストッパーの役目です。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)もそのようにしていると彼の本に書いています。私は、後で右足体重にする時のために、右足の拇指球を意識します。

・準備2) バックスウィングの捻転を始めると左肩が顎を押すため、頭が右に動きがち。それを避けるため顎を上げてアドレスし、後で左肩が顎の下にすっぽり納まるように準備をしておく。

・バックスウィング1) テイクアウェイ開始と同時に左踵を上げる。スウェイしないように右足の拇指球で踏ん張る。

・バックスウィング2) 左膝をボールに方向に押し進めると同時に背骨を軸として身体を捻転する。左足は拇指球で立つ。

[line]

Bobby Jonesはスタンスが狭く、しかも上半身も下半身も大きく右に捻転させます。左膝はボールの40センチぐらい後ろまで移動させます。よく見ると、彼のトップでは顎・左肩・左膝が垂直に一線に並んでいます(左図)。「これが秘訣だ!」と思って真似しようとしましたが、Bobby Jonesのように大幅に左膝を右に動かすと頭も右に動いてしまいます。断念しました。左膝を右へではなくボールに向かって動かせば頭は動きません。左膝をボールに向かって押すだけに留め、背骨を回転軸として捻転することだけ考えれば、頭を動かさずに済みます。

Bobby Jones風バックスウィングは物理的にはリヴァース・ピヴォットではないのですが、これまで頭を野放図に水平移動していたゴルファー(私)にとっては感覚的にはリヴァース・ピヴォットめいた動作に思えます。目立つような体重移動がないからです。「これでいいのだろうか?」と不安になります。

往年のツァー・プロCary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)の言を読んで納得出来ました。「Bobby Jonesのようなスウィンガーにとって体重移動は必要なかっただろう。彼はバックスウィングで横移動の徴候など見せずに、単に身体を捻転している」

[Ko's head]

'Bobby Jones on Golf'という本で、 'Bobby Jones自身が「バックスウィングの間に体重を後方に移さねばならないという論は信じ難い。アドレス時に充分にボールの後ろに立っているなら、その必要がないことは確かである」と云っています。必要なのは捻転・逆転のエネルギーだけだということです。これらによって、「体重移動はない」と私が感じたことが正しかったことが判りました。

Bobby Jonesはまた「ボールと左目を含んだ壁が立っていると想像し、ダウンスウィングでその壁にぶち当たらないようにする」というイメージを紹介しています。これを実行すれば、インパクト・ゾーンで身体が左にスライドすることを防げます。

右の写真はLPGAのLydia Ko(リディア・コゥ)のアドレスとインパクトを合成したもので、薄いイメージがアドレス、濃いイメージがインパクトです。インパクトで彼女の頭は10数センチ下がってはいますが、左右には全く動いていません。見事です。

Byron Nelson(バイロン・ネルスン)は「インパクトでの理想的ポジションは、顎が右膝の上に位置することだ」と云ったそうです。先月、まさに「顎が右膝の上のインパクト」でパー5のピン1.5メートルに3オンさせる正確なショットでバーディを得たのですが、その時は頭を残したベストのスウィングが出来ていたのでしょう。顎が右膝の上だとしても、頭と上体が一緒に左へスライドしたのでは正しいインパクトにはなりません。やはり不動の頭が大前提です。

上の手順をマスターしようとしていますが、ラウンドではつい顎を上げるのを忘れます。それと、どうしてもバックスウィングで頭も身体も右に動きがちになります。そうしないとパワーが生じないとでも云うかのように…。長年そうやってゴルフして来たんですから一朝一夕に変えられないわけです。しかし、上の手順を落ち着いて(ゆっくり)遂行するとうっとりするほど真っ直ぐな軌道のボールが打てます。もちろん、ダウンスウィングを下半身主導で始めないといけません。頭を残しても手打ちではいいショットにはならないのです。

一々頭で考えなくても自然に上の手順を実行出来るようにしたいものです。

【参考】
・「Ernie Els(アーニィ・エルス)の顎を上げてアドレスせよ」(tips_80.html)
・「Tiger Woods(タイガー・ウッズ)の顎」(tips_151.html)

(March 01, 2023)

愚かなミスを数える

 

私は毎回ラウンドのパット総数を数えていますし、過去にワン・ラウンドでいくついいショットが出来るかを数えたこともありましたが、新しい試みとして"stupid mistakes"(愚かなミス)の数を集計してみることにしました。

「愚かなミス」とは、9番アイアンと6番を間違えたとか(時々やるんですorz)、ボールを見ないで打ってダフったりトップしたりとか、シャンクやバンカーからのホームランなどです。これらは上の空でプレイするのでなく、注意深く真剣にプレイすれば防げることです。

最近のラウンドは終了してもスコアを勘定する気にならないほどの体たらくですが、その原因は上のような愚かなミスの多さによるものです。最近、「頭を動かさない」「フラット目のスウィング」に集中しているので、それを完璧に遂行しようとするプレッシャーのせいもあるでしょうし、そういうスウィングによるいい結果への期待が大き過ぎるせいもあるでしょうが、なんせミスが多過ぎるのです。それらを一つでも減らさなくてはなりません。

ある日のラウンド、愚かなミスを数えたら何と16に達しましたorz。その中には3パットが二つ入っています。ショットのミスの原因の最たるものは「インパクトでボールを見ていない」というもの(結果はトップしてゴロ)。頭を動かさないことに汲々としていても、肝心のボールを見ないで上の空で打っているんです。愚かなゴルファーの博物館があるなら私の身体を標本として寄贈したいくらい^^。

次のラウンドでは愚かなミスは11個、そのまた次のラウンドでは10個になりました。このラウンドでは二回のシャンクがありました。お恥ずかしい。

 

当サイトで「シャンク」関連を調べると、私のケースに該当しそうなのはインパクトで身体が沈み込み、クラブの付け根で打つためのようでした。左右の動きだけ警戒して「頭を動かさない」努力をしていたのですが、上下の動きを見過ごしていたようです。

次のラウンド、シャンクは無くなりましたが、「愚かなミス」は11個で前に戻ってしまいました。しかし、先月に続いてまたパー4のホールでイーグルを達成しました(次項参照)。

次のラウンドとその次のラウンドで「愚かなミス」を六個に減らすことが出来ました。これを五個以内に減らすのが今後の目標です。

(March 01, 2023)

またもやパー4でイーグル

 

[pocket]

No.3(227ヤード)パー4は私の好きなホールの一つ。最近のある日、私のティーショットはプルしてフェアウェイの左へ。ピンまでは9番アイアンが妥当と判断した私は、「今度はプルしないぞ」と決意。ふっと、あるtipを思い出しました。それは、《インパクト直前まで右肘がズボンの右ポケットを越えないダウンスウィング》というものでした。

「正確無比なショットの秘訣」(tips_185.html)に詳述してありますが、これは多くのトップ・プロに共通する特徴です。私はプルを警戒するスウィングとして、このtipを用いることにしたのです。

9番アイアンによる第二打はまっすぐピンに向かい、ピンに向かって転がり、やがて消え去りました。「グリーンオーヴァーか?」と思ってグリーン後方を探しましたが、見つかりません。「ひょっとして?」とカップを覗き込んだら、私のボールがちょこんと底に隠れていました。愛(う)い奴。

この《右肘がズボンの右ポケットを越えないダウンスウィング》は、簡単に云えば左膝・左腰を目一杯先行させた下半身主導のダウンスウィングに他なりません。下半身が先行し、両手・両腕が追随する時、クラブフェースが完全にスクウェアになるのです。

ま、イーグルはまぐれとしても、上のtipがストレートなボールを約束してくれることは間違いありません。


(March 01, 2023)

全てのパットはストレートである

 

スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)執筆のメンタルtips集より。

'Golf: The Art of the Mental Game'
by Dr. Joseph Parent (Universe, 2009, $24.95)

「私は常々『全てのパットはストレートである』と教える。それは文字通りの意味ではないものの、スタートにおいては誰しもどのパットもストレートであるかのようにストロークする筈だ。

ラインにパターフェースを垂直に構えて狙ってストレートにストロークする。これがパットをムラのないものにするのであって、ブレイク(曲がり)を処理するためにボールをプッシュしたりプルしたりは絶対にしない。ストロークで変動する唯一の要素はストロークの幅だけである。

全てをストレートにパットするというポイントは、ブレイクを見込んで狙いを定めたら、後は引力とグリーンの傾斜がボールをカップに向かって送り届けるがままにするということだ。

パットしてどうなったかを見、その結果から未来のパットを読むことを学ぶ。だが、常にストレートにストロークすべきだということが解るだろう」

 

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左にブレイクする短いパットだと、カップの上数センチに中間目標を定めたとしても、無意識にパターを左(カップ方向)に押したくなります。何しろ、カップが目の隅に見えてるんですから本能的にそうしたくなるわけです。しかし、これは真っ直ぐ左へプルするだけの結果となります。

われわれは中間目標にストレートに打つしかないのです。パターフェースでスライスやフックを生じさせることは出来ません(不可能ではないが、かなりの修練が必要でしょう)。ペアレント博士が云うように、われわれは中間目標に真っ直ぐ打つと考えるべきなのです。ボールをカーヴさせるのはグリーンの勾配と芝目です。人間が舵を取ってはいけません。

(March 01, 2023)



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