March 18, 2018

真剣にウォーミングアップせよ

 

PGAツァーの練習魔の一人でTom Kite(トム・カイト)が説く、ウォームアップの重要性。

'How to Play Consistent Golf'
by Tom Kite with Larry Dennis (Pocket Books, 1990, $14.00)

「練習とウォーミングアップはよく誤解され、混同されている。練習はプレイの仕方を学ぶもので、ウォーミングアップはプレイの準備である。不幸にも、ウォーミングアップは(特にアマチュアには)しばしば無視されている要素だ。プロはウォーミングアップを重視するが、アマチュアは9時のティー・タイムだと8時45分に到着し、バタバタと靴を履き替え、慌ただしい素振りを数回してNo.1ティーへと向かう。

他のスポーツでは、個人競技であろうと団体競技であろうと、ウォーミングアップの時間が組み込まれていて、参加者は当然のこととしてそれを実施する。手・目・筋肉の協調という視点からすると世界でも最も難しいと思われるゴルフという競技に、人々は大慌てでやって来ていきなりスタートして行く。そして、彼らは最初の3ホールで5オーヴァー・パーになっちゃうのは何故なんだろう?などと首を傾げる。ラウンドをスタート前に台無しにしていることに気づかないのだ。

ラウンドの準備の第一歩は、準備時間を作ることだ。その次の一歩は、それを正しく実行すること。先ず、筋肉をほぐし、腰掛けてストレッチングをする。その後、実際のゴルフのウォーミングアップに移る。それがその日の調子を決定する。以下は私の例である。

1. 先ず練習グリーンに赴き、三個のボールを転がし、沈めるつもりで数回パットする。
2. 練習場に移る。私はラウンド前は偶数のクラブを練習し、ラウンド後は奇数のクラブを練習する。あなたはラウンド後の練習はしないだろうが、その週の間に全てのクラブを練習すべきだ。私は各クラブで8〜10個のボールを打つ。最初の数個は、プレショット・ルーティーンとテンポに気をつける。各クラブで打つ最後の数個はショット・メーキング(ハイ・カット、フック、風に向かう低いボール等)に焦点を当てる。私はスウィング動作の研究をしているのではなく、コースで必要になるであろうショットに集中している。
3. バンカー・ショットの練習。
4. チップ・ショットの練習。
5. 最後に再度練習グリーンに戻るが、今度は一個のボールだけしか使わない。テンポとルーティーンに気をつけながら、その一個を絶対沈めようとする。失敗したら次のボールを打つ…ということは出来ない。これはゴルフなのだ。

 

この後、No.1ティーに立った時、私に不確実なものはない。これからのホールで遭遇するであろう状況に対するショットは、既に練習済みだからだ。このようにラウンドの準備をすれば、スコアカードから打数が減って行くのを見ながら、楽しいゴルフが可能になる」

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ある(あまり上手くない)男がラウンド後に「今日は一回もチームに貢献出来なかった」とこぼしました。貢献というのは、誰もパーを得られない時に彼がパーを達成し、チームのスコアを維持することを指します。私は彼に、「あんたはいつもスタート五分前に駆け込んで来るけど、何か理由があるの?」と尋ねました。彼が本番のNo.1ティーで空振りするのを目撃したこともあるからです。「やることは一杯あるんだが、ま、午後に廻すことも出来るんだけどね」という答え。私は「誰某と私はスタート一時間前に来て練習する。誰某は40分前、誰某(彼が尊敬する人物)は遅くても30分前に来て練習してる」と云いました。五分前にあたふたとやって来て、貢献もへったくれもないのです。「そうか、おれも少し早く来て練習するか」と云うので、「少なくともウォームアップすべきだよ、空振りしないように…」と助言しました。

(March 18, 2018)

Hank Haney(ハンク・ヘイニィ)のショート・ゲーム

 

有名コーチHank Haney(ハンク・ヘイニィ)のDVDをレンタルしてみました。ドライヴァー、ウェッジ、パターの三本の使い方を教えるもので、初心者向けの内容です。しかし、次に紹介するウェッジの使い方(特にコックの有無とテンポなど)は興味深いものでした。

'ESPN Golf Schools: The 3-Club Tour'
by Hank Haney (DVD, 2007)

「・ピッチ・ショット

これはミニチュアのゴルフ・スウィングである。60°ウェッジを用い、腕によるスウィングで、バックでクラブフェースをオープンにし、フィニッシュでもフェースをオープンにする。コックはごく僅か。

・ロブ・ショット

60°ウェッジを用い、クラブフェースをオープンにし、スタンスもオープン。コックの度合いを強めた、長くゆっくりしたスウィングをすること。

・チップ・ショット

距離によってクラブを換えるが、標準的にはピッチングウェッジがベストの選択。ボール位置はスタンス後方、アップライトなハンドファーストの構えでロフトを減らす。固い手首を保ち、ディセンディング・ブローをする」

 

(March 18, 2018)

プレッシャー下でイーズィに打ったりするな

 

この記事の筆者Jim Thorpe(ジム・ソープ、1949〜)はPGAツァーで三勝、Championsツァーで13勝、その他計20勝を挙げている黒人プロ。

'Swing Thoughts'
by Don Wade (Contemporary books Inc., 1993, $12.95)

「ゴルフ本や雑誌を開けば、必ず『イーズィにスウィングせよ』という説にぶつかる。冗談じゃない。プレッシャー下では、大方の人間はハードにスウィングするのが相場だ。私は間違いなくそうする。私は常にハードに打つことを心掛ける。

例を挙げよう。ティーグラウンドから、イーズィなドライヴァーとハードな3番ウッドのどちらかを選ぶ状況では、私は毎回3番ウッドを選ぶ。なぜなら、ドライヴァーでイーズィに打とうとすると、決まって右方向にボールを放つ危険を伴うからだ。アプローチ・ショットでも同じだ。私が最も避けたいのはグリーンへの40〜50ヤードのショットなのだが、このショットに直面するとダフってショートかトップしてグリーン・オーヴァーするかどっちかなのだ。

私がハードに打つと云う時、あなたの能力以上のパワーでスウィングせよと云っているのではない。バランスのよい、あなたの能力内でスウィングすべきだ。避けるべきなのは、あなたの神経があなたに逆らっている時に繊細なショットを試みたりすることだ。

1985年のセイコー・ツーソン・マッチプレイ選手権が完璧な例だ。No. 15に達した時、私は対戦相手Jack Renner(ジャック・レナー)に4アップだった。【編註:このホールで勝つかタイなら、相手に勝ち目はなく試合終了となる】 私のキャディーは私に残りヤーデージを教えてくれ、『4番アイアンで充分だ』と云った。私は知っていた。私の生来のフックと、その時の興奮状態からすれば、5番アイアンを選ぶ必要があると。私はターゲットの10ヤード右を狙い、カップ方向にドローとなるように努めた。ボールはグリーン手前の池を10ヤード越え、このホールで相手を仕留めた」

 

(March 18, 2018)

ラウンド後半のようにスウィングしよう

 

私の場合、ラウンド後半のティー・ショットはしごく伸び伸びと打てます。特に最後の五ホールぐらい。最初からこんな風に打てればいいのに…と思います。何故、ラウンド後半だと伸び伸び打てるのか?

「身体が充分あったまったからだろう」ですって?多分ね。
「真っ直ぐ打てるという自信が構築された後だからだろう」かもね。
「今日、もう生涯ベストのスコアは達成出来ないと分って、心身がリラックスしたからだろう」それもあります(;_;)。
それら全部かも知れませんし、私にはもう一つ理由があるような気がします。

ラウンド後半はいささか疲れて来ます。スタート直後のようにパワーでスウィング出来ない。となると、身体は本能的に腕力ではなく、重力や遠心力に頼って打とうとするのではないか(キッズ・ゴルフのように)。トップからすぐさま自分の力でクラブを振り回そうとするのでなく、トップで重力がクラブヘッドをボールに引き戻す動きを待ち、それに相乗りしてダウンスウィングしようとする。下半身はそういう重力の動きを待ち切れませんから、一足早くターゲット方向に逆転し、一瞬遅れて重力の動きと共に上体が下半身に追随する。これは省エネであると同時に、理想的なスウィングの姿でもあります。これが、ラウンド後半のティー・ショットを伸び伸びさせてくれる図式なのではないか?

とすれば、ラウンド後半のようにスウィングしたい私は、No.1から既にラウンド後半のように(やや疲れた風に)スウィングすべきなのではないだろうか(^^;;

 

(March 18, 2018)

ゴルフの結果は、期待に反比例する

 

私にとって、自信満々の状態はジンクスでして、絶対にいい結果をもたらしません。ある時午後のラウンドに備えて午前中に練習場へ行ったらとても好調だったのに、本番ではフックばかり出たことがあります。メンタル面で完璧に理論武装してラウンドした際も全く効果なく、結果は惨めなものだったことがあります。雑誌でパッティングのtipを読み、練習グリーンでは素晴らしい出来映えだった時も、ラウンドではさっぱりでした。新しいチッピング法を考案し、練習では完璧だったのにラウンドでは全く効果を発揮しなかったこともあります。こういう例は数え切れません。

そのうちの大半は「自信過剰」だったと思います。《自信過剰=失敗》という因果関係を悟った私は、次第に自信を胸の内深くに押し込め、虚心にプレイしようと務めるようになりました。正直に云うと、「虚心を装って」であり、完全に自信を払拭出来たわけではなかったと思いますが…。

私にとって準備万端整った時ほど恐いものはないのです。いいことが起った試しがない。何かが不安で(濡れた地面とか、前回惨めなラウンドだったとか)、恐る恐るプレイする時の方が、結果がいいのです。かといって、心配することがないのに、無理に怖がることも出来ません(^^;;。

スポーツ心理学者Dr. Bob Rotella(ボブ・ロテラ博士)は「自信は14本目のクラブである」として、誰にとっても不可欠のものと云っていますが、私には邪魔っけなものでしかありません。

最近、ハーフでパープレイ出来た時も、数ラウンド前の4バーディの良い後味が尾を引いていました。No.3で二打目をピン傍1メートルにつけ、早くもバーディ・チャンス。ところが、いとも簡単なその距離のパットをミスし、パー。その後、必死に“罪”の償いをしようとしましたが、No.9を終えるまで何ら改善されませんでした。で、気分的には「今日のラウンドはペケだ。時間の無駄だった」と思い始めたのです。

欲も得もなく虚心にプレイし始めた後半、No. 11(233ヤード)でバーディ。No.14(360ヤード)パー5でもバーディ。2ボギーの2バーディのハーフ・パーは、諦めの境地から生まれたのです。私に自信満々の態度は鬼門なのです。

(March 18, 2018)



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