July 09, 2021

達人たちのバンカー・ショットの智恵

 

・Tiger Woods(タイガー・ウッズ)
'How I Play Golf' by Tiger Woods (Warner Bros., 2001)

「バンカー・ショットでは力む必要はないので、軽いグリップ圧でクラブを握る。 ショートしないために、ピンの天辺を狙う

・Corey Pavin(コリィ・ペイヴン)1995年U.S.オープン優勝者
'Corey Pavin's Shotmaking' by Corey Pavin (NYT Special Services Inc., 1996)

「足を砂に1インチ(約2.5センチ)潜らせたら、クラブも1インチ短く持たなくてはならない」

・Colin Montgomerie(コリン・モンガメリ)
'The Thinking Man's Guide to Golf' (Orion, 2003) by Colin Montgomerie (Orion, 2003)

 

「最も多い過ちの一つはボールに向かって減速してしまうことだ。その原因は長過ぎるバックスィングにある」

・Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)
'Golf Annika's Way' by Annika Sorenstam (Gotham Books, 2004)

「高く、ソフトなショットを打つためには、インパクト・ゾーンでクラブフェースが空を向き続けていなくてはならない。私は単純にフィニッシュまで肩を廻す。上体を、胸がターゲットを向くまで回転させるのだ。両手はクラブフェースをオープンにしたまま、フォロースルーまで身体の前に留まる」

達人ではありませんが、インストラクター共著の本で普通云われていないtipを読みました。 'Total Golf' by Mike Adams & T.J. Tomasi (Triumph, 2000)

「足を砂に潜らすとクラブのホーゼルがボールに近くなってしまう【編註:ボールがホーゼルに当たるのはシャンクの原因】。だから、足を1インチ(約2.5センチ)砂に埋めたら、1インチだけボールから遠くに立つこと」

足を砂に埋めたら、クラブを短く持つか、ボールから遠ざかるかどちらかを選択しなければならないようです。

(July 09, 2021)

バンカーのコツは「バックワード・プレス」

 

Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)の本の「バンカー・ショット」の章は、右のイラストと共に次のように説明されています。

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'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, 1976)

「カットするアクションを効果的にするため、両足はオープンにすべきだ。あなたが得るべき感覚は、クラブヘッドを両足と平行にスウィングするというものだ。しかしながら、クラブヘッドは終始ターゲットにスクウェアに留まるように」

右図は、上の説明に付属しているイラストを出来るだけ正確に模写したものです。イラスト内のクラブフェースはターゲットにスクウェアではなく、オープン気味です。

PGAツァー・プロCorey Pavin(コリィ・ペイヴン)も自著で同じように述べています。

'Corey Pavin's Shotmaking'
Corey Pavin with Guy Yocom (NYT Special Services, Inc., 1996, $14.00)

「実質的にどのバンカー・ショットも、アドレスとインパクトでクラブフェースをオープンにしてプレイされる。リーディングエッジはスタンスラインの遥か右を向く。しかしターゲットにはスクウェアに狙うべきだ」

これらの記事と図解によって、私の頭は混乱させられました。ウェッジ底部のバウンスを露出させるほどフェースをオープンにしたら、当然リーディングエッジは上図のようにターゲットの右を向きます。それなのに「しかもターゲットにスクウェアであるべきだ」とは?

LPGAプロJenny Shin(ジェニィ・シン、韓国)の2016年のLPGAツァー優勝は一勝だけでしたが、サンド・セーヴ率63%という画期的なスタッツを達成したため、'Golf Digest'誌が見開き二ページで彼女のバンカー・ショット技法を紹介しました。彼女は次のように述べています。

'Bunker basics'
by Jenny Shin ('Golf Digest,' October 2016)

「ボール位置はスタンスの前方でクラブフェースを右に廻すことによってオープンにする。次いで、両手を僅かにターゲットから遠ざける。両手を後方に動かすと、(右を向いていたオープンな)フェースは再びターゲットにスクウェアになる

「両手を後方に動かすとスクウェアになる」だって? 立ち籠めていた霧が俄に晴れて来ました。

上のJohnny MillerやCorey Pavinの言葉は《フェースはオープンにするのだが、リーディングエッジがターゲットより右を向いていてはいけない》という意味だったのです。Johnny Millerの本のリーディングエッジがターゲットの右を向いているイラストはアドレスの最初の段階であり、両手を後方に動かす前だったのでしょう。このイラストのようにセットした後、Jenny Shinが云うように両手を後方に動かすと、リーディングエッジはターゲットにスクウェアになります。

 

アイアンを打つ際、両手をターゲット方向に少し動かす動作を「フォワード・プレス」と云います。上の場合は方向が逆ですから「バックワード・プレス」と云うべきです。

Johnny Millerは次のように付け加えています。「ボールには自然に左から右へのスピンがかかるので、クラブフェースは僅かにピンの左を狙うべきだ」…と。つまり、上図のサンドウェッジのフェースはスクウェアでも不可で、ごく僅かにクローズ(左向き)であるべきなのです。

ついでなので、Jenny Shinの技法をもう少し。

「腕による大きなスウィングをするが、アドレスで形成した手首の角度を維持すること。下半身も捻転させることを忘れてはいけない。あなたの目標は、バックスウィングの間じゅう手首の角度をそっくりそのまま維持して、クラブフェースをオープンにし続けることだ。

ダウンスウィングではよく云われるようなボールの後ろ5センチなどを考えてはいけない。それは砂の取り過ぎであり、ボールの飛距離が予測出来ない。そうではなく、クラブ底部のバウンスを砂の中でスライドさせることに集中せよ。クラブヘッドがボールの後ろではなく、ボールの真下に達することを考えるべきだ。

砂を打ち抜き続けること。多くの人々がフォロースルーを忘れて、脱出に失敗する。必ず、フル・フィニッシュをするように

 

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現在の私の場合、必ず右スピンがかかるわけではなく、ピンの左にボールが集まります。もっとカットするスウィング軌道が必要のようです。一度だけですがピン傍5センチに寄ったことがありました。展望は明るいと云えます。

(Juiy 09, 2021)

バンカー・ショット練習法

 

1995年のU.S.オープン優勝者でショート・ゲームの名手Corey Pavin(コリィ・ペイヴン)が紹介する練習法。

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'Corey Pavin's Shotmaking'
Corey Pavin with Guy Yocom (NYT Special Services, Inc., 1996, $14.00)

「普通のグリーンサイド・バンカーでの目的は砂からボールを抉(えぐ)り出すことではない。もの凄いパワーも必要ないし、ボールをほじくり出す必要もない。単純にクラブヘッドをボールの下でスライドさせればいい。

最適のイメージであり効果的でもある練習法は、ボールが砂の表面と同じ高さになるようにティーを刺す。あなたの使命はそのティーを真っ二つにすること。実際はティーを折ることなんてほぼ不可能なのだが、それを遂行しようと努力する。

ティーを真っ二つに折ろうとすると、あなたは否応なくボールの下1インチ(約2.5センチ)の深さをクラブヘッドで貫かなくてはならない。ティーを弾き飛ばすには、クラブヘッドがボール後方数インチ(5〜7センチ)のところに突入する必要がある。もしあまりにも遠くで突入するとティーはびくとも動かない筈だ」

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この練習法のアイデアは上のJenny Shin(ジェニィ・シン)の「クラブヘッドがボールの後ろではなく、ボールの真下に達することを考えるべきだ」という言葉に呼応します。

やってみると、これは確かにいい方法です。ティーを横薙(な)ぎにするということは、砂への攻撃を「点ではなく面」として考えさせるので、クラブヘッドをボールの下でスライドさせるスプラッシュ型バンカー・ショットに最適です。

(July 09, 2021)

バンカー・ショット再履修・part 3

 

当家の書棚からバンカー・ショットに関する記述があるものを順に読み漁っていて、Mike Mecgetrick(マイク・マゲトリック)というインストラクターの本'The Scrambler's Dozen'にぶち当たりました。これのスプラッシュ型ショットの説明として次のように書かれていました。

「普通のライでは"V"の字スウィング、目玉など劣悪なライでは"U"の字スウィングをする」

「ウッソーっ!」と思いましたね。「逆でしょうが!」普通の(申し分のない)ライでは、クラブヘッドを砂の表面で15センチほど滑らす必要があるので、比較的フラットな"U"の字スウィングが必要で、目玉ではボールの近くにグサッとヘッドを突き刺し、その反動でボールを弾き出すので鋭角的な"V"の字スウィングが必要です。

翌日コースのバンカーで実際に"U"の字と"V"の字の比較テストをしてみました。ソフトな砂のバンカーで、56°と52°のウェッジで試しました。明らかに"U"の字の圧勝でした。私のコースの砂質には52°が合っています。プロやインストラクターたちは、あくまでも自分に役立っている方法を教えようとてんでんばらばらのことを書いている気がします。

で、全てに疑心暗鬼となった私は、巷間云われている「ボール位置は左踵の前方」も怪しいと思い、試しにスタンス中央近くをボール位置にしてみました。真っ直ぐピンに向かうじゃないですか!なあんだ!「左踵の前方」も私には向いていなかったのです。

で、現在の私は次のようにしています。
・ボール位置はスタンス中央の僅かにターゲット寄り
・ややボールから離れて立つ
・オープン・スタンス
・超ウィーク・グリップ(右手の"”V"が左肩を指す)【手首が返ってクローズになることの予防】
・クラブフェースをほんの僅かオープンにする
・「バックワード・プレス」で、リーディングエッジをピン方向にスクウェアにする
・テイクアウェイ直後から左手首を凹型にコック
・フラットなバックスウィング
・ボールの直下でクラブヘッドを滑らす
・高いフォロースルー

この方法で堅実にピン方向に寄せられるようになって来ました。

(July 09, 2021)



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