November 15, 2020

Green Maps(グリーン・マップス)

 

[16th]

「グリーン・マップス」とはゴルフ・コースの各グリーンの傾斜とその度合い(緩急)を地図にしたもので、有名コースのものはかなり昔から出回っていました。しかし、私がプレイするミシシッピ州の田舎のゴルフ場のグリーン・マップスなんてどんな会社も作成しないだろうと思っていました。ところがそれが売り出されたのです。驚きました。

[GolfLogix]

実は私は自分でこのコースの全グリーンの傾斜を計測し、左図のように地図にしたものを九年前から既に携帯してプレイしていたのです。【参照:「グリーンの地図を作る」(tips_135.html)】しかし、「二歩に一度計測」という方法はいかにも手抜きでした。グリーンの大まかな傾向は解るものの、中距離、近距離のパットのブレイクを読む参考にはなりません。唯一私の地図で自慢出来るのは、勾配のきつさを矢印の太さで表したことです。太い矢印はかなり急な下りの傾斜、細い矢印は急ではないが顕著な傾斜…という具合。

先日私がクラブハウスに早めに行った時、馴染みの職員からGolfLogixという会社が製作した'Green Maps'を貰いました。メンバーは全員無料で貰えるのかと思ったので、その後現われたシニア数人に「早く貰いに行け」と云ったのですが、たった二人が手に入れただけで後はもう品切れだったそうです。GolfLogixのサイトを訪れると、何とこのコースの'Green Maps'は40ドルもする代物でした。後に、このグリーン・マップスをくれた職員に礼を云うと、"Merry Christmas!"と云いました。まだクリスマスには早いのですが、プレゼントだというわけです。

GolfLogixの地図には二種類含まれていて、一つは私のと同じように傾斜の方向を知るもの(白黒)、もう一つは傾斜の緩急を赤(急)、黄色(やや急)、緑(緩やか)、青(平坦に近い)、白(平坦)…と色分けしたものです。さすが40ドルも取るだけあって、傾斜は細かく調べてあり、一つの枡目は5ヤード(約4.6メートル)単位で、その5ヤードの区画に全部で16もの矢印が表示されています。これなら中距離、近距離のパットにも役立ちそうです。ただ、云わずもがなですが、ブレイクを知ってもそれを相殺するポイントに真っ直ぐ打てる技術がなければ、グリーン・マップスは宝の持ち腐れですが…。

【参考:真っ直ぐ打つための練習法:「完璧なストロークの秘訣」(tips_193.tml)】

[No.6]

GolfLogix版の難点は、白黒地図の方向性と、カラー地図による傾斜の度合いが二つに別れていること。いちいち、その二つの地図を照合してストロークの方向と強さを決定しなくてはなりません。ややこしく、まどろっこしい。私は矢印の数が多い(データ量が豊富)白黒の地図をスキャンし、それに傾斜の度合いを示す色を重ね合わせました(右上図)。これなら、方向と傾斜の緩急が一目で読み取れます。

なぜ私がNo.6のグリーンを選んで表示したかという理由を御説明しましょう。ここはパー5(430ヤード)であり、私にはとても2オンなど出来ません。三打目のアイアンで、やっとグリーンのどの地点を狙うかが問題になります。見た目は右の写真のようにさほど急なグリーンには見えないのですが、グリーンの真ん中に着地したボールは全て右の崖下へ転落し、30ヤードほど転がってしまいます。「だったらグリーンの左を狙えばいいじゃないか?」しかし、グリーンの左にはバンカーが待っています。顎が低いのでパターで出せるとはいえ、距離のコントロールが難しいのはバンカー・ショットとさして変わりません。出来れば入れたくない。

[16th]

私の地図(最初の図版)では明瞭でないのですが、GolfLogixの色分けした傾斜の度合いを見れば一目瞭然。このグリーンではピンがどこにあろうとグリーンの左内側5ヤードのところへ着地させなくてはいけないのです。その右に打ったら、全部右側の地獄へ逆落とし。先日、私の三打目はプルしてグリーンの左10ヤード。ピンまで15ヤードとして打ったチップは、グリーンをころころ横断して右のエッジでかろうじて止まりました。私は、ここで寄せを左へミスしたら、チップではなくパットすべきだと反省しました。

寝る前の数十分、コースのいくつかのホールをこのグリーン・マップスで検討すると、「そうか、ここを狙って打てばいいんだ!」という発見があります。グリーン・マップスはパットだけのためのものではなく、アプローチ・ショットにも役立つのです。プロたちは「ストレートなパットが得られる場所に乗せるためにグリーン・マップスを用いる」そうです。私にはそんな細かい芸当は到底無理ですが。

このGolfLogixのグリーン・マップスは横11センチ、縦17.5センチと一寸大きい。ズボンのポケットには入りません。私の最初の案は、地図をスキャンし編集したデータを小さくプリントして携行しようというものでしたが、それよりもいいアイデアが浮かびました。18ホールのグリーンの地図をiPhoneで撮影し、そのiPhoneを携行するのです。iPhoneのアルバムに全ての地図を並べておけば、参照するのも簡単です。これぞ21世紀のゴルフ。

USGAとR&Aは横4.25インチ(約11センチ)、縦7インチ(約18センチ)以上の大きさのグリーン・マップスを携行しての公式ラウンドを禁止しています。GolfLogixの地図のサイズに合わせたようなルールです^^。iPhoneはもっと小さいので問題ありません。私が友人から貰ったiPhone 4(アンティーク!)は殊に画面が小さいので、ベルトケースに入れてラウンドするのに便利です。

【註:グリーン・マップスの著作権を保有するGolfLogixは、地図の複製・配布を禁じています。しかし、私はこの地図の正規の所有者であり、便宜的に自分のiPhoneにコピーしているだけで、配布を目的としているわけではありません。映画のDVDを購入すると、それをコンピュータにコピー出来るサーヴィスがありますが、それと同じであると考えています】

(November 15, 2020)

パットの緊張を取り去る

 

緊張しないでパットする方法として、「練習グリーンでパットしていると思え」というのがあります。これは云うは易く…で、シチュエーション全体を構築しなければならないので、そう容易(たやす)くはありません。

比較的簡単な方法を見つけました。
本番のパットに失敗し、それが納得出来ない場合ノーカウントでもう一度同じラインで練習したりしますよね。この二度目のパットに成功することは珍しくありません。何故なら、…
1) もう緊張していないから。
2) どちらにブレイクするか判っているから。
3) 結構大胆にストロークするから。

最後の「大胆にストロークする」という要素が重要だと思います。われわれが「カップに捩じ込もう!」と考えるとカップに(カップまでの距離に)集中してしまう傾向があります。中央線で云えば、新宿から神田まで行くのが目的だったのに、お茶の水までの勢いしかないストロークをしてしまう。神田が目的地ならややオーヴァー目に東京駅を目指さないといけないのです。パット失敗の後の練習ストロークは、大胆に東京駅を目指す勢いがあると云えましょう。

私はこの「勢い」を重要視すべきだと考えます。「勢い」イクォール「パワー」ではありません。私はパチンと打つストロークではなく、バックストロークの幅で距離を調節するメソッドです。そのバックストロークの幅がパワーに相当します。「勢い」は重力の助けで加速されるテンポだと考えます。ストロークの全行程がどの1センチをとっても、パターヘッドが同じ速度で動いているということはなく、バックストロークからの折り返しはゆったり、そして徐々にボールめがけて(重力によって)自然にスピードが増して行く。これが「勢い」です。これは母なる大地のなせる業なので、人間が下手なことをしない限りパターフェースはスクウェアに保たれます。

 

本番パット失敗後の練習パットでは、われわれは知らず知らずのうちに見事なパットをしているのです。出来ることなら、大事なパットの前に、(メンタルに自分をペテンにかけ)もう既に一回失敗したと考え、「後のホールのために練習しとく」というつもりでパットするのが望ましいと思います。

(November 15, 2020)



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