December 10, 2022

Bobby Jones(ボビィ・ジョ-ンズ)のダウンスウィングの開始

 

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'Bobby Jones on The Basic Golf Swing' by Robert Tyre (Bobby) Jones, illustrated by Anthony Ravielli (Doubleday, 1969)

「可能な限りバックスウィングとダウンスウィングの二つは(分離しているのではなく)一つの動きとして混じり合っているべきものだ。だからこの切り返しは極めて重要なポイントであり、ほぼ全てのミスが生じる温床でもある。手が数センチほどターゲット方向に先行しても、頭の角度を数度ターゲット側に傾けても取り返しのつかないミス・ショットとなる。プロにとってでさえ、これは危険な時点なのである。

(グリップの重要性を除いて考えれば)スウィングにおける最も重要な動きはこの腰の逆転によって開始されるダウンスウィングであるというべきだ。左腰がリードしなければパワーも生まれず、正確さと信頼性にも欠けるスウィングに堕してしまう。

どのクラブによるフル・スウィングでも、バックスウィングでまだ手とクラブが後方に上げられている途中で胴が逆転を始めるのが正しい動きである。これは、腰の回転がダウンスウィングをリードし身体の逆転によって生じるパワーがクラブヘッドに勢いをつけることと同時に、手首のコックを完了させるという重要な効果をももたらす。

ダウンスウィングが始まる際、ゴルファーはクラブヘッドをトップに「置き去り」にする感覚を得るべきだ。

[left heel]

ダウンスウィングでは体重を左足に移す。同時に胴と腰の回転を急速に行なって腕とクラブを引っ張る。

【原註】体重移動はスウェイではない。スウェイは頭も肩もターゲット側に動かしてしまいゴルファーのバランスを崩壊させる原因となる。「体重移動」はボールとの関係で頭と肩の位置を変えずに腰だけをターゲット側に移動させるものだ。

腰の逆転は、未だクラブがトップに達する前に行われ、左踵はダウンスウィングのごく初期(両手がまだ肩の高さの時期に)に地面に戻り、左脚は真っ直ぐになり始める。

切り返しの段階はやや動作が緩やかなので、意識的にコントロールすることが可能である。この時点で行うべき非常に重要な策は、右肘を身体の脇に戻すことだ。これはクラブの軌道をフラットにし、ボールをストレートに打つチャンスを増すものだ」

[transition]

どうです?'Swing Like a Pro'(1998)で「ダウンスウィングの開始で右肘を右脇にくっつけろ」と説かれていましたが、その約30数年も前にBobby Jonesは既にそのテクニックを発見し公開していたのです。

上のBobby Jonesのスウィング・アニメが示している事実:
1) 腰はダウンスウィングの早期に逆転してターゲットラインと平行になっている。
2) 浮いていた左踵がダウンスウィング開始と同時に地面に戻されている。
3) 右肘が身体の右脇に引き寄せられて、スウィング軌道をフラットにしている。

これこそ正確無比なショットを放つコツと云って過言ではないでしょう。

【参考】
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 切り返しの極意」(tips_201.html)
・「置き去り速習法」(tips_201.html)
・「左踵の研究(身体に優しいスウィングをせよ)」(tips_203.html)

(December 10, 2022)

ダウンスウィング開始のイメージ

 

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右のアニメは本年1月1日に公開したものです。この当時私はまだ'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)という本を読んでいませんでした。私のこのアニメ作成にヒントを与えてくれたのは伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)でした。

レイト·ヒット、レイト·アンコックの極意としてHarvey Penickが"Magic Move"(魔法の動作)と称したテクニックは、ダウンスウィングの開始で左膝を目標方向に移動させる時、同時に右肘を身体に引きつける、これを一挙動でやる(二挙動では駄目)…というものでした。

そう書いた彼の本'Harvey Penick's Little Red Book'は1992年に出版されています。'Swing Like a Pro'という本は1998年に出版されていますが、これは100余名に及ぶPGAとLPGAツァー・プロのスウィングを分析した結果、導き出された最大公約数をまとめたものでした。その中の一つに『ダウンの開始で右肘を引き下ろせ』というのがあり、Harvey Penickの"Magic Move"と全く同じ趣旨でした。

今回、私はさらにそれらの源流を発見しました。Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の'The Basic Golf Swing'という1969年に出版された本に、《ダウンスウィングは腰を逆転し右肘を身体の右脇の引き付ける》というコツが書かれていたのです。Harvey Penickの本の23年前です!Harvey PenickはBobby Jonesの本から学んだに違いありません。

トップから手・腕で振り下ろすのでは手打ちです。手・腕は左膝・腰の動きに引っ張られて動かないといけません。アニメのように左脚に連動して右肘が右の胸郭に引き寄せられ、その後上体が逆転を開始する…というのが理想的シナリオです。

[left knee]

"Magic Move"(魔法の動作)を身に付けるためには練習場でボールを打つ必要はありません。庭がある人は庭でクラブだけ振ればいいし、庭のない人は練習用の短く重いクラブを家の中で振ればいいのです。バックスウィングのトップに達したら《ターゲット方向に向かう左膝に連動して、右肘を右胸郭に引き下ろす》のです。二挙動でなく一挙動で。脳の命令でなく自然に身体がそのように動くまで、この動作を身体に刷り込むべきです。

私自身の経験から云って、これは頭では分かっているという状態では不充分です。「左膝→左腰→右肘」などと頭で考えていてはスウィングは遂行出来ません。何度も何度も素振りによってマスルメモリに記憶させねばなりません。それ以前は、十回に一回、よくて五回に一回達成出来るかどうかでしょう。毎回達成するためには身体が勝手に動くようになるまで、しつこく練習すべきです。

(December 10, 2022)

GPSより正確な距離測定器

 

それは肉眼です。

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市営ゴルフ場はしばらく前までグリーン改造に専念していて、われわれは本グリーンのずっと手前(のフェアウェイ)に設置された臨時グリーンでのプレイを余儀なくされていました。この時期、GPSレンジ・ファインダーは全く役に立ちませんでした。旗を覗いて距離を測るタイプの機器なら役に立ちましたが、単にGPSを頼りにしているレンジ・ファインダーは全く駄目でした。

この期間、私が獲得したのは目で見た距離測定の技でした。9番だろうか、ピッチング・ウェッジだろうか?サンドウェッジか、ロブ・ウェッジか?ピンを見つめているうちに、次第に「これはピッチング・ウェッジじゃ飛び過ぎる」とか「サンドウェッジじゃ届かない」などということが目で見た感じで判るようになったのです。

本グリーンでプレイ出来るようになってからも、その感覚は大いに役に立っています。GPSが何と云おうと私の私製ヤーデージ・ブックが何と云おうと、目による測定に優るものはない…という境地です。それは自分のその日の活力、その日の出来(飛距離、正確さ)、そしてそのホールの癖(グリーンの大きさ、早い・遅い、切れ方など)などを総合的に判断した結果に他なりません。GPSレンジ・ファインダーには出来ないことをやってのけているわけです。人間の頭脳の凄さです。

いい例が最近のラウンドでありました。あるホールのティー・ショットがピンまで50ヤードに届きました。肉眼での計測ではLWをフルに握って丁度いいように思われました。しかし、私の個人的ヤーデージ・ブックを見ると「LW赤」となっています。これはLWを「7.5センチ短く持って打て」という意味です。これまで何ヶ月かこのホールで50ヤードを攻めた時の最大公約数です。「ほんとかなあ?」半信半疑でその通り打ったら見事バンカーへ。練習として、5センチ短く持って打っても、2.5センチ短く持って打ってもグリーンに届きません。最後にLWをフルに握って打ってやっと乗りました。やはり現在の自分のスウィング、パワーなどを知っている内蔵のレンジ・ファインダー(肉眼)が正しかったのです。

GPSと直観に食い違いが出たとしたら、迷わず直観に従うべきです。私自身、これを鉄則にして成功しています。

【画像はhttps://untilthenexttee.files.wordpress.com/にリンクして表示させて頂いています】

(December 10, 2022)



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