June 20, 2023

パットのショート病との訣別

 

ここのところ、方向性はいいのですがもう一転がりでバーディ失敗とか、15センチほどショートしてボギーなどという口惜しいケースが連続していました。なんとかこの阿呆らしいミスを無くせないものかと手持ちの蔵書を当たりましたが、「歩測で距離感を得る」「ボールを投げて距離感を掴む」なんてものばかりで即効で役に立つものが見つかりません。

パターを短めに持つからいけないんだろうかと思いました。私のパターは34インチで最初から短いのです。それをさらに短く持ったのでは加速しないのかも知れません。そこでパターを目一杯長く持って打ってみました。 駄目です。全然変わりません。

ショート・ゲーム専門インストラクターDave Pelz(デイヴ・ペルツ)が次のように云っていたのを思い出しました。

'Putt Like the Pros'
by Dave Pelz with Nick Mastroni (HarperPerennial, 1989, $13.50)

「私のリサーチで判明したことだが、パットを沈めるための最適の強さはカップを17インチ(約43 cm)通過するスピードである(ミスもあり得るが入る確率が最高)。17インチというのはパットの長さに関わらない。1メートルであろうが、30メートルであろうが同じ。これは上り、下りのラインにも影響されない」

【編註】ただし、芝の種類によっては調整が必要で、アメリカ南部の強(こわ)いバミューダ芝では50センチ、北部のベント芝では25~38センチが適切だそうです。

なぜ17(約43 cm)インチか?の理由の一つは、これまたDave Pelzの発見ですが、カップの周りは誰もがボールを拾い上げるために近寄った踏み跡で凹んでいる。しかし、カップの直近6インチ(15センチ)は注意深く誰も踏まないので盛り上がっていて、全体としてlumpy donut(凸凹のドーナツ)状になっている。ストロークが弱かったというよりその凸凹に妨げられてショートしてしまう確率が高い。カップを17インチ通過する強さは、その凸凹を乗り越えるエネルギーを持っている…というわけです。

 

ここで普通は「では、カップの40センチ向こうを狙おう」となるところですが、私にはそれは難しいと思われました。手前に本物のカップが見えるのに、それを無視して40センチ向こうに仮想のカップを視覚化するというのは至難の業です。また、上り・下りの傾斜によって40センチは短く見えたり長く見えたりもします。

[40 cm]

そこでコペルニクス的転回。ボールから40センチ後方に下がり、そこからカップを見つめながら何度か素振りをし、距離感を脳と手・腕に覚え込ませます。これだと実際のカップが目標なので無理に幻のカップを視覚化する必要もなくシンプルです。そして自然に40センチ多めの距離感で打てます。この方が私に向いていると思われました。

ただし、常に40センチ分オーヴァー目の結果を得るには、急な下りなら10センチ減らし、急な上りなら10セン増やすなど、臨機応変に対応しないと強過ぎたり弱過ぎたりする筈です。これはグリーンの勾配を感じ取る勘を土台にするしかありません。

私がプレイしている市営ゴルフ場はバミューダ芝の一種で強(こわ)いので、Dave Pelzの言を信ずればボールから40センチではなく50センチ遠ざかって素振りしなければいけません。

この手法は朝露に覆われ凄く遅くなったグリーンを克服するためにも使えます。地面が濡れているから強く打とうという変更は、振り子運動の自然なリズムを壊してしまうので避けるべきです。芝が濡れて重い分40センチ(ラインの長さによってはもっと)後方に下がって素振りし、長い距離を打つつもりになればいつもと同じリズムとテンポで打てます。

なお、朝露はボールの転がる速度を遅くしますが、乾いたコンディションよりブレイク(曲がり)の程度を少なくします。

【参考】
・「ホールはゴールではない」(tips_46.html)
・「パットのショート病にはボールとの距離を確認せよ」(tips_167.html)
・「パットの慢性ショート病対策」(tips_171.html)
・「パットのショート病への妙薬」(tips_193.html)
・「ロング・パットを確実に寄せる方法」(tips_193.html)

(June 20, 2023)

ティーアップの研究(2023年版)

 

[tee up]

六年前までは8.3センチのティーを使い、ボール後方15センチでドライヴァーを構えて打っていました。この当時、痩せぎすの平均的日本人体型の私からは信じられない飛距離を放ってアメリカ人たちを驚かせてていました。

しかし、たまにですがとんでもない天ぷらを出すことがありました。「飛ばそう!」という意識がダウンスウィングで身体をターゲット方向にスライドさせてしまうせいでした。ラウンドに一回か二回とはいえ、盛大な天ぷらを出すのは恥ずかしいので、涙を飲んで7センチのティー使用に変更しました。

現在の私は「新・頭の研究」によって頭を動かさないスウィングを身に着けたわけですから、天ぷらの恐れなく8.3センチのティーを使えるのではないか?と考えました。

7センチのティーにした時の研究では、ドライヴァーを実際のボールの27センチ後方で構え(クラブフェースの位置は丁度胸骨の真下になる)、図の青丸をスウィング弧の最低点として見つめながらスウィングするといい飛距離が得られました(アイ=ハンド・コーディネーション)。本当のボールを見ちゃうとアッパーに打てないので、青丸地点を見続けなければいけません。

8.3センチのティーを復活させたらどれだけボール後方でドライヴァーを構えればいいのか?以前飛んでいた時のように15センチ後方に戻すべきか?8.3センチと7センチの差は1.3センチなので、28.3センチ離してアドレスすべきか?

[28cm]

試してみました。15センチ後方だと7センチのティーの時の飛距離と変わらず、しかも方向が乱れました。スウィートスポットで打ててない証拠です。28センチ後方にすると飛距離も10~15ヤード伸び、方向もよくなってボールがほぼ狙ったところにまとまりました。驚喜するような飛距離増ではありませんが、たかが1センチの差ですからこんなもんだろうと思いました。

ボールの28センチ後方でアドレスするにはどうするか?私には便利な物差しがあります。手を地面に向けて伸ばし、人差し指をボールの真上に当て、力まずに小指を広げたところにクラブフェースが来るようにすると27センチでした。指を目一杯広げると28センチになります。これは毎回やる必要はなく、二、三回のラウンドで28センチ幅の間隔に慣れますので、いちいち指で測る必要はなくなります。

長いティーにして数日後、No.16(200ヤード、パー4)で、ティーショットをグリーン手前のガードバンカーに入れてしまいました。このホールは上り坂なので、ピンまで実質210ヤードはあると思われます。昔はともかく、最近このバンカーに入れるなんてことは全くありませんでしたから、砂遊びは嫌だけど飛距離増には満足しました。

その数日後のラウンド、同じNo.16のティーショットはバンカーを避けてグリーンの左横を狙ったのですが、思惑通りグリーンの真横に到達しました(ピンハイ)。

これらは長いティーとジムでの筋トレとの相乗効果であろうと思っています。

(June 20, 2023)



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