October 11, 2019

正しいコックのトップを作る

'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)のモデルとなったMoe Norman(モゥ・ノーマン)のヴィデオを見て、彼の完璧なコックとレイト・アンコックに驚きました。

[Swingyde]

で、私も真似をしようとしたのですが、意識的にコックすると必ずシャンクかプッシュになってしまうので困りました。私のコックの仕方に問題があるようです。ふと、家にオーストラリア製の'Swingyde'(スウィンガイド)という練習器具があることを思い出しました。知人からの貰い物で、全然使ったことはありませんでした。この非常にシンプルな器具は、お好みのクラブに装着してスウィングすると、適切なコックの度合いとその方向を教えてくれるものです。【註】製品によっては太いハンドルには装着出来ません。ウェッジを除く私のほとんどのクラブはハンドルを太くしてあるので、ハンドルの細い3番アイアンに装着しています。

クラブフェースをスクウェアにした状態で'Swingyde'を装着します。バックスウィングした時、トップで'Swingyde'のアームの半円の部分が、写真のように左前腕にすっぽりハマらなくてはいけません。ハマらないと、クラブシャフトがスクウェアではない証拠です。ちゃんとハマれば、クラブフェースがターゲットにスクウェアなトップを構築していることになります。

この器具の美点は、プレイヤーには見えないトップでのフェース角度を教えてくれることです。スウィングの最中であれば、インストラクターでさえ肉眼ではフェース角度など認識出来ないでしょう。それが、アームの半円部分と左前腕の接触の仕方によって判る…というのは非常にいいアイデアです。

テストの結果、私の左前腕は半円の部分に正しくハマりませんでした。どうやら、私には左腕を高くする癖があるようです(多分、2プレーン・スウィングの名残り)。練習ラウンドの時、ボールを打つ前に何度か'Swingyde'を装着したクラブを振って正しいバックスウィングを確認し、それから本式にボールを打ってみました。これは大成功で、'Swingyde'による素振りをしなかったアウトは8オーヴァーでしたが、'Swingyde'で素振りをしたインは2オーヴァーでした。効果絶大という感じです。【註】正式なラウンドでは、このような練習器具は使用出来ませんので御注意。

次の練習ラウンド、まだ正しいコックが身についたとは思えなかったので、ティー・ショットや大事なショットの前に'Swingyde'を装着した3番アイアンを素振りしました。アウトは5オーヴァーでしたが、インはパー・プレイで、18ホールを5オーヴァーで廻れました。ラウンド中に練習器具を使うのは違法なので、これは公式記録とは云えません。パット総数28、パーオンは八ホールでした。

今後は家での練習で'Swingyde'によるバックスウィングを身体に覚え込ませ、'Swingyde'による素振り無しでも正しくコック出来るようにしたいと思っています。

(October 11, 2019)

'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)誕生秘話

 

'The Secret of Golf'
edited by George Peper (Arran House Press, 2005, $18.95)

[Kuykendall]

'The Secret of Golf'(ゴルフの秘訣)と題されたこの本は、過去現在のゴルフに関する名著47冊のエッセンスを集めた“名著”です。絶版や入手困難な本も多数混じっていますから貴重ですし、それにこの低価格。英語が読めるゴルファーなら必携でしょう。この本の'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)に関する紹介ページに、興味深いエピソードが含まれています。

「Jack Kuykendall(ジャック・キューケンドール、写真)は当時44歳、ハンデは12で、シニアPGAツァーに参加したいという野望を抱いていた。しかし、彼は準備のために六年かかると考え、1984年にレーザー物理学者としての仕事を辞め、レッスンを受け、練習し、プレイするというゴルフ漬けの生活に身を投じた。

二年後、彼の12だったハンデは14となってしまい、彼は頭に来た。「丸いボールを棒で打つには、もっと良い方法がある筈だ」と彼は思った。科学者としての冷静な精神でゴルフ・スウィングを分析し、またそれらを統合した。

45日後、彼は急進的な新しいボールの打ち方を発見し、そのメソッドは彼に目覚ましい成果をもたらした。ハンデ14のJack Kuykendallは連続したラウンドにおいてアンダー・パーで廻ったのだ。4アンダー、2アンダー、そして3アンダー。四日目、彼は後に'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)として知られるようになる会社を設立した。

1991年、彼はカリフォーニアで'Natural Golf'のデモンストレーションを行っていた。参加者の一人であるカナダのレッスン・プロが、「なんだ、それってMoe Norman(モゥ・ノーマン)のスウィングそっくりじゃん!」と云った。Jack Kuykendallは「一体全体、Moe Normanって誰かね?」と尋ねた。

Moe Normanはゴルフ界の“レイン・マン”であった。彼はカナダのオンタリオ州出身の、風変わりで隠者のようなプロだった。彼は極端に早くプレイし、不調和な衣類を身に付け、同じことを二度喋り、スタート時間に遅れるといけないと五つもの腕時計を付けて来たりした。しかし、最も重要なのは、誰しもが彼はゴルフ始まって以来の驚くべき正確無比なプレイヤーであると認めていることだった。彼はゴルフ界の"idiot savant"(イディオ・サヴァン、知能が劣っているように見えるが、一芸に秀でた人)に最も近い存在であった。

Moe Normanに関する逸話は枚挙にいとまがない。彼が三回続けて旗竿を直撃したとか、彼が54ホール廻った時、その時のどの18ホールにおいても(6番アイアンや3番ウッドで)ホールインワンを達成したとか、彼が40以上のゴルフ場においてコースレコードを持っており、そのうち三つは59であったとか。

Moe Normanは独学の自然に覚えたスウィングをしていたのだが、それはJack Kuykendallが科学的な試行錯誤を経て開発したものとそっくりであった。とりわけ、簡潔な上体主導の動きで、両腕とクラブシャフトが同一プレーンで振り上げられ、振り下ろされる点において。

二人が初めて相見(まみ)えた時、それは両者にとってまさに天啓であった。Moe NormanはJack Kuykendallにこう云った、「これまでの人生、あたしゃ常に不思議だった。どうして、あたしが世界一正確なゴルファーなんだろうかってね。でもって、あんたがそれを説明出来た最初の人間ってわけさ」Moe Normanは彼の天分を明確に説明出来る人物を見つけ、Jack Kuykendallは彼の発見に対し実践によってお墨付きを与えてくれる人物を見つけた。二人は即座に友達となり、Moe Normanは'Natural Golf'のポスター・ボーイとなって、二人は津々浦々を旅してデモを行い、何千人ものゴルファーを宗旨替えさせた。

 

Jack Kuykendallは1995年に'Natural Golf'の権利を売却し、Moe Normanも2004年に亡くなった。しかし、今日でもシカゴを本拠地とするNatural Golf CorporationがJack Kuykendallのコンセプトを受け継ぎ、クリニック、ゴルフ教室、ゴルフ学校等の開催、書籍・ヴィデオ・雑誌等の販売、ウェブサイトなどを運営し、Callaway(キャラウェイ)が製造する'Natural Golf'専用クラブを販売もしている。

Jack Kuykendallは'Natural Golf'を譲り渡す前、そのメソッドを詳述する本を執筆した。それは、改訂されて現在200,000人(増加中)と云われる'Natural Golf'信者たちのバイブルとなっている」

【参考】
・「Natural Golf(ナチュラル・ゴルフ)」(tips_10.html)
・「Moe Norman(モゥ・ノーマン)のスウィング」(tips_195.html)
・「Moe Norman(モゥ・ノーマン)の半生」(tips_85.html)

(October 11, 2019)

シングル・プレーン修得ドリル

 

インストラクターTodd Graves(トッド・グレイヴズ)による'Laws of Simplicity'というDVDは、カナダの異才Moe Norman(モゥ・ノーマン)のスウィングを教えてくれるものですが、その中でいくつかのドリルが紹介されています。

[Moe's address]

・アドレス・ドリル

・先ずお馴染みの2プレーンのアドレスを取る。両手を上げ、ボールから遠ざかるようにして立つ。

・ゴルファーの前方から見ると、クラブシャフトと左手は一直線である。飛行線後方から見ると、クラブシャフトと右手は一直線でなくてはならない。ただし、右肘は僅かに折れ、必ず左手より右手が下側でなければならない。

・背骨は直線で伸びており、お尻は突き出され、(両膝は微かに折れるが)両脚はほぼ真っ直ぐである。

【重要】Moe Norman(モゥ・ノーマン)のアドレスの写真(左)を見て頂けば一目瞭然ですが、彼の手とお腹の間には拳が四つ入るほどの空間があります。従来型の2プレーンでは、拳がやっと一つか一つ半入る程度の空間しかないので、拳四つは信じられないほどの距離だと思います。

・ステップ・ドリル

[underhand]

両足をくっつけてアドレスする(足を開かない)。上の「アドレス・ドリル」のように基本の捻転をし、バックスウィングを完了させたら、左足を大きくターゲット側に踏み出す。そしてダウンスウィング。この動きに慣れるまで練習し、実際にボールを打つ練習の時は、最初から両足を開いたアドレスをする。

このドリルで判りますが、インストラクターTodd Gravesは《トップを形成したら、ダウンスウィング開始前に体重を左に移す》ことを確実に行え…と云っているわけです。これは、ダウンスウィング開始の切っ掛けを、左膝を開いてガニ股にするのと同じことです。

・アンダーハンドスロー・ドリル

1) ドライヴァーのヘッドを持った左手を伸ばし、ドライヴァーのハンドルを地面に立てる。左腕と立てたドライヴァーの内側で右手に持ったクラブを振る(先ずは素振り)。

2) 慣れたら同じ体勢でボールを打つ。池に小石を投げ、水面で石を弾かせる動作と同じ。

これは背骨の角度を保つのに役立つドリルである。

(October 11, 2019)



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