October 14, 2018

パットは芸術か科学か

 

パット名人やインストラクターの多くは「パットは科学ではない。芸術だ」と云っており、私もそれを信じていました。しかし、パターのスウィート・スポットでボールの真ん中を打つ努力と工夫をするうち、「ひょっとすると、パットは科学かも知れない」と思うようになりました。

[Science]

私は、身体的に右側に較べて左側(の手・腕、脚)が僅かに短いため、パットのアドレスをしたら、最後に左膝を右に押し込みます。こうすると、自動的に左肩が時計回りに少し動き、両肩がターゲット・ラインにスクウェアになります。これって、純粋に物理的動作ですよね。

また、パターのスウィート・スポットでボールの真ん中を打つためには、ボールと身体との間隔を終始変えない方がよいと考え、手・腕を出来るだけ伸ばしてアドレスしてストローク動作をしていますが、これも物理的思考です。

私のパッティングはいつの間にか、芸術よりも物理学に傾斜していたのです。そこで、思い出したのが'The Art and Science of Putting'(パッティングの芸術と科学)という本です。これは、以前短く紹介したことがあります。なぜ「短く」だったのかと云うと、「色々理屈はこねているけど、実際にプレイに応用出来る部分が少ない」と思われたからでした。実践的ヒントとは思えなかったので、その本に書かれた理論のどれ一つ、試そうとしませんでした。しかし、物理的パッティングに傾斜している現在、何か参考になるものがあるのではないかと思われました。

著者Rik DeGunther(リック・デガンサー)は工業物理学を修め、ハイテク・デザインの専門家として、科学的にパッティングを解明しようとした人で、当人もシングルの腕前だそうです。この本を再読して印象に残った箇所を、以前の記事と重複しない範囲で抜き書きしてみます。

'The Art and Science of Putting'
by Rik DeGunther (Masters Press, 1996, $14.95)

「・クラブフェースは常にターゲットラインに直角でなければならない。
・幅広い実験データに基づいて云えば、ストロークの軌道はたった15%しか正確なパットに影響せず、85%はインパクト時のパター・フェースの角度である。  【註】以上二点は、「完璧なストロークの探究」(tips_193.html)で紹介した練習法が正しいことを証明しています。
・指を他方の手に重ねるオーヴァラッピング(あるいはリヴァースオーヴァラッピング)・グリップがベストである理由はない。左手甲と右の掌がターゲットを指し、両方の親指がパターヘッドを指すようにする。右の人差し指を伸ばして、シャフトの脇に添える。手首の自由度を制限するため、左右の手を離して握る。これが最もシンプルでお薦めのグリップだ。
・頭は、ターゲット・ライン上で、ボールのやや後ろに位置させるべきである。
・どんな長さのパターを用いるにしても、両手は肩の真下に位置すべきである。(右の写真)

・スタンスはオープンにしても肩はオープンにすべきではない。肩は常にターゲット【カップあるいはブレイクの頂点】にスクウェアであるべきだ。
・ストローク動作は両爪先を結ぶ線ではなく、肩と平行に動かすべきである。これはパッティングで最も重要な要素である。

・両肘を寄せながら身体に近づけると、肘でもって傾斜するストロークになってしまうので、これは避けるべきである。逆に、両肘を離しながら前に突き出すと、ストロークを固くし、不自然なものしてしまう。
・最も望ましいのは、両肘を快適にゆったりと肩からぶら下げることである。
【註】この最後の部分は、「パットする際、両手の高さを揃えよ」(09/20)で私が書いたこととそっくりです。肩から自然に垂らした手・腕でストロークすべきなのです。
・ストロークの間じゅう(特にインパクトで)、右の掌および左手甲はターゲット【カップあるいはブレイクの頂点】にスクウェアに保つべきである」

著者はいくつかの単純なパッティング・ロボットのモデルを提示し、その利点と問題点とを指摘しています。

「パターがターゲットラインの真上で振り子のように動くロボットは正確である。ただし、それは回転軸(肩)もターゲットライン上にある場合であり、パター・シャフトを傾斜させてハンドルをターゲットラインから離すと、パターフェースがバックストロークでオープンに、フォワードストロークでクローズにならざるを得ず、垂直に垂れ下がった振り子動作よりは難しくなる。

 

人間の身体のように関節を備えた機械は、コントロールが難しい。最も単純で狙いに沿ってストロークし易いのは、ケーブル・カーのように上からぶら下がっているパターが直線的に動く(関節がない)ものである。ただし、これはバックストロークでどれだけ後方に引けばよいかを練習で身につける必要がある」

[square stroke]

右図の私の練習法は、後者の例のように直線的に動くもので、フォロー(図の③)までフェースがスクウェアであれば当然インパクトもスクウェアであるという想定で行っています。これは振り子式動作ではありません。振り子の付け根を左右に動かすわけで、こんな振り子は実在しないでしょう。

以上のように、「芸術と科学」という表題はちと大袈裟な本なのですが、次の二点で私が現在やっていることが支持されたと考えています。
・両肘を快適にゆったりと肩からぶら下げること。
・ストロークし易いのは、関節がなくパターが直線的に動くものである。【=ストレート・ストローク】

【参考】
・「Rik DeGunther(リック・デガンサー)のパットの芸術と科学」(tips_68.html)
・「Rik DeGunther(リック・デガンサー)のモーツァルトでパット」(tips_76.html)
・「Rik DeGunther(リック・デガンサー)のパターを加工する」(tips_65.html)
・「Rik DeGunther(リック・デガンサー)のパットでもトップの間(ま)」(tips_65.html)

【おことわり】本の画像はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示させて頂いています。

(October 14, 2018)

見逃し三振

10月8日から10月12日までは、私のバイオリズムの身体波の絶好調期だったのですが、あいにくその数日前に原因不明の腰痛に見舞われ、全くプレイ不能でした。秘伝の「腰痛体操」(tips_22.html)によって五日後には症状は軽減しましたが、もう絶好調期は去ってしまいました。

この後二週間ほどは不調と低迷が続く一方で、好調は月末から来月初めまで待たねばなりません。

(October 14, 2018)



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