August 01, 2021
●Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 完璧なアイアン・ショット
'Secret of the Master'
edited by Sidney L. Matthew (Sleeping Bear Press, 1996, $22.00)
「アイアン・ショットは、ウッドと較べると一つの重要なポイントによって異なる。どのアイアンであれ、正確度の必要性が高い。ボールをピンに限りなく近くまで飛ばし、(バックスピンをかける時を除けば)ピンを飛び越してはいけない。
私の若い頃に問題だったのはドライヴァーをヒットダウンし、アイアンを打ち上げようとする傾向だった。注意すべきは二種類のクラブの目的である。ドライヴァーによるショットは多くの転がりを求め、アイアンによるショットは着地後すぐ止まって欲しい。
人がマッシー【訳注:現在の5番アイアンに相当】を手にし、大きく口を開けているグリーンサイド・バンカーを越えてピッチ・ショットを打とうとする時、彼の最初の衝動はボールを空中に浮かべようとすることである。私は数限りないこういう人々がバックスピンを掛けようと試みるのを見て来た。彼らは、わざわざ苦労しなくてもロフトの多いクラブが必要な高度を与えてくれるのだと考えない。
バックスピンは着地後すぐボールを止めるのに役立つだけではない。それは空中でのボールの飛行を安定させる作用があり、旗竿に向かうラインから逸れないようにしてくれる。ボールに向かってスウィングするのが困難な手強いラフからピッチ・ショットをしようとする者は誰でも、コントロールを容易にしてくれるスピンに感謝する筈だ。ヘヴィなラフからだとボールはしばしば右や左に飛び出し、数ヤードも狙ったラインを逸れ、どの方向に向かうかは誰にも予測出来ない。
ピッチングに使うクラブを含めてどのアイアンでも、ヒットダウンすることが不可欠だ。それはボールを打つ際、身体の左サイドが上に突っ張らないということである。左肩、左手、クラブヘッドなどは全て低く留まり、体重は、全てが左足に掛かるまで、スウィングする間に右から左へ移動する。
完璧なアイアン・ショットにおいては、クラブヘッドはボールに向かって下降し、ボールを越えてもなお下降し、芝生からディヴォットを抉(えぐ)りとる。以上を遂行するには、左手のグリップをしっかりさせ、インパクトで左腕がストレートに伸びていることが必須である。また、私は左掌によって下方に押し続ける感覚を好む【編註参照】」
【註】ここでは"left palm"(左掌)となっているのですが、別の箇所でBobby Jonesは「左手のヒール(手首に近い部分の掌の膨らみ)でクラブを押す」と書いています。実際に試してみましたが、左手のヒールという表現が正しいと思います。
(August 01, 2021)
●私の距離調節法
私が頻繁に「クラブを2.5センチ短く持つ」とか「5センチ短く持つ」などと書いているので、「定規で測ってるんだろうか?」と不思議に思われている方もおられるかも知れません。これはずっと以前に紹介した方法なのですが、再度説明しておきたいと思います。
ゴルフクラブは、普通10ヤード刻みでボールが飛びます。人によって飛距離は違いますが、仮に5番アイアンで平均150ヤード飛ばす人であれば、4番アイアンだと160ヤード、6番アイアンなら140ヤード飛ぶはずです。私の場合はそうなっています。
さらにゴルフクラブには《1インチ(2.5cm)短く持つと飛距離が10ヤード減る》という法則があります。これを利用すると、上の例のゴルファーの場合5番アイアンを2.5センチ短く持つと140ヤード打てます。「クラブを替えれば済むことじゃない?」とおっしゃる?いや、6番の高い軌道でなく、5番アイアンのロフトで低めに140ヤード打ちたい場合もあるのです。
凄いのはここからです。中間の1.25センチに親指を当てれば145ヤード打つことが出来ます。スウィングの長さや強さで飛距離を調整するよりずっと楽だし正確です。特にショート・アイアンやウェッジでピン目掛けて打ちたい場合、5ヤードの差は重要です。スウィングを変えずに5ヤード刻みで打てるのですから、最高の中間クラブ対策と申せましょう。
これは非常に便利なので、私のアイアンには全て2.5センチ毎にマークがつけてあります。そのマークに左手親指を合わせてグリップします。触って判るようなマークをつけるとルール違反ですが、修正液で目盛りをつけるだけなら触感は得られませんのでセーフです。修正液の上からマジックで色をつけて、一目で何センチか判るようにしています。
というわけで、「クラブを2.5センチ短く持つ」というのはとても簡単に実行出来ることなのです。
(August 01, 2021)
●ストローク練習法・上級篇
右図のように、何か直線の物体の真上でストロークがスクウェアかどうかチェックするのが私の練習法ですが、直線が見えていれば、アイ=ハンド・コーディネーションによって身体は無意識に調整するでしょうから、正しいストロークが出来るのは当然です。この練習法で自分のストロークは完璧だと自信をつけても、コースのグリーン上に物差しを置くわけにはいかないので、本番でその完璧さが再現出来るかどうかは神のみぞ知るです。
で、一歩進めて、直線上でアドレスしたら目をつぶってストロークしたらどうかと思いました。ストローク終了後に目を開けてパター・ヘッドが依然として線上に留まっているかどうかを点検するのです。もし、終点でパター・ヘッドがクローズだったりオープンだったりしたら、ポスチャーやアドレス法(特に腕の伸ばし加減)、往復運動…のどれかがまずかったので、それを改善する必要があります。
私がこのアイデアを試したところ、最初の数回の結果がかなり上下に乱れていたので慌てました。その後、両手とも生命線がパターのハンドルの角に当たるようにグリップし、肩がターゲット・ラインと平行になるように左膝の角度を調整、最後に左肘を軽く伸ばすよう務めたらスクウェアなフィニッシュが得られるようになりました。
目をつぶってストロークするのですから、目からの情報による微調整はなく、身体の自然な動きでストロークするわけです。ちょっとした改良ですが、結果は大違いです。
(August 01, 2021)
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