January 08, 2019
●女子プロ世界No.1だったMickey Wright(ミッキィ・ライト)が教わった三つの秘訣
Mickey Wright(ミッキィ・ライト、1935〜)は15年間の競技生活で、当時のLPGAメイジャー13勝、LPGAツァーで計82勝(ツァー以外の優勝を含めると計90勝)を挙げ、数々の記録を塗り替えた女性。ツァー82勝は、Kathy Whitworth(キャスィ・ウィットワース)の88勝(歴代一位)に次ぐ第二位の記録だそうです。
筆者Herbert Warren Wind(ハーバート・ウォーレン・ウィンド)は、Ben Hogan(ベン・ホーガン)やJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)などの本の共著者として有名です。
'Herbert Warren Wind's Golf Book'
by Herbert Warren Wind (Simon & Schuster, 1948)
Mickey Wrightはカリフォーニア州サンディエゴの弁護士の家に生まれ、12歳の時に地元ゴルフ場の専属プロからゴルフの手ほどきを受けた。だが、彼女のスウィングを開化させたのは、ロサンジェルス郊外のゴルフ場のプロHarry Pressler(ハリィ・プレスラー)であった。彼女が14〜15歳頃の二年間、毎土曜、母親が運転する車で125マイル(約200キロ)ドライヴし、一時間のレッスンを受けた。
レッスン・プロHarry Presslerが彼女に教えた基本は、大抵の女性がほぼ腕だけでスウィングして距離が出なかったのと逆に、優秀な男性ゴルファーと同じように活発な手の動きでボールを打つことだった。その目的を達成するため、彼は彼女に三つのポイントに取り組むよう強調した。
1) ダウンスウィングの最初で体重は右足から左足に移動し始めること。
2) ダウンスウィングでは、右肘が右腰の前近くにくっつくこと。【註】
3) 手がボールに向かう時、手首を出来るだけ長くコックし続けること。
【編註】これは「正確無比なショットの秘訣」(tips_185.html)および「ダウンスウィングの研究」(同左)に書いた《右肘が右ポケットを越えないダウンスウィング》と同じですね。Ben Hogan(ベン・ホーガン)のセーターは、猛練習によって右腰の上の部分が擦り切れたそうです。やはり、この方法が正確なスウィングの秘訣なのです。
Mickey Wrightは、生涯忠実にこの三点にこだわり続けた。時折、スウィングが安定しなくなりHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)やPaul Runyan(ポール・ラニャン)他に見て貰ったことはあったが、いかなる時も自分が育ったスウィング動作を変えようなどとは考えなかった。
彼女はアマチュアとしていくつかのトーナメントで優勝したが、すぐにはプロにならず、スタンフォード大に入学した。しかし、1955年、一年生の時に退学してLPGAツァーに加わった。他の娘さんたち同様、プロ入りした時の彼女の夢は世界ナンバー・ワンの女子ゴルファーになることであった。彼女は1964年までに、全てのトーナメントでの優勝を期待される高みまで登り詰めた。彼女は期待された記録は、全て塗り替えた。1965年、やるべき目標を全て制覇した彼女は競技生活から引退し、心理学専攻の生徒としてテキサスのある大学に入学した。
(January 08, 2019)
●ボールのどこを見てパットするか?
普通は、スタンス中央に置いたボールをパットする人が多いと思われます。私もずっとそうしていました。
ところがある日、練習グリーンでパットしているうち、ボールを左足の方に寄せてパットすると何かしらいい感じがしました。ボールがスタンス中央だと、ボールの天辺を見ながらストロークすることになりますが、左足に寄せるとボールの右側面を見ながらストローク出来ます。パターヘッドはボール右側面を打つのであって、ボールの天辺を打つのではない。打つ場所を見つめながらストロークする方が自然のような気がしました。
スタンス中央というのは、振り子運動の弧の最低点で打つという趣旨なのでしょうが、ストレート・ストロークは地面と平行にパターヘッドを動かすので、ストローク弧の最低点を気に病む必要はありません。よもやパターヘッドが上昇気味になってボールと接触するにせよ、ボールの赤道の上を打つ方がフォワード・スピンで転がりがいい…と説くプロも少なくありません。
右図はパッティング・インストラクターStan Utly(スタン・アトリィ)のボールと目の位置です。彼もボールの右横を見ていることが判ります。パット名人Bobby Locke(ボビィ・ロック、1917〜1987、南ア)やBen Crenshaw(ベン・クレンショー)のボール位置も左足寄りです。
右側面を見ながら打つと、不思議ですが安心感が湧きます。これ、ナーヴァスになりがちなパッティングには、ひょっとすると重要なことかも知れません。
ある日、全部のパットをスタンス中央より左に置いてストロークしてみました。1.3メートルと1.8メートルのバーディ・パットに成功、他にも2メートル前後の距離をいくうか沈め、チームの仲間を驚嘆させました。この方式、間違いなく良さそうです。
いま気がついたのですが、ボールの天辺を見る時はあまり焦点が定まらない目で漠然と見ているのに反し、ボールの右側面を見ようとすると焦点が狭まるのです。大きい丸ではなく、右脇の小さな点(ディンプル)をみつめることになり、集中力が高まって、パターヘッドをボールにスクウェアに接触させるのを助けてくれるような気がします。
【参考】「パットのボール位置は胸骨のちょい前にせよ」(tips_159.html)
(January 08, 2019)
●新ルールで、ピンを抜かずにパット
私の住む地域は年末年始と雨にたたられ、1月7日が今年の初ラウンドでした。No. 1で私のチームの一人が、「ピンを抜かないでくれ」と云い、彼はラウンド終了までピンを抜かないでパットしました。しかし、これは新しい物好きの面白半分の行為のようで、抜くか抜かないか考えた上での決断には思えませんでした。
私には新ルールは以下のようなメリットがあると思われました。
・距離感を掴みやすい
普通、ロング・パット以外では、自動的にピンを抜いてしまいますが、この場合距離を長く感ずることが多い。ピンがあると本当の距離が目に入って来ます。
・下りのパットでは抜かない方が断然有利
ピンをブレーキ装置と考えれば、恐る恐るパットしてショートするのを防げます。もちろん、真正面からピンにボールを当てないと弾かれてしまいますが…。また、ピンに当たらないと、どんどこ下り坂を転げ落ちる危険性もあります。ボールがカップで息絶える強さで打つストロークをする人にとっては、ピンが保険として役立ちます。
件の男がピンに助けられたのは、たった一度。もの凄い下り勾配のグリーンにチップし、あまりに強過ぎて崖下へ転落かと思われたボールがピンを直撃してチップインした時。しかし、これは新ルールと関係ない出来事でした。
(January 08, 2019)
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