August 24, 2019
●ガニ股で乗せるある夜、この『日記』のバックナンバーをチェックしていて、たまたま右の写真が目に止まりました。これはSung Hyun Park(【英】サン・ヒュン・パーク、【日】パク・ソンヒョン、韓国)のダウンスウィング開始の一瞬です。Sam Snead(サム・スニード)のようなオジン風ガニ股ではなく、女性らしく控え目な、しかし紛れもなくガニ股によるダウンスウィング開始です。
トップに達した後、下半身をガニ股にしてからダウンスウィングを始めるのは、手打ちを防ぐ特効薬でもあります。膝がターゲット方向に開くに連れ、左肩が追随し、最後に腕・手が振り下ろされる…下半身主導のスウィングの理想的順序であり、パワフルかつ方向性の良いショットが実現します。
これを見た次の日のラウンドで、最初からこの写真を思い出せば良かったのですが、思い出したのはNo.15(パー4)の二打目地点でした(遅い!)。ピンまでの残り距離は140ヤード。平坦なレイアウトならアイアンの距離ですが、かなり下ってから凄い登りとなる砲台なので、かなり長めに打たないと届きません。私の場合は18°ハイブリッドを24センチほど短く持って打つ距離。
このグリーンは一寸でも短いと砲台の途中で止まるか、ころころ戻って来てしまうし、グリーン中央にオンさせるとどんどん転がって突き抜けてしまいます。とても自信を持って打てる場面ではありません。そこで、ふっと頭に蘇ったのがこのガニ股の写真。「とにかくガニ股実現を目標にスウィングしよう」と思いました。
ボールはピンの10ヤードほど左に向かって飛び、僅かにグリーン手前に着地し、ころころとグリーン中央を右へ横切り、ピンの右上方2.5メートルで停止しました。望外の成果。ただし、パットに失敗しバーディは逃してしまいました。
No. 16もパー、No.17もパー。No.18(パー4)のティー・ショットをポップアップさせた私は、二打目のハイブリッドもショート目で、残り95ヤード。8番アイアンを1.25センチ短く持ってアドレス。このグリーンも砲台ですが、普通に打つとボールが止まらないことが判っているので、ボール位置はスタンスの左サイドにし、高い木を越える時と同じように、右に体重を残したスウィングによって、高い軌道でボールを止めなくてはなりません。ガニ股スウィングだけに意識を集中した私のショットはピン目掛けてまっしぐら。「うまく止まったろうか?」と近づいて行くと、なんと、ボールはピンの横20センチについていました。ポップアップの恥辱を雪(そそ)ぐ至難のパー。
今後はNo.1からずっとガニ股志向でプレイしなきゃ。
(Aug 24, 2019)
●ポップアップを克服する
ここ数ラウンド、醜悪なポップアップに見舞われていました。私のティー・ショットを見守っていた仲間が「あれ?」「え?」「どこへ行った?」と狐につままれたように途方に暮れます。しばらくしてから、50ヤードほど前方にボールがぽとんと落ちて来ます。恥ずかしいったらありゃしません。これが、1ラウンドに三回ぐらい出ます。
見兼ねた仲間の一人が、「ティーアップが高すぎるんだ。元に戻せば?」と云いました。そう簡単な問題じゃないのです。ティーアップの高さはここ一年同じなのですから。
私のセットアップは右図のように、精一杯高くしたティー、その後ろ18センチほどでクラブ・ヘッドを構えます。以前は15センチ後方で構えていましたが、その後クラブヘッドはじりじりと後退し、最近では18〜20センチとなっています。18センチはボール約四個分後ろです。適切にアイ=ハンド・コーディネーションを利用すべく、目はフェース直前の青丸地点を凝視しながらスウィングします。
なぜ、ポップアップが生じるのか、文献に当たろうとしましたが、そういうことは全部この『日記』に書き抜いてあるので、『日記』の「テクニック別索引」で「ポップアップ」を検索しました。いくつかヒットした中で、一番良さそうなのは「ポップアップのティーによるスウィング診断と治療」(tips_171.html)というtipでした。
その内容は「ドライヴァーはスウィング弧の最低点を通過し、上昇軌道になった時点でインパクトを迎えるべきものである(右図の緑線)。上昇中のヘッドで打てば、打った後ティーは地面に刺さったまま残らねばならない。ティーが跳ね上がって飛んでいるようなら、急降下中のフェースとクラウンの境目の角でボールを打ってしまうためポップアップの原因となってしまう(右図の赤線)」というもの。
早速練習場へ行って試しました。私の場合、ティーが地面に刺さったままにはなりませんが、ポップアップ撃退法は発見出来ました。私の上図のセットアップでは、肩幅に開いた左足の爪先前方をボール位置としていました。それがいつの間にか爪先の内側になっていたのです。つまり、クラブヘッドが完全に上昇する以前にボールを打っていた。結果的に下降中にインパクトを迎えるのと同じ現象が起きていたのです。
この日の練習で、左足爪先前方よりも小指の外側をボール位置とすれば、完全に上昇軌道でボールを打てることが判りました。これで一安心。
ところが、その次のラウンドでも二度ほどポップアップを出し、ガックリ。キャプテンたる者が二度もポップアップするのは切腹ものです。
仕方なく、ヴィデオ・カメラで撮って確認することにしました。撮影のために、木片にボールからヘッドまでの距離を12、15、18、20、22、25センチと色分けしました。どれが最適なのか、どれだとポップアップになるのか?私のヴィデオ・カメラはスポーツ用のハイスピード・シャッターが選べるので、インパクトの瞬間が撮れると思ったのです。大間違い。左の写真が精一杯で、何十発も打ったのにインパクトの瞬間など他には全く撮れませんでした。TV放送局の超高速度カメラでないと無理のようです。ポップアップは、ボール後方12センチでアドレスした時に出ました。高いティーに対してヘッドが近過ぎるのです。
写真のボールがフェースと接している部分は「ホット・スポット」と呼ばれるところで、最近は(フェースの中心でなく)ここでボールを捉えるとバック・スピンが減り、飛距離が増すとされています。これより上になるとポップアップの危険が生じます。
しかし、ヴィデオを点検するまでもなく、結論はボールを打ってみた時点で出ていました。私が現在愛用している8.4センチと昔使っていた7センチのティー二種類、およびボール位置を左爪先の前と左爪先の外側の二種類の組み合わせ都合四種類を試したのですが、次ぎのどれでもポップアップを回避出来ることが判ったのです。
1) 8.4センチのティー、ボール位置:左爪先の外側、ヘッドはボール後方25センチ(ボール約六個分後ろ)
2) 7センチのティー、ボール位置:左爪先の前、ヘッドはボール後方18センチ(ボール約四個分後ろ)
上のどちらも軌道、打感双方で満足出来たのですが、問題は「では、どっちの方が飛ぶか?」です。練習場ではどれだけ飛んだか判りませんので、平坦なパー5のホールに赴き、ラウンド用のボールを使って実際に打ってみました。
両方ともいい当りでしたが、何と7センチの低いティーで打った数個のボールが、高いティーで打ったものより20ヤードも遠くに飛んでいました。
高いティーで高い軌道で打つのがトレンドの筈なのに、これはどういうわけか?現在の私の身体が上昇軌道のスウィングに向いていないのかも知れません。そう云えば、撮影したヴィデオのいくつかで、インパクト直後に砂煙が立っていました。もし下降軌道でスウィングしていたとしたら、ちょっとした弾みでポップアップするのも無理はありません。
いずれにしても、7センチのティーでボール後方18センチで打てばポップアップを防げるだけでなく、現在以上に飛ばせることが判ったのはめっけものでした。
(August 24, 2019)
Copyright © 1998−2019 Eiji Takano 高野英二 |