June 13, 2020

パット不調を頭の使い方で乗り切る

最近の数ラウンド、二度ほど7オーヴァーで廻れたことはあるものの、全般的にパットが不調で、パット総数29、30、31、32…などという体たらくでした。「何とかしなきゃ!」と思って、改善策を考えました。

[Bryson DeChambeau]

先ず浮かんだのがパターを換えるという案ですが、これは数日間練習してフィーリングとタッチに慣れないと不安です。とても即効薬になりそうもありません。もう一つの案は、当サイトの「テクニック別索引」の「パッティング」の項を全部読み返すというものでした。何か忘れていることがあると思われたからです。

読み返すにしても、最新の記事から読み返すのと、最古の記事からと二通りあります。比較的新しいものは、まだ覚えていて実際に実行している筈ですから、多分抜けはない筈。で、最古の方から読み直し始めました。

Tips Archive(Tips書庫)35ページ目の「パッティングの三つの型」(tips_35.html)というtipで、ふと立ち止まりました。これはアドレス・ポスチャーとストローク法の最適の組み合わせを研究した、あるインストラクターの論文です。私のようにストレート・ストローク法(バックストロークもフォワードストロークもラインに真っ直ぐに打つタイプ)は、「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のように首・肩が地面とほぼ平行になるほど屈んだ姿勢」が推奨されています。「えーっ?」私はちょっと驚きました。この要素は、とんと忘れていたからです。しかし、半信半疑のまま、「これだ!」とまでは確信出来ませんでした。

Tips Archivesの72ページ目に至り、「ボールを見る方法」(tips_72.html)という私自身の研究論文にぶち当たりました。これは、別の角度・別の実験から「首を地面と平行に曲げるべきだ」という結論に達したリポートです。それを実行し始めた二か月後、「パッティングの際の頭の角度」(同上)という記事で、私は「少なくとも日に二回は超ロングパットが入るようになった」と報告しています。遂に「これだ!」と思いました。残る127ページは全て読まずに済ますことにしました。

翌日のラウンド、いきなりパット総数が減ったわけでもなく、超ロングパットが入ったわけでもありませんが、大事なパットをいくつか成功させて面目を保つことが出来ました。パット総数28は最近としてはまあ上々の部類で、スコアも6オーヴァー。後半はハーフ1オーヴァーで廻れました。

“[neck]”

この日は、先ず背を伸ばし、次いで上半身を股関節から前傾し(背は伸ばしたまま)、首だけを曲げて頭を地面と平行にしたのですが、図の左の熊(Jack Nicklaus)のように肩まで曲げ、頭を肩より下にしたりはしませんでした。私はJack Nicklausのポスチャーを(『ノートルダムのせむし男』の主人公の名前からとって)カジモド型と呼んでいます。彼は両腕をパンタグラフのように左右に突き出すので、結果的に非常に低い体勢に出来ます。私のように左手・腕とシャフトを真っ直ぐ伸ばした場合、彼のような低い体勢を取るのは不可能です。しかし、図右の虎(Tiger Woods)あるいは右の写真のBryson DeChambeau(ブライスン・デシャンボー)程度になら出来なくはありません。

次のラウンドで、怖(お)めず臆せず肩を曲げてから頭を地面と水平にしてみました。パット総数は前回より1ストローク増えてしまいました。しかし、七つの寄せワンを達成出来たのは、このポスチャーのお蔭だと思っています。

Jack Nicklausは、なぜ肩を曲げ頭を地面と平行にするといいのか、その理由を著書で説明していません。私の17年前のリポート(「ボールを見る方法」)も実験の結果それが良かったというだけで、なぜ良いのかを解明出来たわけではありません。しかし、今回鏡の前で練習を重ねるに連れ、その秘密の一端が解けたような気がします。

写真のBryson DeChambeau(ブライスン・デシャンボー)同様、私も肩の付け根から腕・手・シャフトを完全に真っ直ぐにします。手・腕を縮めなければ、ボールの中心をパターの中心で打つという目的は完全に達成される筈です。肩を曲げ、首と頭を地面に水平にすると、パターをぶらんとぶら下げることが出来ます。そのまま、パターを身体の前に突き出すと、二の腕に緊張を感じます。同様に、パターを身体に近づけても二の腕に緊張を感じます。緊張状態は重力をフリーに使うことを妨げ、ぎくしゃくしたストロークにしかねません。

パター・ヘッド(=ボール位置)がどこであれ、二の腕が緊張を感じない角度を探しました。ちゃんとゴルフ・シューズを履いてテスト。私の場合、目をヘッド(=ボール位置)の下方6.5センチに置く位置が最も腕の緊張を感じませんでした。この体勢でストロークすると、私の重いパターが軽く感じられます。

「パットの方向性を良くする裏技」(tips_195.html)の良さも再発見しました。「左肘を伸ばそう!」などと気張ると左の二の腕が100%緊張します。私の裏技は「左前腕をほんの僅かターゲット方向に捩じる」というものですが、これを実行すると左肘はちゃんとロックされるものの、左前腕に緊張を感じたりしないのです。大きな違いです。このtipも左手・腕を縮めず、ボールの中心をパターの中心で打つことを助けてくれます。

最近のラウンドで1.5メートルの下りのスライス・ラインと、もう一つは2メートルのスライス・ラインで、バーディを射止めました。どちらも難しいラインでしたが、読みが良かっただけでなく、上に書いたように手・腕のどこにも緊張を生じない体勢を心掛けたのが勝因だと考えています。緊張しないと、当然ギゴチなさなどなくフリーな感じでストローク出来るので、距離もぴったりに打てる気がします。

【参考】「首・頭を地面と平行にしてパット」(tips_155.html)

【画像はhttps://s3.amazonaws.com/にリンクして表示させて頂いています】

(June 13, 2020)

「砲台グリーンへの斜面からのチップ」の改訂

 

市営ゴルフ場のNo.6(パー5、ホールハンデ No.1)のグリーンは難物です。グリーンは右に急傾斜しており、グリーン中央に落下したボールはごろんごろん右の崖下へと転落してしまいます。この場合、ボールの停止する平均距離はグリーン中央まで40〜50ヤード。そこからはピンの上部しか見えない急斜面で、大半のゴルファーが寄せにショートします。

グリーンの左サイドを狙うのが鉄則なのですが、過剰に左に曲げるとバンカーに捉まります。バンカーの右端〜5ヤードぐらいの中間を狙うのがベスト。ただし、そちらからのパットはもの凄く早いので、一難去ってまた一難ではありますが…。

“[hell]”

その日、私の三打目はグリーンの左ではあるものの、バンカー寄りではなかったため、ごろごろ転げてしまい写真の赤矢印のところで停止しました。行って見ると、ピンまでは目測で15ヤード。しかし、左足上がりの傾斜は少なくとも15°はあります。私の「砲台グリーンへの斜面からのチップ」(tips_197.html)の公式によれば、30ヤードのショットとして打たねばなりません。

なぜ、そんなに長めに打つのかというと、15°の傾斜の地面に沿って立つのですから、膝も腰も肩も15°に傾斜させなくてはならない。そして私の愛用の60°ウェッジのロフトは15°増えて75°ウェッジに化けてしまい、高あ〜〜〜く上がるだけで飛距離は全く出ないのです。

しかし、この日私は実際には30ヤードではなく、25ヤードとして打つことに決意しました。この日のここまでのプレイで、私はグリーンが非常に乾燥しており、ランが多いことを痛感していました。それで計算より5ヤード減らすべきだと考えたのです。ピンの僅か右上を狙い、たった15ヤードの距離を25ヤードとして打ったチップは、高〜く上がって着地後ガツン!という金属音を響かせました。チップイン、バーディ!私は大声で「イエーイ!」と叫びました。こういう時は大袈裟に騒がないと、チップインする様子を見ていなかった者は信じてくれないからです。カップに歩み寄った私は、その底から手品のようにボールを取り出し、高く掲げました。

この経験で私は悟りました。これまで「砲台グリーンへの斜面からのチップ」で一度もチップインが出なかったのは、ランを見込まなかったせいである…と。【[距離+地面の傾斜角度]=チップの飛距離】と計算していたのは浅はかでした。ランを平均5ヤード見積もり、【[距離+地面の傾斜角度ー5]=チップの飛距離】とすべきだったのです。もちろん、5という数字はグリーンの勾配(上りか下りか)によって増減させます。


(June 13, 2020)



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