January 05, 2020
●ガニ股ダウンスウィングの源流伝説的コーチHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)が独自に会得したことなのか、彼がSam Snead(サム・スニード)のスウィングを見て学んだことなのか分りませんが、後に大成する弟子たちに彼が教えたメソッドはガニ股風ダウンスウィングなのです。
彼がレイト・ヒット、レイト・アンコックの極意として伝授したテクニックは、ダウンスウィングの開始で左膝を目標方向に移動させる時、同時に右肘を身体に引きつける、これを一挙動でやる(二挙動では駄目)…というものでした。これは'Harvey Penick's Little Green Video'というVHSテープで、彼の弟子の一人であるTom Kite(トム・カイト、写真)が実演して見せています。【参照】「Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)のMagic Move(マジック・ムーヴ)」(tips_35.html)
見事な(?)ガニ股と、下降し身体の脇にくっ付き始める右肘。Harvey Penickはこれを"Magic Move"(魔法の動作)と呼びました。二挙動では駄目、一挙動でやる…というのがミソです。数十年前、これを試したのですが上手く出来ませんでした。今は「ガニ股トレーニング」(tips_196.html)のお蔭で出来るようになりました。
「ガニ股トレーニング」は、Harvey Penickの教えのように左膝と右肘の動きを連動させます。これがタイミングよく一挙動で実行されると、信じられないような正確なボールが生まれます。タイミングよく一挙動のダウンスウィング開始が、毎回必ず出来るとは限りませんが、私の場合、飛距離を求めるというより、正確さを求めてガニ股ダウンスウィングすることを心掛けています。飛距離も伸びちゃうとクラブ選択がややこしくなるので(^^;;。
(January 05, 2020)
●打つ前に左脳を遮断せよ
左脳は状況(ライ、勾配、湿気、風など)を分析し、作戦を練るために使います。結論が出たら、そこで左脳の役割りは終了です。習い覚えたスウィングやストロークは潜在意識に任せるべきです。もう思考する段階ではないのです。ボールにアドレスした後も分析的頭脳である左脳がしゃしゃり出て来ると、スウィングやストロークを妨害することになります。 注意すべきなのは、お喋りする際にも左脳の判断力や分析力を使っていることです。スウィングする前に仲間と何か喋り、その後僅か数秒でアドレスしてスウィングするなどというのは自殺行為です。左脳を使ったままの状態でスウィングしてしまうことになり、潜在意識が懸命に追っかけてスウィングを統括しようとしても遅かりし由良之助、もうボールは打たれた後です。真っ直ぐ飛べば幸運で、十中八九ミス・ショットでしょう。 喋った後は、数十秒無言でターゲットを見つめ、ターゲットに集中し、潜在意識に全てを委ねましょう。 喋ってすぐ見事なショットを打てるのは、Lee Trevino(リー・トレヴィノ)ぐらいのものと考えるべきです。 |
(January 05, 2020)
●期待は小さいほど良い
ゴルファーの「期待」には次のようなものがあります。
1) バーディへの期待
2) 80を切る期待
3) パー・プレイへの期待
しかし、これらへの期待に胸弾ませるのはほどほどにしないといけません。ダボ発進だと「ああ、今日も80は切れんわい。来るんじゃなかった。時間の無駄だった」と意気消沈してしまいます。それは「今日こそ80を切ろう!」という期待が大き過ぎたからです。「80が切れたらいいなあ」ぐらいに留めておくべきなのです。云っておきますが、ダボ発進だからといって悲観するのは早い。ダボが一つや二つあっても80は切れます。 私は、「バーディを射止めたい!」という積極的な意志の効果を否定する者ではありませんが、実際には「バーディになれば最高だが、パーでも御の字だ」という心境の方が望ましいと考えます。何故なら、バーディを逸した時の挫折感は尾を引くからです。バーディを得た幸福感・満足感・高揚感は長くても次のホールまでしか持続しませんが、バーディ失敗の挫折感・喪失感は少なくとも続く三ホールにわたって影響します。 私は1メートルのイーズィなバーディ・パットにるんるん気分で臨み、パターを地面につっかえさせてチョロしたことがあります。これなどもう随分前のことですが、その時の状況・心境は今でも覚えているほど強烈な記憶です。その時、「まだバーディと決まったわけではない。リップアウトする可能性だってあるんだから…」と思っていれば、慎重にストロークしたことでしょう。「バーディなら最高だが、パーでも御の字」と考えればよかったのです。 ゴルフの神様は天狗になるゴルファーや自信満々のゴルファーの鼻っ柱を挫き、謙虚なゴルファーに御褒美をくれる傾向があります。「バーディなら最高だが、パーでも御の字」と思う謙虚なゴルファーには、バーディを恵んでくれたりするものです。 そのいい例が、チップインです。私はプロにとってもアマにとってもチップインはまぐれであり、狙って得られるものではないと思っています。でなければ、チップインでプロがあれほど喜ぶ筈がありません。彼らは毎日ゴルフし、われわれの何十倍も練習しているのに大喜びするのですから。私自身「チップインさせよう!」と狙ってチップインさせたことなど一度もありません。「ピン傍30センチに転がして、イーズィ・パーを得よう」と、堅実にプレイする態度で冷静に着地点を定め、充分なランを見込んで打った時に偶然チップインしてしまうというケースがほとんどです。チップイン願望が強過ぎると必ずピンをオーヴァーします。これも、欲張る者でなく謙虚な者に福が訪れるという好例です。 |
雑誌やTVでいいtipを仕入れた時とか、自分で発見した秘訣を実践で用いようとする際も要注意です。ゴルフはそんな一夜漬けで上達するスポーツではありません。新しいtipは、自家薬籠中のものになるまで充分練習した後でなければ効果を発揮しないものです。
いいプレイをしようという積極性は大事ですが、高望みはしない方が賢明です。終わってもいないホールのスコアを数える(バーディなどと決めてかかる)のは最悪。《常に薄氷を踏む思いでプレイする》のが正解です。
(January 05, 2020)
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