July 01, 2019

砲台グリーンの斜面からのチップ【秘密の法則】

 

「乗るか?あーっ、短い!」乗ったかのように見えたボールは、手前に撥ね返って砲台グリーンの斜面で停止。「でも、下まで転げ落ちないでよかったじゃないか!」と同伴競技者の慰め。本当にそうでしょうか?

私がプレイしているコースのグリーンのほとんどは砲台です。前から見ると単なる平坦な上りのように見えますが、左右及び奥は急傾斜の崖となっており、右端や左端および奥近くへ着地したボールは崖下へ転落します。草の長さや湿り具合によっては完全に落ち切らず、崖の途中で停止する場合があります。このケースが難物です。

完全に転げ落ちて、下の平地からのショットなら距離感はほぼ見た目の距離プラス数ヤード前後で打てばいいのですが、斜面で止まったボールを寄せるのは至難の業。私の場合、ショートしたり、オーヴァーしたり、滅茶苦茶でした。

いくつかのホールのグリーンの崖の中途からのショットを練習してみました。グリーンの土手の傾斜角度によって、見た目より長く打たないといけません。何故なら、60°ウェッジは左足上がりの傾斜次第で、70°になったり80°になったりするため、高く上がる分だけ飛距離が短くなって当然なのです。

【註】左足上りの斜面でのショットは、斜面に逆らわず、斜面に沿って平行に立つのが基本です。肩もその斜面と平行にします。クラブをその斜面に垂直に構えると、自動的にクラブのロフトが増します。この基本を無視してアドレスをする人には、私の今回の記事は何の意味も持ちません。

傾斜角度によってどの程度距離を増すべきか?研究してみました。ぐだぐだと試行錯誤の経過説明をするのは、御用とお急ぎの方の御不便でしょうから、結果を先に書いちまいます。ゴルフコースに分度器を持って行き、私がよくミスする砲台の斜面の角度を調べました。もちろん、測量のための道具ではありませんから、多少誤差が出るのはやむを得ません。

No. 1(パー4):私がこのホールの二打目でフェードを掛け損なうと、砲台グリーンの左にミスします。分度器で測ると、その土手は約20°の勾配がありました。

このNo. 1のピンの位置を目測すると、ボール方向のグリーン・エッジから約5ヤード離れて切られていました。GPSによるエッジからボールまでの距離が20ヤードとなっているので、物理的距離は計25ヤードですが、どっこい、傾斜が20°ですから、さらに20ヤード足さねばなりません。【ロフトが5°増える毎に5ヤード足すべきなのです。傾斜角度が20°なら20ヤード足すことになります】 つまり、本当に必要な飛距離は40ヤードです。

 

[chart]

私の60°ウェッジには「ピッチングとチッピングの距離調節・簡略版」(tips_195.html)で紹介したように、ハンドルに1.25センチ刻みでマークがつけてあり、一刻み増減する毎に5ヤードの増減で打てるようになっています。これを利用すると、傾斜地からの打ち方は非常に簡単です。実際に総距離を40ヤードとして数個のボールを打ってみますと、どれもがピン傍に集まりました。

No. 16(パー4):本当はこのホールは私の得意なホールで、「ピッチングとチッピングの距離調節・簡略版」を使うことで良くてバーディ、悪くてパーなのです。しかし、ピッチかチップの際にトップしたりすると、哀れボールは奥の崖下に向かいます。ここでも崖の途中でボールが止まると距離がコントロール出来ず厄介でした。何しろ、旗の天辺さえ見えないほどの打ち上げなのですから。

分度器で測ると、この崖の傾斜は約25°でした。ピンから奥のエッジまでの距離を目測すると約5ヤード、GPSによればエッジからボールまでは約10ヤード。物理的距離は約15ヤードですが、傾斜角度が25ヤードなので、打たなくてはならない距離は40ヤードとなります。実際に数個のボールを打ってみると、全部ピンから40センチ前後に寄りました。

法則:《ホームコースの砲台の前後左右の傾斜を測っておく。エッジからピンまでの距離を目測し、次いでボールからグリーンエッジまでの距離をGPSで知る。それらの合計に、傾斜角をヤードに置き換える(例:10°なら10ヤード)。その数字が実際に打つべき距離である》

私はホームコースの砲台グリーン全ての前後左右の傾斜を計測しました。計測するだけでなく、実際に計算通りかどうかのテストとして、各斜面からグリーンへ数個のボールを打ち、全体がショート気味なら分度器の扱いが悪かったと考え、角度を修正しました。この結果が右上の表で、今後はこれを携帯してラウンドします。この研究・調査が役立って、一つでも多くのバーディ、パーが得られることを願っています。

もう絶対にショートしないぞ!

(July 01, 2019)

分度器なしで斜面の角度を測る [angle]

私は凝り性なので、上のように全てのグリーンの左右・手前・奥の傾斜を調べました。しかし、ホームコースをお持ちの方でも、ここまでの意欲は湧かないかも知れません。まして、ジプシーの方は初めて行くコースが多いでしょうから、前以て傾斜角度を測っておくということは出来ません。分度器が使えればいいのですが、生憎ゴルフ・ルールでは原則的に一切の測量機器の使用は御法度となっています。

何とか、その場で手軽にインスタントに斜面の角度を測る方法はないか?見つけました。

写真のように人差し指と中指を、じゃんけんの「チョキ」の形で使います。この二つの指が作る角度が30度です。30度の先端がある三角定規で確認して下さい。力を篭めて突っ張ってはいけません。突っ張ると40度になってしまいます。じゃんけんをする時のように楽に開きます。前項の「砲台グリーンの角度」という表を見ても最大の傾斜は30度ですし、これ以上の角度を測る必要はないと思われます。

中指を水平にして、測りたい土手の下部に合わせます。【傾斜が逆方向なら左手を使います】傾斜した土手が指の空間にぴったりはまるようなら、その傾斜は30度です。もし、傾斜が30度以下の場合は、視覚化で指の間の角度を三分割します。この写真の土手の傾斜は20度で、分度器による計測結果と全く同じです。白線の傾斜だったら10度です。

これら三つの傾斜角度が判り、それに対応した距離を足して打つだけでも、バーディ・チャンスやパー・チャンスが増えることは間違いないでしょう。

(July 01, 2019)



[Anim

 Copyright © 1998−2019   Eiji Takano    高野英二
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.