October 01, 2020

プロと中級者のスウィング比較

 

Jim Flick(ジム・フリック、1930〜2012)は、ゴルフ・インストラクターを教えるインストラクターとして有名で、後年はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のインストラクターを務め、Nicklaus-Flick Golf School(ニクラス=フリック・ゴルフスクール)の共同経営者でもありました。

'On Golf'
by Jim Flick with Glen Waggoner (Villard Books, 1997, $24.00)

彼が執筆した本に、興味深い一覧表がありました。"The Developmental Swing"(上達中のスウィング)は事実上「スライス防止スウィング」、"The Professional Swing"(プロのスウィング)は事実上「フック防止スウィング」だそうです。初級・中級者はスライスが怖い、シングルやプロはフックを怖がるため、それを防ごうと自然にこの表のようなスウィングになるのだとか。中級者でも頻繁にフックが出始めたら、プロのスウィングに鞍替えすべきだそうです。

上達中のスウィング プロのスウィング
1) アドレスで肩と腰はターゲットに対し スクウェアか、ややクローズアドレスで肩と腰は僅かにオープン
2) スウィング初期にコックしてしまう 手首は受動的【編註:捻転に連れてコックする】
3) インパクトゾーンで、インサイド・アウト のスウィング軌道 スウィング弧はターゲット・ラインのインサイドに引かれ、インパクト・ゾーンからインサイドに向かう
4) クラブフェースは、インパクトにかけて回転 しながら下降する クラブフェースはインパクト・ゾーンで終始スクウェア
5) 脚と腰はスウィング動作へのリアクションとして動く フォワード・スウィングは左足と左膝がリードする
6) ボール軌道は右から左 ボール軌道はストレートか左から右
7) 両腕を高く上げたフィニッシュ 両腕が身体に巻き付くフィニッシュ

 

 

Jim Flickに云わせると、中級者の(4)の「『クラブフェースはインパクトにかけて回転しながら下降する』は、インパクトでフェースがスクウェアになる瞬間が極めて短いので、非常に難しいスウィングになる」そうです。

プロの「クラブフェースがインパクト・ゾーンで終始スクウェア」というのは参考になります。ターゲットにスクウェアなインパクト・ゾーンが長くなり、ボールが右へ行ったり左へ出たりしなくなります。

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私はカナダの天才プロMoe Norman(モゥ・ノーマン、1929〜2004)のシンプル・スウィングを模倣していますが、彼のスウィングはターゲット上空に向かってクラブを投げ上げるようなフィニッシュをします。現在のツァー・プロでMoe Normanのスウィングを模倣している人はおらず、ほぼ全員がJustin Thomas(ジャスティン・トーマス)のようにインパクトで立ち上がるようなスウィングです。両者は全く異なりますので、フィニッシュに関しては気にしておりません。

(October 01, 2020)

発射角度より大事なもの

 

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この記事の筆者、Claude Harmon III(クロード・ハーモン三世)は、ブッチ・ハーモンの息子で、ブッチ・ハーモンが引退した後、祖父と父の名声を継ぐインストラクターとなって一線で活躍しています。

'Chase the right benchmarks'
by Claude Harmon III with Matthew Rudy ('Golf Digest,' October 2018)

「ローンチ・モニターはありがたい道具である。どんなスウィングであれ、診断に役立つデータが得られるし、クラビヘッド・スピードが飛距離と相互に関連することを示すのが注目の的に見える。そういうデータはゴルフにとって重要であるが、あなたがスウィング・スピードを上げることに専念すると、ティー・ショットの飛距離を最大限にする方法を無視することになる。

Brooks Koepka(ブルックス・ケプカ)やDustin Johnson(ダスティン・ジョンスン)らは、非常に速くスウィングするが、彼らは同時に絶え間なくクラブフェースの真ん中で打つのだ。

次回、あなたが練習する際、ハイテクのローンチ・モニターのことは忘れて、旧来の方法を選んでほしい。クラブフェースに水虫スプレーを噴霧し、ボールとの接触を向上させるように努力する。フェースの真ん中で打つと僅かのスピードを犠牲にするかも知れないが、その結果はあなたを驚かすだろう。

スウィートスポットで打ち、ボールを理想的な角度で発射すれば、以前速いクラブヘッド・スピードだった時より、さらに多くの飛距離に繋がるしショットのムラもなくなるのだ。スウィートスポットで打つことが、プロのゴルフである」

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[spots]

昔は「スウィートスポットで打て」と云われていましたが、最近の科学的研究ではスウィートスポットの少し上(右図の②の部分)で打つのが最適と云われており、ここを"hot spot"(ホット・スポット)と呼ぶ人もいます。

私は練習場でドライヴァーのフェースに水虫スプレー(粉末タイプ)を噴霧し、どういうアドレス、どういうスウィングをすればホット・スポットでボールを打てるか研究しました。その結果、私の場合ドライヴァーのクラウンに描かれている目印より、約1センチほどトゥ寄りでアドレスすべきだということが判りました。私はその場所にビニール・テープの目印を貼って、そこでボールにアドレスしています。

間違いなくホット・スポットでボールを打つため、左腕を出来るだけ真っ直ぐ伸ばしてアドレスします。もうそれ以上左腕が伸びることはない訳ですから、ヒールで打つことはあり得ません。左腕を縮めないよう、伸び伸びしたスウィングをすれば、クラブヘッドはアドレス位置に間違いなく戻り、いいショットが生まれます。これが、正確でよく飛ぶショットをするコツとなっています。

【おことわり】インパクトの写真はhttps://pbs.twimg.comにリンクして表示させて頂いています。

(October 01, 2020)

トップで手首を折るな

 

これは私の戒めです。トップで手首を折ると、必ずひどいプッシュやフックが出ます。手首を折るのは、もっと飛距離を伸ばそうという欲から出る行為なのですが、これは必ず失敗します。

[wrists] [take away]

《アドレスからテイクアウェイでクラブを飛行線に平行にした時点で、コックは既に完了している》のです(図左)。残されているのは身体を捻転することだけ。コックとは左手の親指側に手首を折ること(図のA)であって、それ以外の角度で手首を凹(図のB)に折ってクラブフェースが垂直だとスライス、凸(図のC)に折ってクラブフェースが天を向いていればフックを生む原因となります。

私の経験では、もっと飛距離を伸ばしたいという場合、手首を折るのではなく、手首はそのままにして右肘を折るべきだと考えています。若くてパワーのある人はそんなことをしなくてもいいのでしょうが、シニアになるとある程度飛距離を得るには何らかの手段を講じなければいけません。私の場合、それは右肘の屈伸で、曲げた右肘を伸ばす梃子(テコ)のアクションが飛距離を伸ばしてくれます。

これを一歩間違えて右肘と共に手首を折ってしまうと悲劇です。ボールがどこに向かうかは手首の角度次第で、右へ行ったり左へ行ったりします。テイクアウェイでコックされた手首の角度を維持し、左肩をボール位置まで廻す…これが基本で、右肘を折るかどうかはオプションです。「飛ばしたい!」という気になった時は、ひとりでに右肘が折られます。手首の角度を変えてはならない。

私は、以上のように考えながらドライヴァーを打っています。

【参考】
・「二度コックするな」(tips_100.html)
・「トップでの手首の角度と球筋」(tips_141.html)
・「テコのパワー」(tips_187.html)

(Octber 01, 2020)



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