November 02, 2020

正確無比なショットを実現する

 

[Drop]

私のゲームが低迷し始めたので、十日ほどゴルフから遠ざかりました。その間、どこをどうすればいいのか考えました。

前回のスランプから立ち直って目覚ましいカムバック(?)を果たした際の記憶が蘇りました。その時はダウンスウィングで身体と手・腕が左図の位置になるように努力したのでした。で、今回もそれに専念すべきだと決意。この形にするには、腰の動きが先行して両手が遅れて来なくてはいけません。

Ben Hogan(ベン・ホーガン)のカーディガンは、ダウンスウィングの際に右肘が擦るせいで右脇腹の部分が頻繁に破けたそうです。彼もこの形でボールを打っていたことが判ります。この方法の利点は手打ちを完全に封じてくれることです。手打ちがなくなるとクラブの性能通りの飛距離が得られ、方向性が格段に向上します。【参考】「正確無比なショットの秘訣」(tips_185.html)、「ダウンスウィングの研究」(同上)

[Rope]

この手法に集中することで、私のショットは安定し始めました。しかし私はそれだけで満足せず、このメソッドをもっと充分身体に定着させることを考えました。右図のように左膝と右肘とがぴんと張った仮想のロープで結ばれているとイメージします。スウィングのトップに達したら、先ず左膝をターゲット方向に動かす(これは必須)。すると、ぴんと張ったロープが両手を引っ張る。この左膝→両手という順序および連携がダウンスウィング開始の必要条件です。

ダウンスウィング開始の段階でロープが緩んでしまったら、それは手打ちに他なりません。両手は左膝に引っ張られて動くのでなければならない。手・腕が左膝の動きに先行して勝手に動くと、フライング・スタートの反則でスウィング失格だと思うべきなのです。

なお、折角左膝でダウンスウィングを開始しても、頭まで左に動かしたらこれも失格です。それだとクラブヘッドはアドレスした時の位置に戻らず、トップしたりプッシュしてしまう恐れがあるからです。頭はスウィングの錨として、ボール後方に留まらなくてはなりません。伝説的コーチHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)が云った"Stay behind the ball"(【インパクトまでは】頭をボール後方に留めよ)という言葉を忘れてはいけません。

実際にはこの方法は「云うは易く」で、身体に定着させるのは簡単ではありません。われわれは、「打つ」という動作は手・腕で行うものと本能的に考えているからです。かく申す私でも、打つ前に「左膝でリードし、両手がそれに追随する」というスローな動きを、プレショット・ルーティンとして三回ぐらい実行する必要があります。

[Lexi]

上の動きが完璧に遂行されると、左の写真のようになります。写真の彼女の左膝は完全にターゲットに向かって突き出され、両手と腕はそれに遥かに遅れて動いています。こうなると、飛距離が増えるだけでなく正確無比なショットが生まれます。

ある日のラウンド後半、私は2バーディ、4ボギーの計2オーヴァーで廻れましたが、それはこの《左膝がリードするダウンスウィング》を追求したお蔭でした。この日のNo.18の私の二打目は残り120ヤード。このグリーンは早いので、高く上げてボールを止めるため、ボール位置をスタンスのターゲット側にして打たないといけません。何度か「左膝のリード」を練習した後打ったショットはピン目掛けて真っ直ぐ飛びました。私の耳に仲間の「いいショットだ!」という言葉と「オーヴァーかも?」という言葉が同時に聞こえました。幸いボールは奥に転げ落ちずピン横1.5メートルについていました。グリーン上でチームの一人が「パー・チャンス?」と聞いたので、「バーディ・チャンスだよ」と答えたら目を丸くして驚いていました。信じられなかったようです。この日三つ目のバーディを期待したのですが、それはなりませんでした。この日バーディ・チャンスは都合五回ありました。

これまでパー3の攻略法にさんざ悩んで来たのですが、どうやらこの《左膝がリードするダウンスウィング》を使えば何も悩む必要はないかも知れません。パー3のいくつかで練習したところ、このスウィングをすれば真っ直ぐ飛ぶことが判りました。残るはクラブ選択のみということになります。ま、練習と本番は常に違うので、やってみなければ分りませんが。本当にこれがパー3の解決策となるならウシシなのですが^^。

【追記】次のラウンドの後半は1バーディ、2ボギーの計1オーヴァーで、18ホール合計7オーヴァー。《左膝リード》に助けられました。

(November 02, 2020)

パットに関する助言

 

ある日のシニアのベスト・ボールのゲーム、その日の私のショットは好調だったのですが、パットが冴えませんでした。5メートルをぶち込んだと思ったら、1メートルを外したり。

No.16で私が1.5メートルのバーディ・パットにアドレスしようとした時、チーム・メイトの一人Wally(ウォリィ)が「エイジ、あんたは知ってるだろうが、そのラインは左に切れるぞ」と云いました。とんでもない!私はこのホームコースの全てのグリーンの勾配マップを作成して知っているのですが、グリーン奥からのパットは全て右へ切れるのです。

[Lee]

しかし、私はそこで「いや、これは右へ切れるんだ」とか、「このグリーンはよく知っているから助言は要らない」などと云いませんでした。議論を始めると、お互いに「俺の方が経験豊富だ」と意地になり、彼は「勝手にしろ!」と云うだろうし、私は自分の読みの正しさを証明するためのプレッシャーが強くなります。私は単純に彼の助言を無視し、彼が近くで見守る前で自分の読み通りカップの左を狙ってカップインさせ、バーディを射止めました。Wallyは「ワハハハ!」と笑いました。彼は私がカップの左を狙ったのに気づいた筈ですが、そのパットが成功しちまったので笑うしかなかったのでしょう。

次のラウンド。偶然ですがまたWally(ウォリィ)が私のチームの一員になりました。No.11で私が1.5メートルのバーディ・パットに臨んだ時、またもやWallyが「エイジ、ストレートに打てば入る」と声を掛けて来ました。冗談でしょう。このグリーンは受けているので、カップの真横からだとカップの右上を狙わないと駄目なのです。しかし、今回も私は議論などせず彼の助言を無視し、フックラインとして打って成功し、バーディ!

同じ日のNo.14(パー5)。私は三打目をカップの上2メートルにつけました。このグリーンはちょっとトリッキィで、カップが下の方に切ってあると、勾配から云うと右から左に切れそうに見えるのですが、実は左から右に切れるのです。私は迷うことなくボールに描いた線をカップの左に揃えました。そこへまたWallyが「エイジ、ストレートに打て」と声を掛けました。私はそれを雑音として無視してパットし、難なく沈めてバーディ。

私はWallyの全ての助言を無視して自分の読み通りにパットして成功しているのですが、Wallyはあたかも彼の助言通りに私がパットして成功していると誤解しているようです^^。

私はよほどの初心者(あるいはこのコースに不案内なプレイヤー)でない限り、自分から助言したりしません。あるプレイヤーが明らかに間違った読みをしていると察知出来ても、それを指摘しません。聞かれれば自分の推測は云います。しかし、他人のパットに助言するのは好きではありません。「これは右へ切れるんだろ?」と聞かれて、「いや、そう見えるけど実は左に切れるんだ」と云ったとします。そのプレイヤーがパットし、「やっぱり右へ切れた」などと私の助言を批難されるのは不愉快です。彼が真っ直ぐ打ったのならともかく、プッシュしたかも知れないのに「やっぱり右へ切れた」と云われては業腹です。

そういう不愉快なことを経験してから、私は助言に注意深くなりました。「エイジ、これはどっちに切れる?」と聞かれたら、「あんたはどう思う?」と問い返すようにしています。彼が「右へ切れるように見える」と云った時、私もそれに同感なら「その通りだ!」と同意し、励まします。同意出来ない時は、彼が失敗して怨まれるのが嫌なので「自分が思った通りに打て」と突っ放します。助言して逆恨みされるのも迷惑ですからね。正直なところ彼がパットに成功するかどうかはチームの浮沈に関わるのですが、私はWallyのように「右を狙え!」とか「真っ直ぐだ」などと云いたくありません。

実際問題、そのプレイヤーがどの程度の強さで打つかは、第三者には推測出来ないのです。強く打てば真っ直ぐ転がるし、弱く打てば芝目の影響を受けてブレイクが大きくなる。助言者は自分が打つ強さを基準にしているわけですが、それは往々にしてプレイヤーの打つ強さとは違うことが多いのです。助言者に出来るのは「右に切れる」、「左に切れる」程度のことであり、どの程度切れるか(カップの右端とかカップのボール一個分右とか)は、第三者が云っても意味がないことだと思われます。

Wallyの場合、私との二度のラウンドで自分は一度もバーディなど得ていない癖に、まるで私より上級者であるかのように助言するのは笑止千万です。しかし、私は彼と議論したり彼の間違いを正したりせず、黙々と自分の思った通りに読み、ストロークしました。ことを荒立てないという極めて日本人風の態度かも知れませんが、チーム内で要らぬ不協和音を生じないためには、これが最善の策だと思えたからです。

しかし、正直云ってWallyの一言はウザいので、私がキャプテンの時は今後は彼を選ばないようにしたいと思っています^^。

【おことわり】写真はhttp://media.mlive.com/にリンクして表示させて頂いています。

(November 02, 2020)



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