June 10, 2018

ウェッジの打ち方・あっと驚く最新版(3)

 

インストラクターJames Sieckmann(ジェイムズ・スィークマン)が確立し、多くのツァー・プロに教えているメソッドの練習法。「ウェッジの打ち方・あっと驚く最新版(1)」(tips_149.html)、「ウェッジの打ち方・あっと驚く最新版(2)」(同左)に続く完結編。

'The new way to hit your wedges'
by David DeNunzio ('Golf Magazine,' July 2013)

「ウェッジの新しい打ち方は、ダウンスウィングの連続動作を変えることに尽きる。クラブは切り返しから腕よりも早く動き、それ以後腕と胸でクラブの動きを助けることを学ばなくてはならない。

その練習として利き腕一本でボールを打ってみる。James Sieckmannは『あまりにも単純に思えるだろうが、これはパワフルなドリルだ。こんな風にソリッドなショットを打つことは、あれこれ思い煩うことなく正しいスウィングの連続を自動的に生成するからだ』と云う。言葉を替えれば、正しいクラブヘッドが身体をリードするように動かないと、ダフったりトップしたりするということだ。このドリルを遂行する際、以下のことに留意すべし。

1) クラブヘッドを先に動かせ

クラブが真っ先に加速し、腕、胸がそれに続き、最後に腰が続く。(そう、この順序はフルスウィングの正反対である)

2) インパクトにかけて胸を廻せ

胸を廻すことはクラブのリリースを助け、インパクトで腕をストップさせないことを保証する。右腕が身体を通り越すようにスウィングを続け、クラブヘッドが両手を通り越すようにスムーズに加速する。フィニッシュでグリップがあなたのお臍を指し、クラブフェースが僅かにオープンであれば、あなたが正しく遂行した証拠である。

3) フィニッシュの体勢のグリップに左手を添える

左手をハンドル(グリップ部分)に適合させるため、左肘を折り左手首を凹型(手首の裏側に皺が出来る)にする。

 

これらが正しくクラブヘッドをリリースし、ロフトとバウンスを最適化する鍵となる動きである。

パワー・スウィングは可能な限りスピードを生み出したいものなので、ロフトとバウンスは重要ではない。James Sieckmannは次のように云う。『技巧的スウィングにおいては、スピードをコントロールし、ロフトとバウンスを利点として用いる』 二つのスウィングをメンタルに切り替えるように、動作手順にも変更が加えられる。

James Sieckmannによれば、短いショットにおける下半身の役割は安定とバランスを与えることであり、パワーを作り出すために使うものではない。彼の2010年以降の教え子Nick Watney(ニック・ワトニィ)のダウンスウィングは先ずクラブを身体の前で動かすことで始まる。それは穏やかな投擲動作と考えられる。James Sieckmannは『重力を友とせよ』と云う。Nick Watneyの腰はクラブが身体の前に戻るまで全く回転しない。『あなたが追求すべきものは、ソフトでリラックスした腕が下半身を追い越してクラブを振り、同時に胸が同じスピードでターゲット方向にスムーズに回転する…というものだ』とJames Sieckmann。 あなたが5番アイアンをこのように打つと、ボールは全く飛ばないだろう。『基本的に、偉大なウェッジ・プレイヤーたちは故意にスウィングを弱々しくしているのだ』とJames Sieckmannは云った」

(June 10, 2018)

責任を取れ!

 

ゴルフは自分が蒔いた種を摘み取るゲームです。ドライヴァーでフェアウェイをキープ出来なかったら、その罰としてラフや林の中からリカヴァリーをしなければならない。ピッチングやチッピングに失敗し、ピン近くに寄せられなければ、罰として長いパットに挑戦しなければならない。その長いパットに失敗すれば、罰としてボギーかダボかトリプルかを別ける運命の第二パットをしなければならない。

私のゴルフ仲間の多くは、ドライヴァーのミスでもパットのミスでも、まるでボールや地形が悪いかのように、"S.O.B."などと罵りますが、もちろん、それは打った当人のお粗末な技倆の結果にほかなりません。ゴルフは子育てと同じです。不良少年や不良少女が育つのは、誰でもない、親の責任です。親が無関心(=練習不足)だったり、親が悪い行動(=お粗末なスウィングやストローク)をするからお粗末な子が育ってしまう。

ゴルフ・ボールは(新品なら)人間のように悪い遺伝子も受け継いでいないので、純粋無垢な赤子のようなもので、育て方次第で良くもなれば悪くもなります。悪くなるのは親(ゴルファー)の悪影響によるものです。

息子や娘が警察沙汰を犯せば、親は責任をとって保釈金を調達したり弁護士を雇ったりしなければなりません。ゴルフでも息子(ボール)が横道に逸れたり、悪の道に染まったり(OB)すれば、何とか正しい道に戻そうと努力しなければならない。これがゴルフの責任の取り方です。

練習でも、責任を取る努力をするのがいいと思います。

・チッピングの練習では、ギミー(=インサイド・ザ・レザー、OK)の距離につけられなかったら責任をとって、パターを手にホールアウトまでパットします。クラブを持ち替えてパットするのが面倒くさいなら、極力ギミーの距離に寄せるかチップインさせる努力をすることになります。

 

寄せワンを目指すレヴェルでは、チップショットと1パットの組み合わせをパーとし(チップインならマイナス1)、2パットしたらプラス1として、イーヴン・パーかアンダーになるようにゲームをすることが出来ます。

・ラグパットの練習もギミーの距離に寄せられなかったら、責任をとってボールをカップインさせます。これはロング・パットとショート・パットを同時に練習出来る、いい方法です。

こちらもラグパットと1パットをパーとし(一回で入ってしまえばマイナス1)、3パットしたらプラス1という風に、イーヴン・パーを目指すゲームが出来ます。

どちらも責任を取るゲームです。

(June 10, 2018)

Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)の旧型チッピング

 

Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)は、長らく距離によって数種のクラブを使い分けるチッピングをしていました。これが旧型。2003年にPGAツァーのColonial Tournament(コロニアル・トーナメント)に参加した時、男子プロたちがロブ・ウェッジ一本でチップしているのを知り、自分もそちらに宗旨替えしました。それが新型。以下はクラブを使い分ける旧型ですが、彼女に云わせればこちらの方が簡単で、素人にお勧めだそうです。

'Golf Annika's Way'
by Annika Sorenstam with editors of Golf Magazine (Gotham Bools, 2004, #30.00)

「着地点を一定にし、必要なランの距離によって異なるクラブを用いるチッピングは、なおも一般ゴルファーには頼りになるメソッドである。一本のクラブで着実にチッピング出来るようになるには、かなりの練習が必要だ。絶えずセットアップを調節し、正しい距離のキャリーを生むスウィングの長さの感覚を開発しなければならない。数本のクラブを使う場合、セットアップ、ボール位置、スウィングの長さはほぼ同じでよい。

先ず着地点を決める。それは比較的平らな、グリーンまで3フィート(約90センチ)の場所であるべきだ。フリンジ【編註:グリーン外縁の草の長い部分】や斜面には絶対に着地させないこと。ボールは急停止するか、あさっての方にジャンプしてしまう。

次にボールから着地点までと、着地点からカップまでの距離を歩幅で測定する。私のコーチHenri Reis(アンリ・リース)が教えてくれた《キャリー対ラン》の割合は以下の通り」

 キャリー:ラン

サンドウェッジ 2:1
9番アイアン 1:1
7番アイアン 1:2

【編註:当然、グリーンの勾配によって若干の調節が必要になります】

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上は覚え易い簡単な数字の割合だけ選ばれているようで、8番やGW、私の愛用の60°ウェッジの割合などは含まれていません。

 

(June 10, 2018)

転がしの距離調節

 

アメリカのTV中継では、アナウンサーたちがゴルファーのピン近くに寄ったチッピングの成功を"He had a good judgement."(よい判断だった)と評することがしばしばあります。”judgement"という言葉を「距離感」という風に使っているわけです。

私の50ヤード以内の寄せは、ロブ(60°)ウェッジ一本が頼り。距離さえ正確に測定出来れば多少方向のバラツキはあっても、距離だけはぴったりに寄せられます。しかし、ボール近くに木の枝がせり出していたりするとお手上げです。60°ウェッジのボール軌道は相当高いですから。

私の仲間たちは、ロブ・ウェッジを持っていないか、持っていても練習しないせいで、グリーン近くになると転がす人が大半です。中には50〜60ヤードを(たとえバンカー越えでも)パターで転がす者までいて、パターヘッドが過労でシャフトから外れてしまう始末(実話)。

私は転がしは嫌いです。地面のコンディション(凸凹や湿気)に左右され、イレギュラーなバウンドで距離も方向も予測がつかない結果になることが多いからです。私がプレイしている市営ゴルフ場で、私がグリーン近くの林に入れて転がししか手段がないという事態に陥るのは、たった三ホールしかありません。それも、私が真剣に転がし手法を学ぼうとしなかった理由の一つです。しかし、60°ウェッジが使えないと、初心者のようにショートしたりオーヴァーするのが恥ずかしくなって来ました。

で、非常に遅ればせながら(^^;;、バンプ・アンド・ランの練習を始めました。私のショートゲームはピッチング、チッピングもパッティングも、全て打つ強さを一定にしてバックスウィングの長さで距離調節しています。転がしでも同じ方法を使いたいと思いました。しかし、問題の三ホールで実際に試してみると、その手法では弱過ぎ、地形と地面の影響をモロに受けてグリーンまで届かないことが判明。一頓挫。

その後、私は24°ハイブリッドを【註】、手が右太腿の上までバックスウィングだと○ヤード、そこを越えるバックスウィングだとどこそこまで行く…というシミュレーションを脳内で行い、ボールをピンまで到達させるためのバックスウィングの長さを視覚化するようにしました。以前は、最初から全距離を転がす素振りをしていたのですが、多くの場合、ショートしたりオーヴァーしたりで最悪でした。それが、このように全距離を小刻みに分割してスウィング幅を拡大していくことによって、成功率が向上し始めたのです。失敗するにせよ、成功するにせよ、この試行錯誤の結果は脳内のデータベースに残り、次回の役に立つ筈です。

【註】なぜハイブリッドかというと、ソールが幅広いためアイアンのように地面でつっかえる恐れがないからです。スプリング効果によってかなり転がります。私は30ヤード程度なら24°、それ以上なら21°を使っています。

アメリカのTVアナウンサーたちは、困難なライに直面したゴルファーの状況について"He needs a good imagination."(彼に必要なのはよいイマジネーションだ)と云うことがよくあります。高い木を越えるショット、深いラフ、左足下がりのバンカー・ショット等々。こういう状況では打つ前にどんな軌道のボールを打つか、先ずその軌道を脳裏に描き、それを達成するスウィングをしなければなりません。

 

私の転がしも結果を想像し、アイ=ハンド・コーディネーションによる潜在意識の動作に任せるわけで、ここには”judgement"(判断)というものはなく、ひとえにイマジネーションの成果です。

出来るだけ多く転がしを試し、イマジネーションを使って手加減による距離感を身につけないといけません。60°ウェッジによる高い軌道、24°ハイブリッドによる低い軌道という両方の選択肢が獲得出来れば鬼に金棒なのですが…。

(June 10, 2018)

ラウンド前の最終調整

 

'Last-minutes fixes'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' October 1997)

「原則として、ラウンド前の練習場や練習グリーンでの練習は筋肉のウォームアップであり、テクニックを磨く場ではない。目的はリラックスしてプレイに備えることであり、改修工事は日を改めてすべきである。

しかしながら、ウォームアップ以上のことをしなければならない時もないではない。時折、No.1でティー・アップする前に何とかしたい問題点があったりする。そういう場合、テクニック面に取り組む必要もあろうと思うが、一定の制限を設けなくてはならない。

問題を拡大するようなクラブ(例えば、ドライヴァー)を練習場に持ち込まないこと。解決策を見出せる見込みは僅かだし、よりいっそう混迷状態に陥るのがオチである。取り組みたいスウィングの問題点があるなら、最も快適にスウィング出来るクラブを選ぶこと。そうすれば、自信を構築出来るし、問題解決の可能性も増す。

練習グリーンにも同じ原則が当てはまる。ストロークの問題点を解決したいなら、サイドヒルのラインなどを選んではならない。失敗の連続は欲求不満を生むだけである。そうではなく、問題がストローク動作なら60〜90センチの距離を選ぶこと。まずいストロークであっても、この距離ならかなりの成功率が見込める。ストロークの問題点を解決しながら、自信も高められるという目算である」

 

(June 10, 2018)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の超簡単フック防止法

 

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf Digest'誌に四年間連載したアメコミ風カラー・イラスト満載のインストラクション'Jack Nicklaus' Lesson Tee'(ジャック・ニクラスのレッスン・ティー)の総集編より。慢性フック病に悩んでいる方は必読のtipです。スウィングを改造することなく、フックを消滅させることが出来ます。

'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest/Tennis Inc., 1977)

「フック防止法の最後の手段は、クラブのハンドルを太くすることだ。ハンドルが太ければ太いほど、フィンガーではなくパームで握らねばならなくなる。こういう風にグリップすると、インパクトにかけて手首の動きをスローダウンさせ、それゆえインパクト・ゾーンでクラブフェースがクローズになるのを遅らせることが出来る。

ドローを打つには、私はアドレスで少しクラブフェースをクローズにし、足から肩までを若干ターゲットの右に揃え、通常通りスウィングする」

(June 10, 2018)

アライメントは踵で確認せよ

 

インストラクターの世界No.1として長く君臨するButch Harmon(ブッチ・ハーモン)のtip。

'Don't let your feet fool you'
by Butch Harmon with Ed Weathers ('Golf Digest,' October 2000)

「一般的に云って、あなたの両足はターゲット・ラインに平行であるべきだ。多くのゴルファーは、練習の際、クラブを一本横たえてアライメントをチェックする。

しかし、その方法は誤解を生む恐れがある。何故なら好きなように斜めにされた足によって、爪先を結ぶラインが歪められてしまうからだ。

正確なアライメントを知るには、踵にクラブを揃えるべきである」

(June 10, 2018)



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