April 10, 2023
●一本でチップするか、複数クラブか?
ゴルフの「百科全書」ともいうべき本の一章より。
'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et.al. (Harry N. Abarms, Inc., 1997)
「チッピングに関して最も一般的に問われる質問は、疑がうべくもなく『一本で処理すべきか、複数か?』というものである。どのゴルファーに対しても適切であるような一つの答えというものはない。どちらの論をもサポートする証拠がある。
Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は『一本派』の頭領である。彼は、長いランを必要とするチッピングを除いては、全てのチップをサンドウェッジ一本で処理する。彼は『六本のクラブを一本につき10分ずつ練習するより、一本のクラブで一時間練習する方がより熟練出来るし自信もつくので一本でプレイすることを好む』と云う。
『多数派』のリーダーはBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)である。彼はずっと以前から3番~9番アイアンのどれかを使うと述べている。『スウィングを変えるよりクラブを変える方がシンプルであることは明らかだ。とても短いショート・アプローチにおいて、器用にカットしたり繊細なバックスピンをかけたりする困難に悩まされずに済む』
チッピング名人Raymond Floyd(レイモンド・フロイド)は『チッピングを成功させるにはクラブ選択が重要だ。私は必要に応じて4番アイアンからサンド・ウェッジまでを用いる。グリーンまでの距離、カップの位置、グリーンの速さ等に応じてクラブ選択とストロークの長さを変える』と云う。
ショートゲーム専門インストラクターDave Pelz(デイヴ・ペルツ)は、グリーンに低い角度で着地すると真っ直ぐ跳ね、ターゲットの周りで散らばる分布も狭くなることを発見した。これは多くのクラブを使うメソッドへの有利な根拠である。可能と思われる最も低い軌道をどんな状況でも選べばよいのだ。
多くのクラブでチップすることは、それぞれのクラブがどんな風に仕事をするかを練習によって知ることだ。ウェッジからミドル・アイアンまで練習しながら、軌道の高さ、キャリーの長さ、ラン、そして個々のクラブが作り出す全体の距離を記憶すれば、状況によってベストのクラブを選ぶことが出来る。
どちらかのメソッドが正しく、他方は間違いだろうか?そうではないが、今日『多数』が広く教えられている。多くのインストラクターはどちらのメソッドであれ、ポジティヴな態度と自信をもたらすものを推奨する。なぜなら、あなたがどちらかのメソッドを用いて『自分はチップ名人だ』と思えるなら、多分それは正しいからだ」
【参考】「ピッチングとチッピングの距離調節・簡略版」(tips_195.html)
【おことわり:画像はhttps://m.psecn.photoshelter.com/にリンクして表示させて頂いています】
(April 10, 2023)
●Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のチッピング
チッピングについてJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は次のように述べています。
'Golf My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Fireside , 1974)
「パッティングだけでなくチッピングの名人でもあったBobby Locke(ボビィ・ロック、南ア)は、すべてのチッピングをピッチング・ウェッジでやっていた。ここ数年私はグリーン周りの様々なショットをサンドウェッジでこなすようになった。一本のクラブでチップすることを好む理由は、六本のクラブを一本につき10分ずつ練習するより、一本のクラブで一時間練習する方がより熟練出来るし自信もつくからだ。
とはいえ、5番アイアン以下のクラブをチッピングに用いることはある。だが、ある日の私の精妙なプレイの遂行はサンドウェッジによるものであろうと確信している。珍しく長いランが必要な場合に、6番アイアンを一本予備にすることはあるだろうが」
以下は同書で説明されている彼のチッピング・メソッドです。
・狭いオープン・スタンス
・体重は終始左足
・ボール位置は左足踵の前方(しかし、スタンスが狭いので実質両足の中央と云える)
・両目の真下にボールが来るように立つ(ストレート・バック、ストレート・スルーのスウィングをするため)
・左肩からクラブ、ボールまで一直線に構える
・両手は僅かにボールの前方でアドレス(ハンド・ファースト)
・しっかりと、しかしイーズィに。ゆっくり、だがインパクト時に加速すること
・ランを多くしたい時は、手首をアドレス時よりも反時計方向に廻してフェースを立てる(ロフトが減る)
・急速に停止させたい時は、手首を時計回りに回してフェースを寝せる(ロフトが増える)
【おことわり:画像はhttps://collections.st-andrews.ac.uk/にリンクして表示させて頂いています】
(April 10, 2023)
●正確にボールをチップする練習法
ピン傍を狙ったチップ・ショットでダフってショートするのは口惜しいし、恥ずかしい。トップしてグリーン・オーヴァーはもっと恥ずかしい。インストラクターGlenn Deck(グレン・デック)が、手軽に間違いなくクリーンに打てる練習法を教えてくれます。
'How to catch every chip clean' by Glenn Deck
from 'The Best Instruction Book Ever!—Expanded Edition'
edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2012, $29.95)
「ボールを宙に浮かべようとすると、ボールの天辺を叩いてホームランを出してしまう。ソリッドにボールを打ちたいなら、ボールを上げようとするのでなくヒット・ダウンすべきなのに。
あなたが夢見るようなチッピングを現出させる練習法がある。必要なものはミネラル・ウォーター(でもコークでも何でもよい)などの瓶一本である。
その瓶の上にクラブを一本寝せ、ハンドル部分を手前にしてバランスをとる。
そのクラブ・ハンドルの後方30センチにボールを置き、そのクラブを叩かないように打つ。
ボールに向かって下降するスウィングをし、インパクト後もクラブヘッドが地面に沿った低い軌道が必要であることが解る筈だ。もし、ボールを掬い上げようとしてクラブヘッドが両手を追い越すようなスウィングをすると、クラブと瓶を撥ね飛ばすことになる」
この方法を用いて練習すれば、ヒット・アップしてトップしたりダフったりすることを防げるようになり、ピタピタとピンそばに寄ることが期待出来ます。
(April 10, 2023)
●チッピング・ミス対策
ある日のラウンドで30ヤード以内のロブウェッジによるチップを何度もトップし、グリーンの周りを行ったり来たりしました。初心者みたいでとても恥ずかしかったのですが、原因が解らないのもお恥ずかしいことでした。
練習グリーンでカップから20ヤード離れて十個のボールをチップしてみました。驚きました。十個のボールの最初の一個が必ずショートするのです。残りのボールは問題なく予期した通りの軌道でカップの周りに寄るのですが、最初の一個だけ失敗しました。
本番のラウンドでは一発勝負で、やり直すことは出来ません。残りの九個のボールがどれだけ見事に寄っても、最初の一個が失敗したら終わりです。で、一個のボールだけで練習してみましたが、やはり時々ショートしたりトップしたりします。
そこで、上の「正確にボールをチップする練習法」を試しました。これだと、ヒットダウンしたらクラブヘッドを低く保ち続けないといけません。左手首を凹型に折って掬い打ちをしてもいけないし、高目のフォロースルーも厳禁です。
練習してみると、案の定何度も瓶とそれに乗せたクラブを倒してしまいました。しかし、どう打てばいいのかは判りました。《クラブのロフト通りに打つ》ということです。クラブを持ち上げて高い軌道になるように助ける必要はないのです。
このスウィングが定着するように数を打つ必要があります。
(April 10, 2023)
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