February 09, 2023

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のダウンスウィングの方法【詳説】

 

[Bobby]

「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のトップの作り方【詳説】」の続きです。正しいトップの作り方をマスターしたら、次に重要なのは切り返しとダウンスウィングです。他の本で発見して驚いた秘訣が、その30年以上も前にBobby Jonesによって書かれていたことに、またまたびっくりさせられています。Bobby Jonesのセオリーはモダン・ゴルフの基本だったのです。

’Bobby Jones on Golf'
by Bobby Jones(Doubleday, 1966)

「ここまでのところは多くのゴルファーがかなりの程度達成出来るが、次のステップで躓いてしまうのが常である。

ボールを強打する準備が出来た時、抵抗出来ない衝動が右手に過度の自由を与えてしまう。常に監視を怠るべきでない暴力団のようなその右手は、クラブを右肩から離しターゲットラインのアウトサイドから身体の前に向かって鞭のように振り下ろされる。ボールに接触するクラブフェースがオープンかクローズかによって、結果はゴロかひどいスライスとなる。稀にまともなショットが生じたとしたら、それは何かの間違いとみなすべきである。

[Hogan]

正しいダウンスウィングの開始は、シャフトのグリップエンドが指している方向へ向かう。トップでのクラブヘッドはターゲットのやや右を向いているのだから、グリップエンドはボールへと向かう縦の軌道からかなり離れているはずだ。言葉を変えれば、ダウンスウィングの開始でクラブヘッドはボールに向かう軌道の遥か下方に落下せねばならない。

【編註】Ben Hogan(ベン・ホーガン、写真)のダウンスウィングは、まさにグリップエンドが指している方(後方)に向かっています。コックを緩めず、逆にさらにコックを強めている結果でもあります。

次の動作は重要である。右肘を急速に身体の右脇に落下させるのだ(Bobby Jonesの写真の赤矢印)。こうすることで、クラブフェースでスクウェアにボールを打てる用意が完了したコンパクトな位置が得られる。アウトサイド・インで打つ恐れは皆無となる。

トップまでに目一杯コックする人、少な目にコックする人…様々であるが、どちらであってもダウンスウィングの最初にそのコックをほどいてはならない。多くのゴルファーがかなり急速にコックの角度を開いてしまい、インパクトの瞬間にパワーはほとんど残っていない。左手とクラブシャフトが一線になってしまったら、折角コックした効果は雲散霧消してしまう」


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Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)は「ダウンスウィングはのろのろと始めよ」と云っているのですが、彼はslowly(ゆっくり)ではなくleisurely(のろのろと)と言葉を選んでいます。われわれはトップに達するや否や、アンテロープを餌食にしようとするライオンのようにボールに向かって突進します。しかし、アンテロープは必死で逃げるもののボールは逃げないのですから躍りかかる必要は全くありません。電車がゆっくり発進し次第に速度を増すようにじわじわとインパクトに向かうべきなのです。どっちみちインパクトでは遠心力によってコックはほどかれるのですから焦る必要はありません。早期にコックをほどくのは早漏と同じです。必死で堪(こら)えなくてはなりません^^。

J「そんなことを云われても、どうやってコックを維持したらいいか解らない」ですって? 右肘を身体の右脇にくっつければ自然にコックが維持出来るのです。「そんなことをして、ヘッドがボールに当たるの?」ご心配なく。遠心力の作用でインパクトで左腕はちゃんと真っ直ぐ伸びるのです。ただし、ドライヴァーの場合トゥ寄りでアドレスしていないと、ボールが真っ直ぐ飛ばない恐れがあります。【参照】「インパクトの物理学(トゥ寄りでアドレスすべき理由)」(tips_175.html)

【参考】
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)式トップの作り方【詳説】」(02.01, 2023)
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の切り返し」(tips_205.html)
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のダウンスィング」(tips_205.html)

(February 09, 2023)

クラブのトゥ寄りでボールにアドレス

 

[toe address]

新発見のBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のスウィング写真を、Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)が解説した本を購入しました。

'Classic Instruction'
by Bobby Jones and Ben Crenshaw (American Golfer and Broadway Books, 1998)

驚くべき点はいくつかあったのですが、その一つはドライヴァーのアドレスでした。Bobby Jonesはクラブヘッドのトゥからはみ出すような位置でアドレスしているのです。ここに掲載した写真はワーナー・ブラザースのDVDからのものですが、上記の本の写真ではトゥの内側に納まっているのに、こちらはほとんどヘッドの外側です。右のミドル・アイアンではトゥでアドレスしています。

なぜこんなアドレスをするのかについてBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)自身の本を探し廻りましたが見つかりませんでした。その理由を確かにどこかで読んだ気がしたのですが。

'The Methods of Golf's Masters' by Dick Aultman & Ken Bowden (The Lyons Press, 1975) という本にBobby Jonesの説明が紹介されていました。

[address]

「トゥの外側でアドレスするのは、インパクトでストレッチすることを許すよい方法だ」

正面からの写真を見るとBobby Jonesは左手を真っ直ぐに伸ばしておらず、Yの字アドレスもどきです。Jack Nicklaus(ジャック・二クラス)のような左手とクラブシャフトが一直線になる逆Kのアドレスではありません。逆Kならそれ以上左手は伸びないのでクラブフェースの真ん中でアドレス出来るのですが、Yの字のアドレスでは当然インパクト時に手・腕が真っ直ぐになるのでクラブヘッドは前に出ます。だったらヒールでアドレスすべきところです。

[toe]

私は昔から逆Kのアドレスですが、ドライヴァーではトゥ寄りでボールにアドレスします。それは「インパクトの物理学(トゥ寄りでアドレスすべき理由)」(tips_175.html)で紹介したようにデカヘッドの重心と遠心力との作用に対応するためです。

ヒッコリー・シャフトがスウィング中にねじれることは知っていましたが、その後の調べで「ねじれだけでなく”しなり”もある」ということが解りました。Bobby Jonesがトゥでアドレスしていた理由は、われわれがデカヘッドとグラファイト・シャフトのクラブをトゥ寄りでアドレスするのと同じように、しなりを相殺する予防策だったのです。

トゥ寄りでアドレスする理由について調べる中で面白い記事を見つけました。カナダのプロGeorge Knudson(ジョージ・ヌードソン)の本の一節です。彼はスティール・シャフト時代のプロです。

'The Natural Golf Swing'
by George Knudson with Lorne Rubenstein (McLelland & Stewart Ltd., 1988)

「私の若い頃、ドライヴァー・フェースの真ん中でアドレスすると、絶対に真っ直ぐにボールを打てなかった。ヒールでボールを打ってしまい、ドライヴァーのヒールの部分が欠けてしまったほどだ。私はそういう醜く短いショットにうんざりした。

ある日、私はトゥでボールを捉えようと決意した。私はトゥでアドレスし、そこでボールと接触しようと考えた。そこはスウィートスポットではなかったが、どっちみちスウィートスポットでアドレスしてもろくでもないショットにしかならなかったのだから同じことだ。何が起こったか?以前に較べればロケットのように飛ぶボールが得られた。当時、私はクラブシャフトが伸びるのだろうと思った。

後で解ったのだが、遠心力がクラブヘッドを下向きにするせいなのだ。遠心力はわれわれが自然なスウィングをするための法則の一つである。無理などしていない感じなのに、ボールが遠くへ真っ直ぐ飛ぶのを見るのは素晴らしい体験だ。遠心力は最大のスウィング弧(あるいは拡張)を生む手段でもある」

 

(February 09, 2023)

内心でのドラコンは無益である

 

スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)執筆のメンタルtips集より。

'Golf: The Art of the Mental Game'' by Dr. Joseph Parent (Universe, 2009, $24.95)

「大方のゴルファーはドラヴァーを目一杯の強さで振る。それはエゴに根ざした『誰のティー・ショットが一番飛ぶか?』という別のゲームである。

パワー・ゲームとティー・グラウンドからどれだけ遠くに飛ばせるかには、われわれを魅了する要素がある。新しい技術はパワフルなクラブを作り出している。あなたが去年売られた型を持っているなら、今年のクラブによだれを垂らしているはずだ。

どれだけ遠くに飛ばせるかはドラコンにはいいとしても、あなたのゴルフを計る尺度ではない。スコアを減らそうと思うなら正確さと確実さとがもっと重要である。

プロたちは自分の力量内でプレイすることが重要であることを知っており、多くの場合80%のスウィングをする。それがスムーズでムラのないスウィングを生み、方向性が良くソリッドに打つことを可能にするからだ。クラブフェースの真ん中を外すと、やや遅めのスウィング速度よりも飛距離を損なうものだ。

ティー・グラウンドに立ったら、あなたの能力で届く距離のフェアウェイを目標にする。それがスムーズなスウィングを生み、クラブフェースとのソリッドな接触を可能にする高い確率をもたらす。フェアウェイ・ヒット率が高まり、恐らくあなたが期待したよりも遠くに飛んでいることに気づくだろう」

 


(February 09, 2023)



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