April 09, 2021

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 正しいタイミング

 

'Secret of the Master'
edited by Sidney L. Matthew (Sleeping Bear Press, 1996, $22.00)

これは'The Best of Bobby Jones'(ベスト・オヴ・ボビィ・ジョーンズ)と銘打たれた、ボビィ・ジョーンズのいくつかの著書から抽出したtipsをまとめた本です。

「ゴルフの最も重要な特色ある部分について説明したり理解することが非常に難しいのは、大変不幸なことである。われわれはよいタイミング、まずいタイミング、タイミングの重要性などについて話すけれども、タイミングとは何なのかその意味をハッキリさせられる人は一人もいない。初心者は『タイミングが悪いからショットが台無しになっている』とは指摘されるが、どうすれば正しいタイミングになるのかは説明されない。

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私が確信していることは、まずいタイミングが引き起こすエラーは、ダウンスウィングであまりにも早期に打とうとする傾向だ。これは全てのゴルファーに一般的に見られる過ちで、うっかりすると熟練者にも起る慢性病である。しかし、初心者の場合には常習的習慣と云える。スコアが90台以上の人は100回のスウィングのうち99回まで早めに打つ。

あまりにも早期に打つことはタイミングそのものの問題である。それはクラブがボールに達する以前に、パワーの大部分を消費してしまうという結果を招く。全てのパワーをボールに伝える前に、空中で雲散霧消させてしまうのは非常に愚かなことだ。誰もが、自分は正しいテンポで打てないのではないかと恐れているように見える。実際、レイト・ヒットすることを習慣にしている人など、一人も見たことがない。たまにインパクトまでにクラブフェースをクローズに出来ない人がいるが、これはレイト・ヒットからかけ離れた問題である。

このトラブルの第一の原因は右手とその手首の動きにある。左手がしっかりしたグリップで、その左手がコントロールし続ける限り時期尚早のヒットというのはあり得ない。左サイドは左肩に引かれてバックハンドで打つものであり、手首のアンコックによる一撃ではない。

しかし、右手はパワフルで、テニスのフォアハンドと呼ばれるものだ。それはフォローしやすい方向へ最もイーズィに動く。しかし、右手のパワーはインパクトの瞬間まで手綱を引き締められておくべきものだ。

私は、誰もがヴィデオ映像によって正しい右サイドの動き、特に右手首の連続した動きを注意深く見てほしいと思う。熟達者の場合、コックは少なくともダウンスウィングの半ばまでトップで形成されたままの形で維持される。対照的にダッファーはダウンスウィングに移るや否や手首でクラブを鞭のように使おうとする。彼は性急に身体の全ての捩れ(コイル)を解(ほど)いてしまい、手首は完全に真っ直ぐとなって、残ったエネルギーは腕と肩だけとなり、ボールを打つには身体を捩るしかない。

プレイヤーが何かを使い果たしてしまうと、待つことが困難になる。だから、レイト・ヒットという感覚を磨くのが賢い選択だ。最初は優しくボールに向かう。私は、二流のゴルファーたちが多少抑制することを練習して素晴らしい結果を得たケースをいくつも知っている。いったんその感覚を身につけると、ドライヴァーはシャープに当たるようになり、プレイヤーの能力の限界まで速度とパワーが次第に増して行く」

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Bobby Joneの写真、左外側の線がバックスウィング、その右の線がダウンスウィングです。テイクアウェイではまだコックされていないので半径が長いですが、ダウンスウィングになるとレイト・アンコックの作用で半径が短くなっています。

(April 09, 2021)

精確に狙ったところへ打つ秘訣

 

これは、我ながら凄い発見です。パー3に乗せるために苦闘した成果ですが、当然パー4やパー5でピンを狙って打つ際にも使えます。

発端はあるパー3におけるトリプルでした。スランプだった一月、二月の練習ラウンドで、私が何度もトリプルを出したホールがありました。それはNo.4(134ヤード、上りのパー3)で、私の場合、18°ハイブリッドを短く持って打つと乗るホールです。

ところが、乗るどころか大きく左に逸れ、距離も10ヤードも長過ぎるという症状が出ました。この砲台グリーンは縦に長く横に狭いデザインなので、両脇から攻めるのは非常に難しい。グリーンに着地させると、ごろごろ転がってオーヴァーし、そこからの寄せもまた反対側へオーヴァーして、行ったり来たり。これがトリプルの構造です。練習ラウンドでは性懲りもなく18°ハイブリッドでワンオンを狙い、三回もトリプルを記録しました。

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私は作戦を変えました。乗らないクラブにしがみつくのは馬鹿である。グリーン手前に短く打てば、ピンまでの距離は長いので(しかも上り)、上手く寄せてパー、悪くてもボギーで上がれる。トリプルには絶対にならない。で、以後このホールではショート覚悟で21°ハイブリッドで攻めることに宗旨替えしました。

No. 12(102ヤード、パー3)は上り勾配のホールで、これも砲台グリーン(このコースは全て砲台)。私の場合、ここでは6番アイアンを7.5センチ短く持って打つか、7番アイアンのフル・スウィングかどちらかです。6番だと乗っても危うくこぼれそうなグリーン左の奥へ行ってしまいます。7番だとうまくいけばぴったりなのですが、中々うまくいかず、最悪は手前のバンカーに入ってしまいます。

で、贅沢を云わず、ピンから遠くても乗ればいい…と6番を選ぶのですが、これも最近乗らなくなりました。何が原因か考えました。6番アイアンでグリーン左へ行くことを避けるために、私はピンの右を狙うようにしています。ところがボールを真っ直ぐグリーン右横へ打ってしまうことが多い。何故か?大事を取ってスウィング速度を遅くし過ぎるので、フェースがオープンのままインパクトを迎えてしまうのだろう…というのが、私の推測でした。スウィングが早過ぎると、今度はフェースがクローズになった時点でインパクトを迎えるのでプルしてしまう。私本来の適切なテンポが必要なわけです。

ある日、私の推測が正しかったことが証明されました。この日、パー3では《早くも遅くもなく、強くも弱くもない中庸の速度でスウィングする》を目標にしました。21°ハイブリッドで打ったNo.4では皆がやんやと誉めてくれたほどピンに向かって真っ直ぐ飛んだのですが、10ヤードもグリーンをオーヴァーしてしまいました。

No.12、短く持った6番アイアンを《早くも遅くも、強くも弱くもない中庸の速度でスウィング》をしたら真っ直ぐ飛びました。誰かが「ホールインワンだ!」と叫んだほど、ピンにまっしぐらでした。しかし、行ってみるとグリーンを10ヤードもオーヴァーしていました。

No.13(184ヤード、上りのパー3)では、いつもパー4と同じようにドライヴァーをやや短く持って打ちます。ここでも《早くも遅くもなく強くも弱くもない、中庸のスウィング》をしたら、真っ直ぐピンに向かいましたが、ピンを15ヤードもオーヴァー。

以上のことから判るのは《早くも遅くも、強くも弱くもない、自分本来のテンポでスウィングする》が正しいことで、これを遂行すればクラブ本来の飛距離で真っ直ぐ飛ぶボールが得られるということです。方向は心配せずによくなり、適切なクラブ選択だけが重要になります。

「Nick Faldo(ニック・ファルド)のテンポ」(tips_70.html)で、彼は「3番ウッドであろうが、5番アイアンであろうが、私のスローなテンポは同じである」と云っています。普通、長いクラブはゆっくりのスウィング、短いクラブは速いスウィング…と思われますが、彼は自分に最適なテンポを発見したので、どのクラブでもそれを変えないことにしたわけです。今になってその正しさがよく解ります。

次のラウンドのNo.12。6番ではなく、7番を2.5センチ短く持って打ったショットは、又もやみんなが「ホールインワンだ!」と叫ぶようなショットでしたが、ショートしてグリーン・エッジでした。

その次のラウンド。中庸の速度によるスウィングは四つのパー3で、全て真っ直ぐ飛びました。No.4はピンから30ヤード下のエッジ(ボギー)、No.7もピンまで25ヤードほどショートしてエッジ(ボギー)、No.12はピンから15ヤード下のエッジ(パー)、No.13はワンオンしたもののピンまで30ヤードほどショート(パー)。以上、まだまだクラブ選択と握る長さによる距離調節が必要ですが、方向を心配しなくていいことは確実になりました。

 

(April 09, 2021)

「トップで置き去り」その後

 

数日前のラウンド、前半は6オーヴァーと不出来でしたが、後半は2バーディに助けられてハーフ・パープレイ、合計6オーヴァーでした。

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No.17(271ヤード、パー4)での私の二打目はピンまで90ヤード。私のデータベースでは9番アイアンを7センチ短く持って打つ距離。この後半は「置き去り」スウィングがずっと功を奏していましたので、もちろんそれを最優先でスウィング。ボールはピン目掛けてまっしぐらに飛び、カップの横で停止しました。行ってみると、カップの5センチ横でした。「もう少しでイーグルだった…」と私が呟くと、グリーンに上がって行って私のボールを拾い上げてくれた男が、「入っちまえばよかったのに…」と口惜しがりました。

次のNo.18で私がボギーを出したため、他のチームとタイとなって勝利を逃しました。ほんと、入ってくれていれば勝てたのに…。いずれにせよ、「トップで置き去り」スウィングがいかに正確なショットを生むか…その威力を見せつけた実例と云えましょう。

写真は「置き去り」スウィングの元祖Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)です。彼のトップは最近の理論からするとやや深め(オーヴァー気味)ですが、ダウンスウィングを下半身から始めていることは左膝と腰の動きで明瞭です。このダウンの開始でクラブは依然として水平の状態に留まっています。これが「置き去り」の神髄です。オーヴァースウィングでなければ、クラブは約20〜30°ぐらいに立っていることでしょう。いずれにしても、膝の動きに釣られず手とクラブがこのように遥か後方に留まるのが「置き去り」ダウンスウィングで、正真正銘狙ったところに真っ直ぐ飛びます。熱心なゴルファーなら絶対マスターすべき技です。

私の場合、ここ数ヶ月《下半身(特に左膝)がリードするダウンスウィング》に苦心して来たのですが、それは無駄ではありませんでした。それなくして「トップで手とクラブを置き去り」にすることは出来ないからです。Bobby Jonesやプロたちは手とクラブがトップに達する以前に左膝と腰の逆転を同時に開始するのですが、その真似が出来ない私は1) トップで手とクラブを一時停止→2) 左膝と腰がリードするダウンスウィング→3) 下半身につられて手とクラブがダウンスウィングに参加する…という順序で実行しています。アマチュア版「置き去り」とも云えますが、効果のほどは同じです。

(April 09, 2021)



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