April 20, 2023

腰からダウンスウィングせよ

 

[elbow]

「ゴルフの百科全書」ともいうべき本の一節より。

'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et.al. (Harry N. Abarms, Inc., 1997)

「インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)は'Golf Magazine'誌で次のように述べている。

"laid-off position"(レイドオフ・ポジション=クラブヘッドがターゲットの左を向く)のトップから、クラブがより浅い角度で、しかもインサイドからボールに接近するようにスウィング弧をフラットにしなければならない。

そのためには、ダウンスウィングの最初の動きは腰を水平移動させる。腰はフォロースルーのパワーが腰を否応なくオープンにするまでターゲットラインにスクウェアに保つこと。

浅い角度のインサイドからのスウィング弧がスクウェアなインパクトを準備する。

トップに達した後、急速な腰の回転で下降する手・腕のために道を空ける。右肘は右の胸郭に沿って正しい位置に向かう。腰はボールを打つ瞬間に約45°オープンになるように集中せよ。

上のようにすればスクウェアなクラブフェースのインパクトが得られる」

[hips] [icon]

驚きました。David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)は'Swing Like a Pro'シリーズのpart 7「ダウンの開始で右肘を引き下ろせ」(tips_203.html)と全く同じことを云っているのです。'Swing Like a Pro'は1998年の出版ですが、この記事はその一年前に公開されています。しかし、ダウンの開始で右肘を引き下ろす重要性については1992年に出版されたHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)の本に既に書かれていました。さらに遡れば、'Bobby Jones on The Basic Golf Swing' (1969) でBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)が発表していたことです。全てはBobby Jonesが源流なのです。

Lydia Ko(リディア・コゥ、LPGA)のダウンスウィング(写真)をご覧下さい。ダウンのごく初期、右肘が右胸郭に向かって引き下ろされクラブ軌道をフラットにしています。「腰は?」と見るともうとっくにターゲットラインに平行になっています。腰(下半身)が上体をリードしていることの証明です。左肩はまだボールを向いているのに、左腰は既にターゲットを向いている。両肩を結ぶ縦の線と両腰を結ぶ横の線とが、まるで十文字のようになっています。われわれが模範とすべきはこの状態でしょう。


(April 20, 2023)

「腰からダウンスウィング」の効果

Bobby Jones(ボビィ・ジョ-ンズ)はその著書でくどいほど「腰からダウンスウィングを始めよ」と説いています。その理由は、下半身に引っ張られる腕・手で打つことが最もパワフルで方向性もよいというものです。

その説が正しいことがはっきり分かるエピソードを紹介します。

No.10(335ヤード、パー4)は残り140ヤードまでは下りで、残り130ヤードぐらいからピンも見えないほどの急な上りになっています。先週のラウンドの私のティーショットは残り150ヤード。私の経験では上り勾配のこの距離は18°のハイブリッドでないと届きません。左足下りの難しいライなので、アドレスするとボールを上げるのが難しいように思えます。その日の二打目は見事にトップしてゴロになってしまいました。ボールを上げたいなら打ち下ろすべきなのに、打ち上げようとしたミスでした。

その左足下りのショットをマスターしなくてはいけないので、ある日その練習のためだけにコースに行きました。今度はBobby Jonesの云う通り腰からダウンスウィングを始めることに努力しました。三発打ちました。一発目はギクシャクしたスウィングでまたもやゴロでしたが、二発目は真っ直ぐ飛んでエッジに届き、三発目はグリーンに乗りました! 腰の逆転によるパワーの凄さをまざまざと見せつけられた出来事です。

(April 20, 2023)

2秒でスウィングすべきか否か

 

[Crane]

'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)という本を読む以前、私のスウィングは1-2-3のリズムで(2がトップ)、どちらかというとスローなテンポのバックスウィングでした。それが「2秒でスウィングせよ」と説かれて慌てふためいているせいか、方向性がかなり悪くなりました。仲間内で以前は短身痩躯の割に飛ばす奴として知られており、しかもフェアウェイ・キープ率も結構高かったのです。それがどちらも落ちてしまいました。

そんな時《ゴルファーには生まれつきのテンポがある》というセオリーを思い出しました。私はせっかちな性格ではあるものの、どちらかというと慎重な傾向ですし荒っぽい行動をする方ではありません。ですから2秒でスウィングするとどこかで欠陥が生じるのではないか?2秒でスウィングすれば飛距離が伸びるというのなら魅力的ではあるものの、そんな徴候は皆無。そして方向まで乱れるのであれば何もいいことはないではないか。

というわけで、無理に急速なスウィングすることはやめました。かといって以前のスローなスウィングに戻したわけではなく、昔よりはずっと速いです。単に急がないだけ。これに加えてメリハリのあるスウィングをするよう心掛けて飛距離と方向性を取り戻しました。「メリハリ」というのは説明が難しいのですが、例えば「バックスウィングを完結させる」とか、「フォワードスウィングの前に右肘を落下させて身体の右脇にくっつける」などを実行すると、その一瞬にいわゆるタメが出来るようになります。これらを実施することによって、方向性も飛距離も満足出来るようになります。

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)は「ダウン・スウィングはのろのろと始めなくてはならない。それが、スウィングのバランスとタイミングを損なわずに徐々にスピードを増す秘訣である」と述べています。Tom Watson(トム・ワトスン)も「Byron Nelson(バイロン・ネルスン)が、トップで短い躊躇(ためらい)のときを作って、急がずにダウン・スウィングすべきだと云っていた。これだとダウン・スウィングでしっかりとしたクラブヘッドのスピードを構築出来る」

上り坂の若手ツァー・プロCameron Young(キャメロン・ヤング、右のヴィデオ)は明瞭にトップで動作を一時停止します。最近のプロとしては珍しいスウィングですが、Bobby JonesやByron Nelsonに誉められるようなスウィングに思えます。

振り子運動は連続動作ではあるものの、両端で一瞬静止するように見えます。あの瞬間にボールに篭めるエネルギーが蓄えられるのだと思います。そしてクラブヘッドを落下させる重力との二人三脚でインパクトを迎える。これが"タメ"でしょう。

 

プロたちは練習量も多く、強靭な体力と素晴らしい運動能力を持っているわけですが、こちとら素人はまるで違います。「理想は2秒だが、多少遅くても許される」という考え方で充分かと思われます。

事実、こう悟った次のラウンド、ティー・ショットは18ホールで100%フェアウェイをキープしましたし、寄せも良くなりました。

【おことわり】上の画像はhttps://www.golfdigest.com/にリンクして表示させて頂いています。

(April 20, 2023)

切り返しはスクール・ゾーンである

 

[zone]

これはインストラクターRandy Smith(ランディ・スミス)のtip。

'100 Classic Golf Tips'
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2007, $24.95)

「ゴルフ・スウィングにスピードは重要であるが、切り返しの時点だけは別である。トップからあまりにも早く動くと手打ちとなり、パワーを失ってしまう。

よい切り返しをする一つの方法は、バックスウィングのトップはスクール・ゾーンだと思うことだ。そこではスピードを落とし、そこを過ぎたら加速し最高速にしてよい」

【おことわり】画像はhttps://cdn-webcartop.com/にリンクして表示させて頂いています。

(April 20, 2023)



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