June 10, 2023
●チッピングとピッチングの違い
アメリカの'Golf Magazine'誌が過去に出版したショートゲームの本のチッピングとピッチングの違いを比較してみました。詳細説明は「チッピングをマスターする」(05/10)、「ピッチングをマスターする」【パート1】(05/20)および「ピッチングをマスターする」【パート2】(05/30)を御覧ください。
これらは私のゲームを飛躍的に向上させてくれています。
'The Golf Magazine: Short Game Handbook'
by Peter Morrice and the editors of Golf Magazine (The Lyons Press, 2000, $14.95)
チッピング | ピッチング | |
---|---|---|
前提 | 飛行1/3以内:ラン2/3以上。チップ出来るなら常に(ピッチでなく)チップせよ(その方が安全である) | 飛行1/3以上:ラン2/3以内。ターゲットとの間にラフやバンカーがある場合に限定せよ(リスクが大きい) |
準備 | 着地点はグリーンエッジから約1メートルの地点 | どちらの方向からパットしたいかで着地点を決める |
心構え | リズムとタイミングが最重要 | クラブのロフトを信じヒットダウン。無理にボールを上げようとしない(手を返したりしないこと) |
クラブ選択 | 好みで、1) SW~5番アイアン、あるいは2) どれか一本 | ロフトの多いクラブ |
ボール位置 | 右足甲の前方【註】 | スタンス中央 |
体重 | 左足 | 左右の足に均等 |
スタンス | 両踵間を15~20センチ開く【狭め】 | 両踵間を25~30センチ開く【広め】 |
グリップ | グリップダウンし、コントロールをよくする | パワーが必要なので短く持ってはならない |
フェースの狙い方 | クラブのリーディングエッジをターゲットにスクウェアにする | スタンスがスクウェアかオープンかによって異なる |
バックスウィング | 両腕と肩の三角形をワンピースで維持しながらスウィング | バックスウィング開始と同時にコックし、クラブヘッドのトゥが空を指すようにする。パワーを生むため捻転と体重移動をする |
打ち方の基本 | スウィング弧の最低点が地面に達する前にボールと接触する(打ち上げるのではない) | ボールが地面と接触する地点を狙ってクラブを下降させながら打つ(掬い打ちしないこと) |
グリップ圧 | ゆるめ | ゆるめ |
体重移動 | 終始左足にかけ、移動させない | 僅かに体重移動させる |
腕・肩・胴体の回転 | 全てを一体化して一緒に動かす | パワーを生むため身体のフル回転と若干の体重移動をする |
コック | 意識的なコックはしないが、自然にコックするなら無理に止めない | ボールを上げるパワーが必要なので、バックスウィング開始と同時にコックする |
ダウンスウィング | 両腕・肩で出来る三角形をターゲットに向ける | 身体全体を回転させながら左腕を一直線にし、クラブヘッドのソールをボールと地面との接点に向かわせる |
フィニッシュ | クラブヘッドは向こう脛の高さ、上体は半分ターゲット方向に向く | ベルトバックルと胸はターゲットを向く |
【註】原著のチッピングの説明に"instep of right foot"とある表現の直訳です。"instep"は「甲」です。どういう意味なのか不可解でしたが、あるYoutubeヴィデオを見てやっと解りました。
あるインストラクターが写真のようなチッピング・アドレスを見せていたのです。このボール位置はまさしく右足甲の前方です。極端なインストラクターには右踵の前方と教える人もいるそうです。
練習で右爪先の前方とこの「右足甲の前方」のボール位置でチッピングし、双方を比較してみました。右爪先の前方だとつい掬い打ちしてしまい、狙ったよりも距離をショートします。右足甲の前方をボール位置とし、ダウンブローに打てば予定した距離を打てます。
ゴルファー個々のスウィングの傾向と結果(着地点)から逆算したボール位置を採用すべきでしょう。
(June 10, 2023)
●「チッピングとピッチングの違い」で学んだこと
下記アメリカの'Golf Magazine'誌の本のチッピングとピッチングの違いを比較しての感想です。
'The Golf Magazine: Short Game Handbook' 私は10ヤードから50ヤードまでロブウェッジ(60°)一本で処理していて、これはチップだとかこれはピッチだなどと考えていませんでした。 今回、この記事を読んで思い当たったのは、私の場合クラブは同じですが30ヤードまではチップ、それ以上はピッチであるということです。なぜなら、10~30ヤードまではスウィングも低く、ボールも低い軌道で飛び、ランの割合が多い(飛行:ランの比率は2:1ぐらい)。しかし、40ヤードから上は3/4スウィングをし、高く上がって飛行の割合が長くなります。 全部同じだと考えていたのでスタンス、ボール位置、コックの有無、打ち方…などを変えようと思っていませんでした。確かにこの本の著者が云う通り、同一スウィングで処理すると短い距離だと飛び過ぎたり、長い距離だとショートするというミスがあったことは否めません。 今回学んだ最大のものは《ピッチングは前進するパワーだけでなく高く上がるパワーも必要》という事実です。うっすらとは感じていましたが、云われてみて初めて「なるほど!」と思わされました。推進力と飛翔力の二つを同時に満足させるには、頭をボールの上に残し(見送らない)バシッというかなり思い切ったスウィングが必要です。そして高~く上がったボールが2バウンドぐらいで停止するのを見るのは快感です(プロのように戻って来たりはしませんが^^)。私の60°ウェッジを用いるショートゲームは全てピッチングに近いと云えます。多くの場合1ピン以内の距離に寄せて停めるショットを志向(期待)しているからです。上の本の筆者は「リスクが大きいピッチよりチップが安全」と説いていますが、私はここ数十年ピッチ一筋でやって来たようなものですから恐いとは思いません。 今回この記事を読んでピッチングにはコックと身体の捻転が必須であることを知りました。30ヤード以内はコックせずにバックスウィングしますが、30ヤードを越えるとコックします。 距離コントロールの公式が見つかった暁には、この場で報告する予定です。 |
(June 10, 2023)
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