March 02, 2019
●ストロークする右手の角度
現在の私のパッティング・ストロークは、レフトハンド・ローのスプリット・ハンズで、しかも左上腕・前腕・手首を真っ直ぐ伸ばして、パター・シャフトと一線になるように握っています。スプリットした右手の親指から左手の小指までの間隔は、約13センチも離れています。
また、右手の四本指と左前腕をくっつけています。このスタイルなら、よほど異常なことでもしなければ左手首が捩じれる心配はありません。
問題は右手の握り方です。ストロークの舵取りは左手、パワーは右手です。右手が自然に左方向にストレートに押し出されないといけないわけですが、これがそう簡単ではありません。被せるように(右手を左に廻してウィーク風に)握ると、インパクトでフェースはオープンになってしまい、逆に掌を上向きにして(右手を右に廻してストロング風に)握ると、インパクトでフェースはクローズになってしまいます。これはフル・スウィングにおけるグリップと球筋の関係と同じで、手首は常に自然で楽な状態に戻ろうとするからです。ですから、最初から手首に不自然な握り方を無理強いしてはいけないのです。
写真の右手親指の下に黄色い●が見えます。これは暫定的に黄色いビニール・テープを切って貼ったものです。この丸の上に右手親指を乗せてグリップし、床(あるいは地面)に置いたシャフトの上で素振りします。【参照:「完璧なストロークの探究」(tips_193.html)】 右手をもっとストロングにすべきだったり、ウィークにすべきだったりしたら、その親指の位置にビニール・テープを移動します。精確にフェースをラインに沿って出せることが安定して出来るようになるまで続け、右手親指の位置を確定します。
本番のラウンドの際にビニール・テープを貼ったままには出来ません。以前USGAに確認したことがありますが、「触って感じ取れる目印はルール違反」なのだそうです。ですから、右手親指の理想的ポイントが見つかったら、テープの場所をホワイト・マーカー(修正液)で描いた●に置き換える必要があります。マーカーなら触って感じ取ることは出来ませんのでOKです。
驚いたのですが、この●の位置はパター毎に異なるのです。写真のパターはGuerin Rife製2 Bar Malletで丸の位置はほとんど真ん中なのですが、Odyssey Rossie IIだと丸の位置はもっとストロングで(親指一本分右に廻して)握らなくてはなりません。その理由は、双方のハンドルの太さの違い、シャフトの長さの違いによるものと思われます。
この右手グリップの角度を発見した翌日のラウンド、絶好調とは云えませんでしたが二つのホールでバーディ(1メートルと1.5メートル)を達成し、パット総数29でトータル9オーヴァー。
その次のラウンド。パット総数24、三つのバーディ、トータル5オーヴァー。それも、ダボ二つ込みで(^^::。
ミスした場合の多くも、ゴルフ・ボールに描いた線は揺れずに真っ直ぐ転がったのが自慢です。それは、読みは誤ったものの、ストロークは正しかった証明だからです。
(March 02, 2019)
●グリーンを制するものが勝者となる私はパッティングがゴルフで最も大事なものだと思っています。当サイトの「テクニック」の項には、2019年2月現在2,369のtipsがありますが、そのうち約30%(696)がパッティングに関するものです。残りのスウィング、パワー、ショット・メーキング、ミス・ショット防止策、寄せ、バンカー・ショット、トラブル・ショット…等全てに較べ、いかに分量的に比重が高いか、お分かり頂けるでしょう。
いくらドライヴァーが飛ぼうが、二打でパー5にオンしようが、うまく1ピンの距離に寄せられようが、最後の局面でパットが入らなければスコアが良くなることはありません。 スポーツ心理学者Dr. Patrick Cohn(パトリック・コーン博士)は次のように云っています、「ツァー・プロの場合、いいスコアはパットの成功によるものである。プレイヤーの多くがティーからグリーンまでは見事にボールを運ぶ。しかし、賞金の小切手がどこに行くかというと、普通それはパットを見事に沈めたプレイヤーのところである」 われわれは小切手とは無縁であるものの、初めて80を切るとか、初めてパー・プレイを達成するなどの快挙は、100万円の小切手に相当する感じでしょう。そのためにはグリーンを制する必要があります。 南ア出身のパット名人Bobby Locke(ボビィ・ロック)は「32パットのラウンドはまあまあの出来、30パットだったら上出来、28パットで収められたら最高と考えるようにしていた」と云っていました。 私は、ずっと以前からスコアカードの上段にそのホールのパット数、下段にスコアを書いています。チップインしたらパット数はゼロ。これによって、自分のパッティングが向上しているかどうかが判断出来ます。私は生意気なようですが、32パットは最悪、常に30を越えないように努力しています。 パッティングは、練習でも本番でも何が悪かったのか判断しにくいのが難点。読みは良かったのだが、ストロークが悪かったのか。ストロークは良かったが、読みが悪かったのか。はたまた、読みもストロークもどっちも悪かったのか? 唯一、ストロークの善し悪しを判断する助けとなってくれるのは、「ターゲット・ラインの拡大」(tips_195.html)に書いたように、ボールにマジックで太い線を描くことです。読んだ目標(カップあるいは中間目標)にその線を揃えてストロークします。スクウェアなストロークが達成出来れば、ボールに描かれた線は真っ直ぐ直線となって転がります。しかし、線が斜めにゆらゆら揺れて回転するようであれば、そのストロークはスクウェアでなく、歪んだ軌道で打たれた証拠です。この場合、いくら巧くラインを読んだとしても入る筈はありません。 |
ストロークの練習はゴルフ場へ行かなくても出来ます。パット練習器などなくても可能です。もっと云えば、ターゲットもボールすらも要りません。ですから、ボールの線が真っ直ぐ転がらない言い訳を考えるのは困難です。「完璧なストロークの探究」(tips_193.html)を使ってみて下さい。
(March 02, 2019)
●あるインストラクターが経験したthe Zone(ザ・ゾーン)元PGAツァー・プロで、現インストラクター兼ライターのLarry Miller(ラリィ・ミラー)は、彼の著書で次のように書いています。
'Golfing in the Zone'
by Larry Miller 'MJF Books, 1996, $6.98)
「音楽は、スポーツのパフォーマンスと明確な関連がある。Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)は、スウィングする時にメロディを聴いたそうで、好調時には心の耳でそのリズムを聞くことによってスウィングのタイミングを取ることが出来たという。PGAツァーでも練習の際にヘッドフォンを着けて音楽を聴いたり、ハミングや口笛を吹いてプレイする者もいる。Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)は、シンガー・ソングライターJackson Browne(ジャクスン・ブラウン)の霊感的歌詞を聴きながらプレイしていた。Jackson Browneの歌は私の好みでもあった。
私がアラバマ州のあるコースでプレイした時、No.2(628ヤード)パー5の三打目はオンしたものの、75フィート(約23メートル)も離れていた。この化け物のような長い上りのラインを見ながら、私はJackson Browneの最新アルバムの歌をハミングしていた。
私が『ピンを抜いていい』と云った時、ピンを持っていた女性が驚いた。彼女は、私にカップが見えるのだろうと思ったそうだが、実のところその距離からではカップはよく見えなかった。だが、私には私とボールとカップの密接なコネクションが感じられたのだ。わたしは30フィート、40フィート、50フィートのパットは成功させたことがあったが、75フィートは未経験だった。
カップとのコネクションは不思議なフィーリングだったし、その時の澄んだ心は魅惑的だった。パットする際、カップは見えなかったものの、その位置は感じられた。ボールは線路に乗って運ばれるようにカップに向かった。同伴者たちによれば、ボールはド真ん中から入ったそうだ。彼等は単なる幸運だと考えたようだが、私は何か別な作用だと思う。いくつもの否定し難いエネルギーが単一のゴール目指して結集したのだ。
【おことわり】画像はhttps://underarmour.scene7.com/にリンクして表示させて頂いています。
(March 02, 2019)
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