July 05, 2023
●チッピングべからず集
ゴルフの百科全書ともいうべき本の「チッピング」の項に、「チッピングをマスターする」(05/10)には書かれていなかった注意事項の数々を見つけました。「チッピングをマスターする」と矛盾する点は一つもありませんので、両方を身につければ完璧でしょう。
’Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction' 「・チッピングに不可欠なこと ボールをディセンディング・ブロー(下降するショット)で打つこと。多くのゴルファーはボールを上昇させようとして、ボールの後ろの地面を打ってショートさせてしまう。これでは長いパット残してしまうので落第である。 ・グリップ 多くのゴルファーはフル・スウィングのグリップやパッティング・グリップを採用する。それが好みなら仕方がないが、ディセンディング・ブローで打つために次のグリップを推奨する。右手はフィンガーで握り、左手はパームで握る。そしてシャフトに近いくらいクラブを短く持つ。こうすればアップライトな構えで自然にディセンディング・ブローが達成出来る。 手首がギプスで覆われているように考え、手首を殺し、打ち上げようという誘惑を退けること。 ・ポスチャー 出来るだけボールに近く立ち、伸びた姿勢。パッティングのように目はボールの真上。腕は肩から自然にぶら下がり、リラックスしていること。 |
左右の踵を6インチ(約15センチ)開いた狭いスタンスで、主に左足体重。
クラブを地面と水平にして構えないこと。水平にするとクラブを左右に動かす際に草が邪魔をするため手首を使ったスウィングになり易い。僅かにトゥが地面に触れる程度にする。こうするとシャフトはパターのように垂直に近くなるので手首の動きを殺し、腕と肩によるスムーズなスウィングが可能になる。
クラブフェースはターゲットにスクウェアに構える。そうしないとサイドスピンを生じる。
ボール位置は右くるぶしの後ろ。もしボールが長い草の間にある時は、さらに後方にする。
・スウィング
急いで短いスウィングをしてはならない。加速させカッチリしたダウンスウィングを行うには、充分長いバックスウィングが必要だ。
チップ名人たちの誰もが、手をボールの前(ターゲット側)に傾げる。これは下降気味にボールを捉え、手首を殺し続け、クラブヘッドを加速させる方法である。
主に腕による動作ではあるが、ダウンスウィングの加速による反応として膝も僅かに動く。しかし、それは穏やかな動きであるべきで、大げさに動かさないこと。
確実に加速させるため、フォロースルーはバックスウィングより長くなければならない。
・戦略
カップは究極の目的ではあるのだが、チッピングにおいてはカップを目標にしてはならない。カップではなく着地点を目標にする。グリーンエッジに近いギリギリの着地点などではなく、グリーン上の1メートル範囲の大まかな着地点を目標にすれば、心理的にも楽である。
・芝目
多くのゴルファーが見落とすのは芝がどちらに向かって伸びているかということだ。芝目はボールが転がる速度と方向に影響を与える。北部アメリカのベント・グラスなら心配することはないが、南部や西部のバミューダ・グラスは影響が顕著である。
逆目に向かってチップするとランを減少させブレイク幅を増す。ロフトの少ないクラブを選び、低めの軌道で通常より強めに打つ。
順目の場合、ボールは早く転がりブレイクも最少になる。ロフトの多いクラブを選び、高めの軌道でソフトに着地させる。
・ピンを抜くか抜かないか
ピンを抜かない方が抜いた場合より33%も成功率が高いというテスト結果がある。チップインしないまでも、ピンに当たればボールのスピードを落とすことが出来る。
・非常に短いチップ
ボールがグリーンエッジにありピンは1メートル以内だが、ライが悪くパット出来ない場合。ウェッジのシャフト部分を握るほどかなり短く持ち、通常のチップ・ショットを行う。短く持つことはパワーを殺すので、オーヴァーする心配をしなくていい。ただし、短く持つとクラブフェースをクローズにしがちので、しっかりしたグリップで若干右を狙うこと」
私にとってのチッピングの遵守事項は以下のようなものです。
・グリーンが平らならロブ・ウェッジ(60°)、受けていればサンドウェッジ(56°)を使う。
・必ず左肩をピンに向ける。
・必ずビシッと打つ(軽く穏やかに打とうなどと思ってはいけない)。
・必ず低いフォロースルーをする(打ち上げると距離が減ってしまう)。
【参考】
・「チップする時、左右どちらの目でボールを見るべきか?」(tips_141.html)
・「簡単なパットを残すようにチップせよ」(tips_179.html)
・「チップインのコツ」(tips_185.html)
・「チッピング・シャンクの撲滅」(tips_193.html)
(July 05, 2023)
●レフトハンド・ローのチッピング・グリップ
クロスハンデドとも呼ばれるこのグリップは、パッティングに用いられて右手を殺し左手・腕のコントロールによって良い方向性が得られるので一般的になりました。
このグリップをチッピングに使うというアイデアは1997年に出版された本に、インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)が生徒たちに教えたテクニックとして既に紹介されていますので、別に新しいアイデアではありません。
Jim McLeanによれば「このグリップは右手首が主導権を握って左手首を覆いながらボールを左に打ってしまうことを防いでくれる」そうです。
Matthew Fitzpatrick(マシュー・フィッツパトリック、英国、写真)は2020年頃からこのグリップを使い始め、チッピングだけでなく次第に距離を伸ばし80ヤード以内のピッチングにも使って成功しています。2022年には全米オープンに優勝しました。
Matthew Fitzpatrickは「チッピングのスタッツは、2021年に較べて100%向上した。シャンクの恐れもなくなった」と云っています。
理論的には、このグリップはチッピングに最良の選択と云えるでしょう。チッピングではバックスウィングでコックせず、両手と肩で形成される三角形を保持せよと云われますが、ライトハンド・ローだとついコックしがちになり、予期したより距離を伸ばしてしまったりします。左手主導のレフトハンド・ローならコックすることを防げます。
また、レフトハンド・ローであれば意図しなくても下降する左手甲のリードによって自然にボールを押し潰し、正しいスピンでボールを宙に浮かべてピン傍に送り届けてくれるでしょう。
しかし、全ては「理論的には」であって、一朝一夕にレフトハンド・ローによるチッピングが身につくものではありません。10~30ヤードの距離で練習してみましたが、シャンクは出るわショートはするわ…で、散々でした。猛練習しなければ、とても実戦では使えません。
【おことわり】画像はhttps://cdn.mos.cms.futurecdn.net/にリンクして表示させて頂いています。
(July 05, 2023)
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