December 10, 2023
●Ben Hogan(ベン・ホーガン)が与えた誤解
Ben Hoganの’Five Lessons'(邦訳『モダン・ゴルフ』)が読者に与えた誤解はいくつかあります。その一つは一般ゴルファーにはスライサーが多いというのにフェードを打つためのウィーク・グリップを良いグリップとして推奨したことです。【Hogan自身がフック撃退に苦労したため】
The Golf Channel(ゴルフ・チャネル)の解説者Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)は、彼の本'The Anatomy of Greatness' (Simon & Schuster, 2016) でもう一つのポイントを指摘します。
Ben Hoganの『モダン・ゴルフ』のイラストに、右の写真の一齣が抜けていて両手が胸の高さから一気に太腿の高さになっている、その時点では右肘は身体の側面を離れコックは解かれてしまっている、これが多くの読者の誤解を招いた…というのです。
'The Fundamentals of Hogan' by David Leadbetter (Doubleday, 2000) という本は、『モダン・ゴルフ』のイラストの元になった多くの写真を分析し、Hoganの実際のスウィングと比較したものです。これを読むとHoganはイラストレーターのAnthony Ravielli(アンソニィ・ラヴィエリ)が構えた一枚写真のカメラに向かって少しずつ手の位置を変えたポーズをとっているだけなのです(煙草を吸いながら)。高速度カメラによる連続写真ではありませんでした。ですから、Hogan自身が右の写真の段階をすっ飛ばしたか、Anthony Ravielli(アンソニィ・ラヴィエリ)がイラストを描く時に飛ばしてしまったかどちらかです。
しかし、この一齣は重要です。右前腕とクラブシャフトとが重なってこの位置を通過することこそが理想的なスウィングだと思うからです。私はこれを「右肘が右ポケッ トを越えないスウィング」と表現し、数々の一流プロたちも同じ動作をしているということを発見しました。【参照】「正確無比なショットの秘訣」(tips_185.html)、「ダウンスウィングの研究」(tips_185.html)
私もBrandel Chambleeの説に賛成です。この一瞬のイラストを省略すべきではありませんでした。「右肘が右ポケットを越えないスウィング」は正確無比なショットのための秘訣です。それこそ真に下半身が先行するスウィングをしている証拠だからです。それはBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のスウィングにも発見出来る動作であることで明らかです。
【参考】「レイトヒットでスコアを減らす」(tips_203.html)
【おことわり:図は"https://www.best-putter.comにリンクして表示させていただいています】
(December 10, 2023)
●刻むなら確実に刻め
これはLPGAツァーで48勝を挙げたNancy Lopez(ナンシィ・ロペス)のtip。 '100 Classic Golf Tips'【LPGA version】 「刻む際に大事なのはクラブ選択である。時にはウェッジや9番アイアンで充分なこともある。 いけないのは欲張って長めのクラブを選ぶことだ。ラフからだと7番ウッドか9番ウッドで脱出出来るが、そのどちらもハザード(バンカーや小川など)に届いてしまうかも知れないので選ぶべきではない。私の父が云っていたことだが、刻むならショート目に刻むべきだ。 現在陥っているトラブルから新たなトラブルに突入したくないでしょ?」 そうなんですよね。われわれはボールが林に入っても横に出すことをしないで、木の間を抜いて距離を稼ごうとしたりする。向こう見ずで欲張りなんです。刻む場合にも、ハザード手前ぎりぎりに打とうというのは距離を稼ごうという欲です。 |
二打目を刻まなければならない状況に陥ったのなら、三打目がピッチングウェッジの距離でなく、9番アイアンでも仕方がない、安全に刻もうとすべきなのです。その道理に気づかず、少しでも遠くへ飛ばそうというのは作戦が間違っています。ティー・ショットに問題があったのなら、1ストローク増えても仕方がないと罰を受け入れる。1ストロークの損を同じこのホールで帳消しにしようとするのでなく、次のホールで頑張ればいいのです。
(December 10, 2023)
●古いクラブを打ってみた
ひょっとして古いクラブも役に立つことがあるかも知れないと思って、試しに打ってみました。
TaylorMade製 ドライヴァー 'r7' (ロフト10.5°、シャフトR)
Rawlings製 ドライヴァー (ロフト10.5°)
Adams製 'Tight Lies, strong 3' (ロフト13°)
…以上は距離も出ないし、方向性も良くなくて駄目でした。
・TaylorMade製 'RBZ, 3 HL'(ロフト17°、シャフトM)
これは仲良しだった高齢ゴルファーが亡くなった時に遺族から貰った3番ウッドですが、盛大なフックが出たのでNikeのハイブリッド(ロフト18°)に替えていました。
Nikeのハイブリッドと1°違いですが、この3番ウッドは上がりやすく出来ていて、ハイブリッドより10~20ヤード遠くへ飛びます。最近頭を動かさないスウィングにしているせいか、フックは出ません。早速、これをメインとして復活させました。なんでも新しければいいというものではないですね。
・サンドウェッジ Carbite製 Checkmate CS100
私がプレイしている市営ゴルフ場は全て安上がりにしています。バンカーも海岸のサラサラの砂ではなく、ミシシッピ河流域のどこにでも見られる土(川土?)をふるいにかけ、細かくしただけのものです。いったん雨が降ると固まってしまい、裸地と同じようになってしまいます。
裸地と同じなら普通のサンドウェッジについているバウンス(フランジとも云う)は必要ありません。裸地でバウンスの多いクラブを使うと硬い地面でヘッドが跳ね返され、ボールを直接打ってホームランを製造します。ゴルファーのせいではなくクラブのせいなのです。
私はサンドウェッジを何本か持っていますが、Nikeの56°は厚いバウンスを持っており、いいゴルフ場の良質の砂にふさわしいものでした。
Carbite社のものは度数は表示されていませんが同じく56°見当で、バウンスは薄く、私のゴルフ場に最適のようでした。これで私のウェッジはロブ、サンド、ギャップ…どれも固く湿ったバンカーでも心配なく打てるようになりました。
(December 10, 2023)
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