January 27, 2020

バンカー、三つの必須事項

この記事の筆者Michael Breed(マイケル・ブリード)は、The Golf Channel(ゴルフ・チャネル)のインストラクション番組で、早口でけたたましく喋るのが特徴のレッスン・プロ。

'Exit strategy'
by Michael Breed ('Golf Digest,' July 2019)

「グリーンサイド・バンカーのコツは、二つの言葉に要約される…スピードとバウンスだ。バンカーからスプラッシュ(編註)させるには、あなたの想像以上のパワーが必要だが、それがスピードということだ。そのスピードを効果的に用いるためには、クラブは砂の中でつっかえることなくスライドしなくてはならず、それがバウンス(跳ね返ること)である。この二つに焦点をあわせること。

【編註】スプラッシュ型バンカーショットは、砂を爆発させるのではなく、灰汁(あく)を取るように浅く砂を掻き、砂の津波でボールを出す。その際、舞い上がる砂の量は爆発型よりも少なく、パラパラと飛び散るのが特徴なので"splash"と呼ばれる。

クラブはパーム(掌)でなく、フィンガーで握ること。こうすると、バックスウィングで手首のコックを助けてくれる。コックによるテコの作用がスピードを急速に生み出してくれる。

【編註】上の言葉は「最大コックがバンカー・ショットの決め手」(tips_193.html)という記事の趣旨と完全にオーヴァラップします。バックスウィングの長さよりもコックの度合いが重要なのです。

② アドレスでクラブのハンドルを下げ、手首が折れるように感じること。両手を下げると、クラブのヒール側が寝るようになり、これがヘッドを一定の深さで砂の中を滑らせるのを助けてくれる。もし、両手を上げるとクラブのヒールが上がるので、トゥが砂を掘って停止し、ショートする原因となる。

 

③ バックスウィングでもインパクト・ゾーンの最中でも身体の中心を動かさないこと。クラブのバウンスを維持するため、フォロースルーの間もシャフトを反時計方向に廻してはいけない(=手首を返してはいけない)。あなたの右手はシャフトの下方に留まり、左手のナックルは上を向いていなくてはならない。

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僭越ですが、私は四つ目の必須事項を付け加えたいと思います。

④ 必ず高いフィニッシュをすること。理想は、両手が左肩の上に達するまで高く。これならザックリによるチョロは起こりません。これはLPGAのJessica Korda(ジェシカ・コルダ)によるtipです。


(January 27, 2020)

バンカー・ショットもFLW

 

[FLW]

「スプラッシュ型バンカー・ショット」と呼ばれているバンカー・ショットですが、"splash"(パシャッとはね散らかす)と云われてもよく判りません。日本人には「灰汁(あく)とり」のイメージの方が解り易いでしょう。しかし、右手で灰汁を取るのではなく、左手で取るのですが。

鍋物の「灰汁とり」は、急激な角度で柄杓(ひしゃく)などを汁に突っ込むのではなく、水面に浮く灰汁の手前に非常に浅い角度で柄杓を入れ、そのままの角度を維持して水平に灰汁を掬います。灰汁とり式バンカー・ショットも同じ。浅い角度でボール手前にウェッジを進入させ、左手甲の角度を維持したままクラブヘッドを前進させることによって、砂の津波を起させ、その力でボールを出します。絶対にボールを掬い上げようとしてはならない。これ鉄則。

これまでFLW(Flat Left Wrist、フラットな左手首)という言葉は、主にパッティングに用いて来ましたが、スプラッシュ型バンカー・ショットにも共通するわけです。

砂を爆発させるバンカー・ショットとは違い、灰汁とり式は暴力的に弾き出すのではなく、灰汁を水面からこそげとるように、軽く穏やかに行われます。

この時、重要なのは、
・股を大きく開き、クラブを低く構えること。これがアドレス時のロフトを維持する。
・左手主体でスウィングすること。右手は添えるだけ…ぐらいに考える(手を返さないための防止策)。
・肩を廻し、目一杯コックすること。
・ボール後方の進入地点を凝視する【アイ=ハンド・コーディネーション】。
・砂の抵抗があるので、同じ距離を打つチップやピッチの三倍のパワーでスウィング【ただし、急がないこと】。
・浅い角度で砂に突入し、左手甲で灰汁を払い除けるように(砂からボールをこそげ取るように)クラブヘッドを砂の表面と平行に動かす。

【参考】「スプラッシュ型バンカー・ショットのコツ」(tips_183.html)

(January 27, 2020)

バンカー・ショット、私のルール

 

「ルール」と云っても「規則」ではなく、私の個人的「原則」です。

私にとっての「バンカー・ショットのルールNo.1」は「砂を取れ」です。私がホームランを打つのは、何らかの理由で砂を取らないか、取っても非常に少なくてボールが飛び過ぎてしまうせいです。何らかの理由というのは、ボール後方10センチとかでなくボールを直接見つめていた、体重が後方の足にかかり過ぎていたとか、左手が縮こまっていた…など、様々なことが考えられます。しかし、どんな理由であれ、それらを克服して、先ず砂を取らなければいけない。それがバンカー・ショットの基本なので。

「バンカー・ショットのルールNo.2」は、「砂を掻くことに専念する」です。私のはスプラッシュ型バンカー・ショットなので、爆発でなく灰汁(あく)を掬うように砂を掻かなくてはなりません。クラブヘッドを砂の中で横に滑らすのです。「砂を掻く」という言葉は、1964年公開の映画『砂の女』を想起させます。来る日も来る日も砂掻きの作業をしないと、家が砂に埋もれてしまうので、生きるために砂を掻く女と男の物語。私も砂の女に囚われた男のように、懸命に砂を掻かねばならない。

ある時、この「ルールNo.2」のコツを発見しました。ある日の練習で、サンド・ウェッジで20ヤードほど離れたピンに寄せようとしていたのですが、ダフってチョロしたり、脱出出来ても全然寄らない。業を煮やした私は、「絶対にボールを見送るまい」と決意し、頭を残して振り抜くことだけに専念したのです。これだと結果は音で推察するしかありません。すぐに着地音が聞こえればショート、ややあって着地音がすればピン傍を意味します。ボールを見送らず、振り抜くことに専念したら、何と四個のボールがことごとくピンまで1メートル前後に寄りました。

250ヤードのショットであろうが、40ヤードのピッチングであろうが、15ヤードのチッピング、5メートルのパットであろうが、正確なインパクトに集中し、頭を動かしてはいけないんですね。それはバンカー・ショットでも同じ。やっと判りました(遅い!)。

(January 27, 2020)



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