August 10, 2023
●ピッチングべからず集
ゴルフの百科全書ともいうべき本の「ピッチング」の項に、「ピッチングをマスターする【パート1】【パート2】」(tips_207.html)には書かれてなかった注意事項を見つけました。
’Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et al. (Harry N. Abrams Inc., 1997, $45.00)
「・グリップ
精密なショットをするためには、インパクトでクラブフェースがスクウェアでなくてはならない。だから、右手のグリップの向きは重大である。クラブを右手の指の真ん中の関節で握る(パームではない)。こうすれば、右手のグリップが強くなり過ぎることはなく右手が主導権を握ってクラブフェースを返したり出来なくなる。
クラブを短く持たず、ハンドルの端の近くを持つように。短く持つとクラブが軽く感じられ、早いスウィングをしがちになる。また短く持つことは屈み込んだ姿勢を強制する。【註】私は1.25センチ短く持つことによって5ヤード刻みで距離を調整しています。
・ボール位置
チッピング同様、ピッチングの基本はボールをヒットダウンすることだ。ボールを宙に浮かべようと掬い打ちするのではない。ボール位置を両踵の中間にする。もしこの位置できっちりとボールを捉えられないとしたら、あなたはスウィングの間にスウェイし、スウィング弧の最低点を移動させているのだ。
ボールを高く上げようとボール位置をスタンス前方(ターゲット方向)に移してはならない。それはトップするミスに繋がったり、無意識に身体を前方にスライドさせてしまったりする。
もしボールが長い草の間にあるような悪いライに遭遇したら、ボール位置をスタンス後方にする。これは草との接触を少なく出来る。ただし、スタンス後方にしたボール位置はクラブのロフトを減らすので、飛び過ぎる結果になる。それを相殺するため、ロフトの多いクラブを選ぶこと。
・スタンス
アップライト(縦)のスウィングをするためにスタンスを狭くし、背を伸ばす。屈み込んだりスタンスを広くしてボールに近く立とうという誘惑を撥ね付けること。そういう動きは下半身の動作を制限し、手・腕を出しゃばらせてムラのあるショットを生んでしまう。
ボールから遠過ぎてもいけない。腕はアドレスで伸びていなければならないが、肩からゆったりと真っ直ぐぶら下がっているべきである。
スクウェア・スタンスでもオープン・スタンスでも快適な方を選べばよい。しかし、ターゲットに近づくにつれてオープンにする。どの場合でもクラブフェースはターゲットにスクウェアにすべきだ。
・スウィング ゴルファーの一般的な誤解の一つは、ピッチングは腕によるスウィングだと考えることだ。そうではなくピッチングは身体全体を使ったスウィングである。 バックスウィングでは脚、腰、上体をターゲットから遠ざけるように回転させる。手・腕は肩の回転につれて動くだけに留める。バンカー・ショットのように腕が身体から独立して動くようだとトラブルを覚悟しなければならない。 ダウンスウィングは下半身がターゲットに向かって戻ることによって開始する。「打とう!」という意識によって手・腕がダウンスウィングを開始することは厳に戒めなくてはならない。 ダウンスウィングを急がないこと。 フル・フィニッシュを目指す。短いピッチングであってもクラブは肩の高さかそれ以上でなくてはならない。こうすれば、加速しつつヒットダウンすることが可能になる。 |
ヒットダウンするのであって、ボールを掬い上げたり宙に浮かべようなどと小細工してはいけない。
・コックについて
身体全体を使ったスウィングをし、手首をリラックスさせ続けていれば自然にコックされるものだ。注意すべきは、無理にコックしようとしたり、早期にコックをほどこうとしたりしないことだ。そういう動きはボールとのコンタクトを不正確にしてしまう」
まとめると、ピッチングの遵守事項は以下のようになります。
・必ず左肩をピンに向ける。
・必ずボールの10センチ先(ターゲット方向)を凝視する。【そこを狙ってクラブヘッドを突入させる】
・必ず(トップで一瞬の間を置いて)下半身からダウンスウィングを始める。
・必ずヒットダウンする(掬い打ちしないこと)。
・必ずビシッと打つ(軽く穏やかに打とうなどと思ってはいけない)。
・必ず高いフォロースルーをする(中途半端だと距離が減ってしまう)。
【参考】
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の ショートゲーム」(tips_201.html)
・「ピッチング技法、PGAツァー最新の動向」(tips_153.html)
(August 10, 2023)
●ピッチング・ポスチャーの大いなる誤解
これはツァー・プロErnie Els(アーニィ・エルス)のtip。
’The Complete Short Game'
by Ernie Els (Broadway Books, 1998, $37.95)
「ピッチングに関する最も一般的な誤解の一つは、オープン・スタンスをとれ…というものだ。
あなたがかなりのオープン・スタンスで立ってアドレスすると、手がリードする動作が避けられなくなり、身体が充分にスウィングに関与出来なくなるという問題を引き起こす。
足はほんの僅かオープンにしてもいいが、それだけだ。肩も上体全体もターゲットにスクウェアであるべきだ。これは重要である。
機会を捉えてあなたのアライメントを友人にチェックして貰うべきだ。そうすれば、よくない癖に陥ること防ぐことが出来る」
(August 10, 2023)
●ピッチング失敗の原因
イギリスのインストラクターRoger Hyder(ロジャー・ハイダー)のtip。彼は長くDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)の元で働いていました。
’’Golf Skills: The Players Guide' 「私がピッチングを教えている経験から云うと、常にグリーンまで20ヤード以内の範囲で問題が生じるようだ。20ヤード近辺では、中級、初級ゴルファーの間で二つの間違いがよく起こる。 1) ダウンスウィングでの減速 グリーン近くになるとあまりにも多くのゴルファーがピッチングに臆病になる。まるでゴルフボール自体が障壁となり、インパクト後クラブヘッドをボールの先に越えさせたがらないかのように見受けられる。このネガティヴな想念はダウンスウィングで手・腕を減速させ、ゴルファーにスウィングを中絶させてしまい、ボールはターゲットまで半分行くか行かないかという惨事を招く。スウィングの間じゅうクラブヘッドを加速することが不可欠である。ポジティヴかつ攻撃的でなければならない。 2) 狙い方の間違い 多くのゴルファーが陥る一般的な過ちは、ピッチングで何を成し遂げるべきかの誤った理解である。彼らはピンの根元を見ながら、ボールがその近くへ行くか、あるいはカップインするみたいなことを考えているように見える。そんなことは滅多に起こらないにもかかわらず。 |
ピッチング名人はピンではなく、どこにボールを着地させるか、そこからどのようにボールを転がすかに想念を集中する。それはパットへの取り組みに近似している。ボールがどのように転がるかという問題を解決した後、彼はピンとカップのことは忘れ、ボールの着地点に集中する」
(August 10, 2023)
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