December 20, 2023

ヒットダウンの研究

 

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のヒットダウンのコツ。

’Bobby Jones on Golf'
by Bobby Jones(Doubleday, 1966, $18.95)

「熟練したゴルファーは、ボールがティー・グラウンド上あるいはフェアウェイに理想的 な状態で横たわっている際に最長のショットを打つためには、ボールを直接打つかスウィング弧の最低点より少し前(ボールのターゲット側)を打つべきであることを知っている。

オーヴァー・スピンによってボールを宙に浮かべることが出来るというのは幻想であるが、地面と平行に動くクラブでスクウェアに、あるいは少し上昇気味に打たれたボールもバックスピンが最少の結果となる。そのように打たれたボールは弧を描いて飛び、地面に落下しても転がるエネルギーがある。こういう風に打たれたボールは向かい風の中で飛ばす場合には有効である。

[hit down]

ボールの先を打つのは一般ゴルファーには期待出来ないコントロール技術を必要とする。多くの場合、コントロールは飛距離よりも重要であり、バックスピンはボールの飛行を安定させてくれるものだ。一般ゴルファーはどのショットにおいてもコントロールすることを学ぶのに最善を尽くすべきである。とりわけ、凹んだライやダウンヒル・ライからボールを掬い打ちしたりすべきでないこと、反対にバックスピンがボールを宙に浮かべるのだということを理解すべきである。

最大の飛距離を必要とするドライヴァー・ショットやフェアウェイからの長いショットを例外として、どのショットもクラブが下降するスウィング弧を描いている時にボールと接触すべきである。下降の角度の度合いは地面を撫でるだけのウッドから、ターフを取るピッチング・クラブまで…と多様である。しかし、下降する打撃によって与えられたスピンはボールの飛行をコントロールするために必要である。

凹んだライにあるボールの下にウッドを打ち込んでボールを上げようとする努力は無惨な失敗に終わる。ゴルファーは地面を先に打つか(ダフリ)、ボールの天辺を打とうとして空振りするかどちらかである。こいう場合のショットはボールを叩きつぶすように打ち下ろし、スピンがボールを上げるに任せるしかない。お気づきのように、これがタイトなライであっても水平の地面の方が左足上がりのライよりも簡単である理由だ。下降するスウィング軌道の必要性は同じだが、一見助けとなるように見える左足上がりの勾配が身体の動きを難しくするからだ。

一般ゴルファーは、ディセンディング・ブローを学ぶまでタイトなライからボールを上げることは出来ないし、どのクラブを使っても効果的なバックスピンを与えることも出来ないので、いい結果が得られる方法を探し続けなくてはならない。単にヒット・ダウンするだけでは充分ではない。ほぼ全てのダッファーはヒット・ダウンしたとしても、同時に横殴りにひどくカット打ちしたりする。主たる体重を左足にかけたままか、バックスウィングの間に左に移してしまい、いざ打とうとすると右足に寄り掛かるしかなくなり、飛行線のアウトサイドからクラブをインパクトゾーンへ動かす。これではうまくいくわけがない。効果的に打つには、下降する打撃はターゲットへ向かう飛行線に沿って(スクウェアに)動かさなくてはならない。

もちろん、特定のショットがいかに正しくプレイされるべきか詳細に説明するためには、正しいスウィングの全てを述べねばならないだろう。しかし、打撃の方向に直接影響を与えるいくつかのポイントがあるのだ: 先ず第一にスウィングのトップでの体重配分だ。右足体重でも左足体重でもなく、両方に均等であるべきだ。均等体重でアドレスし、体重移動はせず単に胴体の捻転でバックスウィングを完了させる。

腰の捻転によってバックスウィングを完了させた後、クラブヘッドがボールに向かう前に身体の逆転を始める。同時に、スウィングの中心を移すために腰は僅かに前方(ターゲット方向)へと動く。どんな場合でも体重を後方に向かっては動かすべきではない。後方に動かすと、ボールを(下降軌道ではなく)上昇軌道やカット気味に打つことになってしまう。

[hit down]

【Bobby Jonesのスウィングの見どころ】
・腰と肩のフル捻転
・下半身の逆転がリードするダウンスウィング
・コックの保存
・インパクトで伸びた左脚
・インパクトで真っ直ぐ伸びた左手・腕

ここまでが正しく遂行されればディセンディング・ブローは達成出来るが、手がクラブをあまりにも急速に動かし始めた瞬間におじゃんになる。左腕とクラブシャフトの間の角度(コック)は、(まだクラブが上昇中に)身体が逆転を開始し左腰が(ターゲット方向へ)引っ張られる際に一層急角度になる。【編註】

【註】Bobby Jonesは《バックスウィングが完了する前にダウンスウィングを始めよ》と説きます。つまり、上半身はまだクラブを持ち上げ切っていない(トップに達する以前)に、下半身が逆転を始めよというものです。Bobby Jonesのスウィングを研究・分析したBen Creshaw(ベン・クレンショー)は、これはBobby Jonesがスコットランド生まれのコーチのスウィングを模範としたせいではないかと推測しています。私のゴルフ仲間に上のようなスウィングをする者がいますが、あまりにも急速な切り返しで手首の角度がコントロール不能のせいでしょうが、多くの場合右や左の旦那様です。古今のプロやインストラクターには逆に《バックスウィングを完了させ、一瞬の間(ま)を置くべし》と説く人もいます。

もし打ち気に逸るあまりトップからクラブヘッドを投げ出すと、コックされた角度は失われヒット・ダウンする望みは即座に絶たれてしまう。ダウンスウィングの弧は正しい道筋から外れ、唯一のチャンスは主に肩と腕の動きでボールをほじくり出して打ち上げることしかなくなる。これは多くのゴルファーがとりわけハードに打とうとする時に起こる症状だ。

コックは、ダウンスウィングの初期には保たれていなければならない。(コックをほどく瞬間は腰の逆転の後にやって来る)同時に右肘は身体の右脇に向かって下降し、スウィング動作は飛行線の内側からはみ出さずに(インサイド・アウトで)遂行されなくてはならない」

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[hit down]

ヒットダウンする寄せを練習していた時、最初は何度もシャンクしました。これはクラブを下降させることに懸命になるあまり手打ちになっていたせいです。下半身を使い、手・腕が遅れてインパクトを迎えるようになってから、俄然方向性が良くなりました。60度ウェッジで40ヤードのピッチングをしたら、二度連続でピン傍30センチと10センチにつけられたことがあります。その時の感激は今も忘れられません。しかし、本番でそのような見事なショットをしたことはたった一回しかないので、通常私はちゃんとディセンディング・ブローで打っていないのです。

ヒットダウンの打ち方について一冊の本を書いたのは元プロ、TV解説者、インストラクターのBobby Clampett(ボビィ・クランペット)です。【参照:「インパクトの研究」(tips_112.htnl)】彼は《ボールの先10センチを見つめながらヒットせよ》と説きました。バンカーではボール後方数センチを見つめてクラブヘッドを砂に打ち込みますが、フェアウェイではボールの先(ターゲット方向)10センチを凝視しながら打てば、eye-hand coordination(目と手の協調作業)によってクラブヘッドはボールを地面に向かって押しつぶし(クラブはボールの10センチ先でディヴォットをとる)、ボールにバックスピンを与えて正確無比な方向性が得られる…という段取りです。

「頭の研究」が一段落したので、今度は「ヒットダウン」に挑戦です。これは時間がかかって泥沼か底なし沼にはまったも同然になるかも知れません。

【参考】
・「ディヴォット恐怖症の方へ【やさしい解説】」(tips_173.html)
・「アイアンをヒットダウンすべき理由」(tips_201.html)

【おことわり:図はhttps://thumb.ac-illust.com/にリンクして表示させていただいています】

(December 20, 2023)

ウェッジでターフを取る練習

 

これはLPGAツァーを初め世界中で90勝を挙げたAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)のtip。

'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)

「理想的なウェッジ・ショットでは先ずボールを打ち、次いで地面を打ってボールのターゲット側でディヴォットを取るべきものだ。もしあなたがウェッジを低くスウィングしディヴォットを取らない傾向があるとしたら、ボールの後ろでスウィング弧の最低点に達しているせいだ。

このドリルを試されたい。ボール後方10センチのところに鉛筆を置く。ハーフ・スウィングをし、鉛筆を避けながらボールをヒット・ダウンする。ボールを打つのであって鉛筆ではない。ダウンスウィングの開始で体重を左に移動させなくてはならない。それがスウィング弧を鉛筆の前のターゲット側に移し、ボールを打った後ターフを打つことを可能にする」

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鉛筆を台無しにするのはもったいないので、8センチのティーをボール後方に刺してやってみました。これは想像するよりも難しい。先ず、テイクアウェイでティーを薙ぎ倒してしまいます。私がティーに触れないような急角度のバックスウィングではなく、掃くようなスウィングをしているせいです。さらに、ダウンスウィングでもティーに触れないような角度ではボールを打てません。アニカが正しいとしたら、私はどうすればいいのか途方に暮れてしまいました。

 

逆にボールの10センチ先にティーを刺し、それを打つという方法を考えました。ボール無しでアドレスした仮想のボールの先(ターゲット側)10センチにティーを刺し、それを打つという練習をしました。最初、ティーは舞い上がったりろくに飛ばなかったりしましたが、ある時真っ直ぐ、しかも6〜7ヤードも飛びました。多分、その時初めてヒットダウン出来たのでしょう。これは裏庭でも練習場でもボール無しで出来るので、いい練習法だと思います。

(December 20, 2023)



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