April 01, 2021

アイアンをヒット・ダウンすべき理由

 

'The facts of attack'
by Ron Kaspriske ('Golf Digest,' issue 3, 2020)

「『あなたが以前8番アイアンで届いたグリーンに、6番アイアンを抜くようになったら“攻撃角度”を再考すべきだ』と、ゴルフ・クラブ研究所々長のGene Parente(ジーン・ペアレント)は云う。『いいアイアン・ショットを打つにはヒット・ダウンすべきである』

[Byron]

彼はロボットが打つスウィング速度を80 mph (36 m/sec)と92 mph(41 m/sec)に設定し、ボールに対し三つの攻撃角度でテストを行った。その結果、一般的ツァー・プロがボールを打つマイナス7度の角度(下降軌道)だと7番アイアンで10〜23ヤードキャリーが増し、ラン込み合計26ヤード増であった。他の攻撃角度は、アマチュアに一般的なマイナス1度とプラス2度だった。

ジーン・ペアレントは云う、『7番アイアンを36 m/secで、しかもマイナス7度(下降軌道)で打てば、プラス2度(上昇軌道)で打つよりもキャリーで10ヤード増す」その10ヤードは低く飛び、スピン率が低いので正確度も増す。

インストラクターBobby Clampet(ボビィ・クランペット)は昔から生徒にアイアンではヒット・ダウンし、ボール前方(ターゲット方向)10センチの地面を打つべきであると教えている。それこそツァー・プロがやっていることであり、彼らが7番アイアンで200ヤード超打つ理由なのだ。『彼らの7番アイアンは、アマチュアの4番アイアンみたいなものだ』とボビィ・クランペットは云う。

ジーン・ペアレントは次のような事実も発見した。プラス2度とマイナス1度の攻撃角度は、ターゲットに対し約5度の範囲内でアウトサイド→インサイドのスウィング軌道で打つことになる(=軌道がばらつく)。それに反し、マイナス7度だと3度の範囲内でインサイド→アウトサイドの軌道となる(=軌道はより正確)。

ボビィ・クランペットは云う、『腕で打つのでなく、身体の回転によってインサイド→アウトサイドで打とうとすれば、かなりの程度ヒット・ダウン出来る』」

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ある日のラウンドのNo.2(パー4)の二打目で、ヒット・ダウンすることに努力してみました。6番アイアンによる打感は良かったのですが、弾道がかなり低く出たため「あ、こりゃグリーン・オーヴァーしたな」とガックリ。ところが行って見たらピンの先1.5メートルについていました。ヒットダウンすると方向性がいいというのは本当です。残念ながらバーディ・パットには失敗してしまいましたが…。

No.5(パー4)の二打目でもヒット・ダウン。7番アイアンで打ったボールは、グリーン手前のバンカーに入ったように見えました。ところが、グリーンから転げ出てピンまで20ヤードの芝の上に届いていました。低めの弾道のお蔭です。難なくパー。

その次のラウンドのNo.3(227ヤード、パー4)の第二打、ピンまでの距離は70ヤード。私のデータベースによってピッチングウェッジを選び、ボビィ・クランペットが云うように(手・腕でなく)身体の回転で打つことに努力しました。あわやチップインのイーグルかと思われたほど正確に飛んだボールは、カップの20センチ先につき、イーズィ・バーディ。

【参考】
・「インパクトの研究」(tips_112.html)
・「インパクトの研究(練習篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(ドリル篇)」(tips_176.html)
・「なぜディヴォットが取れないのか?」(tips_131.html)

【おことわり】図はhttps://www.golfdigest.com/にリンクして表示させて頂いています。

(April 01, 2021)

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 切り返しの極意

 

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)が新聞などへのコラム用に1927〜1935にわたって執筆した記事に、イラストレーターAnthony Ravielli(アンソニィ・ラヴィエリ)の挿画をつけて出版する企画が持ち上がりました。Anthony Ravielliはゴルファーだっただけでなく、解剖学など科学的な知識もあり、絵画のユニークな技法と正確無比な描写でも知られていました。彼の出世作はBen Hogan(ベン・ホーガン)と組んだ'Ben Hogan's Five Lessons' (1957)(邦訳:『モダン・ゴルフ』)でした。

Anthony RavielliはBobby Jonesと何度も打ち合わせをし、下絵も見せました。Bobby Jonesはイラストにいくつか細部の修正を示唆し、正確な記述を期してテキストの書き直しもしました。Anthony Ravielliは章別けから各ページのレイアウトまで担当し、全力を投入しました。Bobby Jonesは前書きで「これは絵本である。この本はAnthony Ravielliの本と云え、この本が成功するとすれば、それはひとえに彼の説得力のあるアートワークの賜物である」と述べています。

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'The Basic Golf Swing'
by Bobby Jones, illustrated by Anthony Ravielli (Doubleday & Company, Inc., 1969)

「バックスウィングがトップに達して、スウィングは方向転換をする。だが、バックスウィングとダウンスウィングの間に一時停止という動作はない。可能な限り、バックスウィングとダウンスウィングは一つの動作として溶け合わさるべきものだ。

だから、この方向転換の一瞬は非常に重要なポイントである。この時点で全ての悪いショットが生まれる。ゴルファーの手が数センチ前方に動いたり、彼の頭の角度が数度ターゲットに向かうだけで、手の施しようがないほどショットは台無しになる。プロにとってさえこの時点は危険な一瞬なのだ。

いかにバックスウィングが完璧でも、もし両手、両腕、あるいは肩が下降を開始してしまったら、クラブは即座に身体の動きによる道案内を失い、腰と背中の捻転によって蓄えられた筋肉のパワーをも失ってしまう。

全てのフル・スウィングに共通だが、両手とクラブがまだ後方に向かっている間に胴体が逆転を始めるべきだ。この動作の順序は二つの重要な結果を達成する効果を及ぼす。先ず、腰の回転がダウンスウィングをリードし、胴体の逆転によって生成されるパワーをクラブヘッドに伝えられることだ。

等しく重要なのは、手首のコックを完了させる効果である。これはクラブヘッドがまだ上昇中に腰の逆転によって手首が引っ張られることで成し遂げられる。ダウンスウィングが開始する際、ゴルファーはクラブヘッドをトップで置き去りにする感覚を得るべきである

(April 01, 2021)

「トップで置き去り」の快感

 

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の本を読んでいて、「トップでクラブを置き去りにする」というレイト・ヒットの秘訣に再会しました。この「トップで置き去り」という手法は、もう十数年前から知っていたのですが、最近の私は忘れていました。

このところ、その実行に励んでいます。実行出来ると、ボールは恍惚となるほど真っ直ぐターゲットに向かって飛んで行きます。「こういうことだったのか!」今になってやっと「置き去り」の真意が理解出来ました。ゴルフは奥深く、簡単には会得出来ないものですね。

過去数ヶ月、トップに達したら左膝の逆転でダウンスウィングを始める…ということに執着していたのですが、その方法でも手とクラブが早期に下降し始めてしまってはレイト・ヒットになりません。レイト・ヒットはトップで形成した手首のコックを保ち、同時にボールに対してスクウェアな角度も保ちます。そして、最後の最後にインパクトでコックを解放することによって、ボールをヒットダウンします。それら全てがボールの方向性を正確にする助けとなります。これがレイト・ヒットの御利益です。

最初はワン・ラウンドで一回か二回、「置き去り」が実行出来た程度でした。その回数が徐々に増えつつあります。「置き去り」の快感を知ると、「もっと、もっと!」と思いますが、今のところ全てのショットで実現出来るまでには至っていません。

「置き去り」に固執するあまり手・腕の動きを硬直させてしまうと、オープン・フェースでインパクトを迎えてプッシュしたりシャンクしたりしてしまいます。「置き去り」技法にこだわり過ぎて、ボールを凝視するのを忘れるとトップしたりします。きつ過ぎないグリップ、リラックスし自分に固有の《遅過ぎず速過ぎない》テンポでスウィングする必要があります。

ある日の練習ラウンド、No.1の出来がお粗末だったので、No.2(275ヤード、パー4)では心を引き締めてプレイすることにしました。その甲斐あって第一打はフェアウェイ中央へ。急な上りの残り130ヤードは、私には24°ハイブリッドを7センチほど短く持って打つ距離。ライは左足下がりなので、打ち上げるのは楽ではありません。

 

左へ飛ぶのなら問題ないのですが、右へ逸れると急な崖下となります。私はBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)が云う「レイト・アンコック」を試してみました。彼はボールをヒット・ダウンすることが精確なショットには不可欠だと説いています。それを実現するには、トップで手・腕を置き去りにする感じで下半身主導のダウンスウィングを行う必要があります(=レイト・ヒット)。私にとってバックスウィング完了前に下半身がダウンスウィングを始めるというのは、ちと慌ただし過ぎて実行不可能なので、バックスウィングのトップで一呼吸置くことにしました。

トップで手・腕を置き去りにした感じで下半身からダウンスウィングすると、打った当人が信じられないぐらいボールはストレートに飛びました。驚くべき効果です。

実際には、ボールはピンから6メートルぐらい下についていて、バーディは無理でした。しかし、イーズィ・パーが得られました。クラブ選択とそれを持つ長さを調節する必要があります。

同じことがNo.8(260ヤード、パー4)でも起りました。第一打があまり飛ばなかったので、第二打の残り130ヤードは21°ハイブリッドを2.5センチ短く持って打つ距離。私の目にはピンが遠くに見えたので、クラブをやや長めに持ちました。ここでもトップで手・腕を置き去りにすることを主眼にしてスウィング。これまた驚くほど真っ直ぐ飛びました。しかし、クラブをやや長めに持ったのが災いし、ピンを8メートルもオーヴァーしていました。レイト・ヒットを心掛けると飛び過ぎるようです。

(April 01, 2021)



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