September 12, 2019

従来型スウィングとシングル・プレーン・スウィングの比較対照表

カナダの異才Moe Norman(モゥ・ノーマン)のスウィングをモデルとする'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)の詳細を記した本は、ずっと前に簡単に紹介しています。その本はMoe Normanのスウィングを生徒に教えるための教科書のようなもので、さらに特別なクラブを購入しなければいけないように書かれていたので、当時真剣に取り組んだり、詳しく紹介したりする気になれませんでした。しかし、よく考えると、特別なクラブなど買わずとも、シングル・プレーンは充分実行出来ることに気づきました。

シングル・プレーンに興味を持たれた方のために、他の留意点を書き抜いてみます。(*)印はこの対照表にはなく、本文に書かれていることを編者が独自に付け加えた部分です。

'Natural Golf'
by Peter Fox with John Burrill (Masters Press, 1996, $14.95)

[Natural Golf]
従来型スウィング シングル・プレーン・スウィング
グリップ 左右ともフィンガーで握る 左右ともパームで握る【詳細は下の写真参照】
右手の角度 特に無し sup-45-abduct position【註】
右手のナックル(*) 二つ見える 全く見えない
スタンス 狭い〜広い(お好みで) 広い(少なくとも両踵を約56cm離す)
体重 両方の踵に平均に 平均
ボール位置(*) 左踵の内側〜中央 ドライヴァーでは左肩の外側
アドレス時のヘッド位置 約6cmボールの後ろ クラブによって変化。ウェッジではボールの後ろ、ドライヴァーではボールの30cm後ろ
アドレス時の手の位置 高い、低い、前方と様々 身体の中央
手が形成する軸 2軸(飛行線後方から見ると右手とシャフトが屈折)、4つのテコ(シャフト、手、前腕、上腕) 1軸(飛行線後方から見ると右手・腕とシャフトは一線)。3つのテコ(一体になったシャフト・手、前腕、上腕)
スタンス・ライン(*) ターゲット・ラインに平行 Moe Normanはクローズ目
テイクアウェイ 1ピース、幅広く拡張 インサイドへ。右手は直ちに畳む
肩の回転 出来るだけ大きく 右肩は45°、左肩は90°(左肩が顎に届いたら終点)
腰の回転 抑制された腰の回転が上体に対しトルクを生む ノー・トルク。右腰と右肩はトップで揃う
バックスウィングの角度 浅いかアップライト ターゲット・ラインの内側
バックスウィングの右肘(*) 下を向くか高く上げるか インパクトに至るまで常に左肘より下
バックスウィングの長さ 出来るだけ長く トップでの両腕は胸の高さで水平より僅か上
体重配分 左右両側に極端 中央
トップの間(*) 停止しない トップでごく僅かに停止(【編註】この本にはこう書いてありますが、Moe Normanは停止しません)
ダウンスウィングの始動 下半身の回転 身体が5cm下がる。右肘を右腰の前に落とす、身体の回転は最少
体重移動 急激にターゲット方向へ 両腕でコントロールされる
インパクト時の両手 急激に回転 右手はsup-45-abduct position【註】
インパクト時の両足(*) 右足あるいは両足が上がる 左右両方ともベタ足
インパクト時の身体の向き(*) ターゲット方向を向く アドレス時に戻ってボールを向いたまま
フィニッシュ&フォロー 身体の大きな回転 フォローはターゲット方向へ。快適な姿勢でフィニッシュ

【註】sup-45-abduct positionとは'Natural Golf'の造語で、アドレスで右手を次のように構え、インパクトでもその構えを再現します。 1) 掌をターゲットに向けつつ右手を身体の前に伸ばす。2) 右手を後方に45°廻し、ある程度掌が空を向くようにする。3) 右手首を折り、手の甲がズボンの右ポケット方向に近づくようにする。(【編註】この本にはこう書いてありますが、Moe Normanはこれを目に見えるようにはやっていません)


・シングル・プレーン・スウィングのグリップ

左手 右手
[left hand] [right hand]
人差し指の第一関節(一番下)から、ヒールパッド(生命線の下の膨らみ)の下にかけてハンドルを握る。
生命線に沿ってハンドルを握る。

【参考】
・「Natural Golf(ナチュラル・ゴルフ)」(tips_10.html)
・「Moe Norman(モゥ・ノーマン)のスウィング」(tips_195.html)
・「Moe Norman(モゥ・ノーマン)の半生」(tips_85.html)
・「'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)誕生秘話」(近日公開)

(September 12, 2019)

私の(自己流)シングル・プレーン

 

'Natural Golf'は特製のクラブを販売しているのですが、よく考えると貧しかったMoe Normanが特別なクラブを使っていた筈はないので、これは'Natural Golf'の商魂に過ぎず、そんなものを購入する必要はありません。同様に、上の比較対照表のシングル・プレーンの要素を、全て完璧に実行しなくてはいけないものとも思えません。

私はウェッジを除く全てのクラブのハンドルを太くし、「ダブル・グリップの勧め」(tips_175.html)に書いたダブル・インターロック・グリップを用いており、無理にシングル・プレーンの右手のグリップをするとプッシュが出ます。今のところ、ダブル・インターロックをやめる気はありません。で、右手はフィンガー気味となっています。

また、シングル・プレーンでは「テイクアウェイ直後にすぐコックする」となっているのですが、私がこれを実行するともの凄いプッシュになってしまいます。練習不足のせいであることは承知ですが、とりあえず従前通り、手・腕を伸ばして長く引くテイクアウェイをし、それからコックしています。肩の高さで低くトップを完了する要素は遵守していますが。

なぜそんな風に自分勝手でいいのか?ある日のラウンドのあるショットで、自分流にアレンジしたシングル・プレーン・スウィングでも充分役立つことを発見したからです。No.16(200ヤード、パー4)は上り勾配で、グリーン手前全面をバンカーが守られている難しいホール。若いロングヒッターなら、ドライヴァーでグリーン・オーヴァーすることもあるし、シニアのロング・ヒッターでも第一打がバンカー入りすることはあります。私も数年前はそのクチで、ドライヴァーを短く持って打っていました。最近は?とんでもない!常に40〜50ヤードほどバンカーの手前でした。ところが、その日は別に力まずに打ったにもかかわらず真っ直ぐ飛んでバンカーに入ってしまったのです。シングル・プレーンを再履修し始めてから三度目のラウンドでした。それはまぐれかも知れないので、その次のラウンドでもドライヴァーを短く持ったりせず、普通に打ちました。真っ直ぐバンカー方向へ。「又もやバンカーか(クソ)!」と思われましたが、行って見るとバンカー手前10ヤードで止まっていました。チップで寄せるのに最高の位置。バーディ。その後のラウンドで、又もやバンカー入りしてしまいました。このホールでは、ドライヴァーは短く持たないと危険です。

ですから、シングル・プレーンの要素を全部完璧に遂行しなくても、充分恩恵に与れるわけです。重要なのは、
1) 広めのスタンス、ボールからヘッドを離したアドレス
2) 両手を上げて、クラブシャフトと右前腕を一直線にする
3) インサイドに引く短いバックスウィング
4) 終始ベタ足
5) 静かな下半身で、身体の正面でインパクト
6) ターゲットに向かってフォローを出す
…こんなところでしょうか。そう云えば、私はインパクトで両脚こそ上げていませんが、手打ちを防ぐためガニ股志向のダウンスウィング(つまり、静粛でないダウンスウィング)をしています。しかし、問題はありません。

結果が良ければいいのであって、「いいとこ取り」でもいいと思います。もし、思わしい成果が挙げられなければ、一つずつシングル・プレーン・スウィングの要素を加えて行く。

このスウィングの骨子は、短いバックスウィングでターゲットに向かってカチ上げるフォローだと思います。そのようにした時に、私の最長不倒距離が伸びているからです。あるラウンドで三回も記録を更新しました。

(September 12, 2019)




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