March 06, 2021
●Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のグランド・スラム(完結篇)
'The Grand Slam: Bobby Jones, America, and the Story of Golf'
by Mark Frost (Hyperion, 2004, $15.95)
【U.S.アマ】1930年9月22日〜27日、Merion(メリオン)G.C. (Pennsylvania)
・現地入りしたボビィ・ジョーンズには五日の練習期間があった。Merionでの練習のスコアは最初が73、二日目が78だった。普通は試合前日は練習しないのだが、78という不出来では不安なので、もう一度練習ラウンドをした。その時、ドライヴァーが妙な音を立てた。パーシモン・ヘッドの後部に割れ目を生じていたのだ。Merion所属のプロが、「あまりにも正確にヘッドの真ん中で打つので、小さな穴が開いたのだ」と説明し、試合までに修理することを約束してくれた。その日、ボビィ・ジョーンズは控えのドライヴァーを使って69で廻り、記者に「幸運なら参加資格を得ることが出来るだろう」と冗談めかして云った。彼は試合開始直前に自分のゲームを取り戻したのだ。
・U.S.オープンを終え、アトランタで家族と過ごしていた間、ボビィ・ジョーンズは激しい下痢や腹痛、首の痛みなどに悩まされていて、毎日薬で騙していた。それはMerionに来ても続いていたが、ある日父や友人と一緒にプロ野球見物に行ってから、それがすっかり良くなった。
・U.S.アマには世界各地のクォリファイング・ラウンドを通過した168人が参加した。
・ボビィ・ジョーンズが観衆に揉みくちゃにされ怪我をするのを防ぐため、コース・マーシャル、50名の正式制服着用の海兵隊々員、40名の警官隊が警護にあたることになった。
・9月22日(月曜日)Merionでのクォリファイング・ラウンド一日目(ストローク・プレイ)。ボビィ・ジョーンズは69で廻った。この日80を切れたのは80人だけだった。
・9月23日(火曜日)クォリファイング・ラウンド二日目(ストローク・プレイ)。大勢がスロープレイだったため、待たされたボビィ・ジョーンズにとっては忍耐力テストの日となった。彼の周りに集まる観客の数は膨れ上がる一方で、隣りのホールにまでハミ出し、そのホールのプレイヤーたちを妨害するほどだった。No.18で30分も待たされたボビィ・ジョーンズが怒りを込めて打ったボールは350ヤードも飛んだ。
・9月24日(水曜日)上位32人のマッチ・プレイ・トーナメントによって八名に減らされる日である。ボビィ・ジョーンズの相手はカナダのNo.1アマチュアCharles Ross "Sandy" Somerville(チャールズ・ロス・”サンディ”・サマヴィル)だった。観衆の数は、およそ10,000人。ボビィ・ジョーンズはNo.14で、5 and 4で難なく勝利した。競技者は16人になった。
この日ボビィ・ジョーンズの二人目の相手もカナダ人Fred Hoblitzel(フレッド・ホブリッツェル)だった。ボビィ・ジョーンズの腹具合はよくなかった。フレッド・ホブリッツェルはかつて経験したこともない大観衆に囲まれて足がすくんだ。ボビィ・ジョーンズは午前と同じNo.14で5 and 4で勝ち、準々決勝へと進んだ。
・9月25日(木曜日)、最初の相手はアメリカ人Fay Coleman(フェイ・コールマン)だった。ボビィ・ジョーンズはダブル・ボギーを出したりしたものの、大観衆の目にさらされ試合運びを綻ばせたFay Colemanを、No.13で5 and 4で破った。
・9月26日(金曜日)、準決勝の相手は、ボビィ・ジョーンズの親友Jess Sweetser(ジェス・スウィーツァー)だった。ジェス・スウィーツァーは1922年のU.S.アマ優勝者であり、1926年に全英アマにも勝った実力者である。ファンは「ボビィ・ジョーンズは二度同じ相手に負けたことはない。これまで必ず復讐を果たしている」と安心していた。観衆はティーからグリーンまでの両側を隙間無く囲んでいた。ジェス・スウィーツァーはダブルボギーでスタートし、ボビィ・ジョーンズが4アップで最初のラウンドを終了した。彼はいつものようにトーストの上にチキン・サラダを乗せたものとアイス・ティーの昼食を摂った。
準決勝の第二ラウンド。ジェス・スウィーツァーのいくつものミスに助けられ、ボビィ・ジョーンズは9 and 8で圧勝した。
・9月27日(土曜日)決勝マッチの相手はEugene Homans(ユージーン・ホーマンズ、22歳、米国)で、二人は以前に何度か対戦したことがあった。この日、USGAは一つの発明を披露した。若者に二人の対戦者の氏名と勝ち負けを記した表示板を2メートルの棒の先につけて持たせ、観衆に進行状況を示したのだ。この朝、18,000人の観衆がNo.1のティーからフェアウェイにかけてひしめいていた。正装した海兵隊々員50名がプレイヤー二人を護衛するために詰めていた。 |
ボビィ・ジョーンズはゴルフ史上誰よりも多い13のメイジャーに優勝し【註】、もう達成すべき記録はなくなった。二ヶ月後の11月、ボビィ・ジョーンズは引退を宣言した。【註】Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は18のメイジャー優勝者で、これが現在最高の記録です。
(March 06, 2021)
●錆び落とし
シニアのゲームに完全復帰するには、まだ躊躇しなければならない事情がありました。頼みの綱のショートゲームが、頑固に錆び付いていたのです。チョロはするわ、ザックリはするわ、目も当てられません。こんな状態で復帰してキャプテンにでもさせられたら、一緒にプレイするチームメンバーは自爆作戦に出撃するような絶望感に襲われるでしょう。私一人が惨めな思いをするだけならいいのですが、犠牲者を巻き添えにするのは避けたい。
で、ここのところ必死で練習ラウンドをしています。2/25は85、2/28は84、3/04は83、3/05は82で、着実に(?)一打ずつ進歩しています(;へ;)。この調子では「80を切る!」は前途遼遠です。しかし、一条の光明が指しました。私のチップ・ショットはいつの間にかアッパーな軌道になっていたことに気づいたのです。ひたすら地面に平行に滑らす軌道を追求し出してから、寄るようになりました。
ドライヴァーの方向性はいいのですが、ジム通いを停止しているせいで飛距離が落ちています。家で上腕三頭筋を鍛える運動を一日おきに実施しています。早く筋肉が元通りになってほしい。
アイアンの欠点も解明出来たような気がします。現在Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)が執筆したゴルフ本を読んでいるのですが、彼の90°くらいの肩と腰の捻転に較べて、最近の私の捻転は充分でなかったことに思い当たりました。また、彼のコックの度合いを見ると、私はいかにも少ない。正しいコックは飛距離だけでなく方向性にも影響するので、コックを増そうと考えています。
(Mach 06, 2021)
●肥満体ハンドルの効果
当サイトでは、混乱を防ぐためクラブの握り方を「グリップ」、クラブの握る部分を「ハンドル」と使い分けています。
私のドライヴァーはテニスのグリップ・テープを巻いて太くしてあります。数年経って指のあたる箇所が擦り切れ、白っぽくなって来たので新しいテープを買って来て取り替えることにしました。古いテープを剥がしかけ、「待てよ?この上に巻いて、さらに太くしたらどうなるだろう?」
カナダの異才Moe Norman(モゥ・ノーマン)のスウィングを広めようとした'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)は、特別なハンドル、特別なヘッドのアイアン・セットを販売しました。ハンドルは左手のパームで握るため、太くて均一な厚みになっています。これは一般に"non-tapered grip"と呼ばれているもので、全体が太いのです(普通は末端が太く、ヘッド方向に細くなっている)。私の(ウェッジを除く)アイアン全てにこの"non-tapered grip"をインストールしています。
ドライヴァーだけはテニスのグリップ・テープを二重に巻いてあったのですが、今回試しに三重にしてみたのです。凄くいい握り心地です。なんか、軽く振っても飛ぶような、車のエンジンをグレードアップしたような感じ。(写真上)
ついでなので、パターのハンドルも三重にしてみました。パター・ハンドルを太くするのは、Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)が流行らせたSuperStroke(スーパーストローク)の影響です。一時、私もSuperStrokeの太いハンドルを買おうかと思ったのですが、どうにもあのデカデカと印刷されたロゴが嫌いで踏み切れませんでした。あのフォントも品がないし、文字サイズもでか過ぎて嫌味です。で、テニスのグリップ・テープを巻くことにしたのです。要するに、手先でパターをコントロールするのでなく、肩・腕・手を一体にして動かすために太くするわけですから、材料は何でもいいわけです。
で、三重にしたパターも握ってみると、ふつふつと安心感が湧いて来て、ボールを常にガツンと捉えられるような気がします。(写真下)
さて、実際にプレイしてどうだったか?
練習ラウンドで安定したパットが出来、これまでよりいい結果を達成出来ました。パターに肥満体ハンドルは向いているのは間違いありません。ドライヴァーは、何やら野球のバットを振るのに似た感じがして、ついホームランをかっ飛ばそうという気にさせられます。これは逆効果です。手先で打ったのではパワーは生まれません。「身体でスウィングしよう」と逸る気持を抑えると飛ぶようになりました。
【追記(March 08, 2021)】本日のラウンドのNo.16(200ヤード、パー4)、私はガード・バンカーの左手前を狙ってドライヴァーを打ったのですが、ボールは真っ直ぐガード・バンカー目指して飛んでしまいました。ま、普通私のパワーでは滅多にバンカーには入らないので安心していましたが、行って見るとあと数センチでバンカーに入るギリギリのところで止まっていました。これは肥満体ハンドルの効果だと思います。通常より30ヤードは遠くに飛びました。ピンまで15ヤードを1メートルに寄せてバーディ。
(Mach 06, 2021)
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