June 03, 2018

Brooks Koepka(ブルックス・ケプカ)のバンカー・ショット

 

2018年5月下旬のFort Worth(フォートワース)招待、Brooks Koepka(ブルックス・ケプカ)は何度かバンカーからチップインさせる妙技を見せました。TV中継を見ていた私は、彼のフォロースルーで、フェースがもの凄くオープンであることに気づきました。

Youtubeヴィデオで確認したところ、彼は両手がほぼ膝に接するくらい下げています。両手を肩の高さに上げ、90°のコック。そして、フォロースルーは胸の高さ。つまり、バックスウィングは高いが、ダウンスウィングのプレーンは極度に低くなるのです。この低いプレーンがオープン・フェースを保つ秘訣のようです。

彼の使用クラブは不明ですが、完全にピンにスクウェアにアライメントしている(よく云われるように、ピンの左を向いているのではない)ところからして、サンドウェッジ以外、多分、ギャップウェッジかバウンスの少ない60°ウェッジ。

また、ほとんどのチップインがそうであるように、長いランで転がってカップ・インしています。この場合、約10ヤード。このランの量からすると、使用クラブはギャップウェッジかと思われます。チップインは幸運の所産であるとは云え、一つのトーナメントで何度も“サンディ”を出したBrooks Koepkaの技は素晴らしい。

数日後、ケプカ流バンカー・ショットを練習してみました。最近の私は常時60°ウェッジを使っていますので、それでピンに身体を揃えてスウィング。やはり、低くフォローを出すのがコツです。クラブヘッドを低く保とうとすれば、間違ってフェースを返してしまうことが防げ、維持したロフトによって間違いなく脱出出来ます。“点”として砂にクラブを突入させるのではなく、ボールを中心に灰汁を掬うように“面”として砂を掬うので、突入地点もアバウトでいいことになります。

10ヤード前後の短いバンカー・ショットでは、クラブを短く持てば短かめに打てます。その際、バックスウィングの幅は変えず、コックも最大。でないと、加速(=脱出のエネルギー)が生じません。10ヤード以上ではクラブを長く持つ。これで距離調節も可能になります。

 

(June 03, 2018)

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)の長いバンカー・ショット

 

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)による、距離の長いバンカー・ショットへの注意事項。

'How to play the long bunker shot'
by Tiger Woods with Pete McDaniel ('Golf Digest,' September 2000)

「距離のあるエクスプロージョン・ショットの場合、私はややオープン・スタンスで構えるが、クラブフェースはターゲットにスクウェアである。クラブを突入させる地点に焦点を合わせ、僅かな肩の回転を伴ういいリズムのバックスウィングをする。そこから私の想念は、インパクトにかけて加速することだけに絞られる。かなり長いフォロースルーをとる。

短いバンカー・ショットとの違いはスウィングのスピードとフォロースルーの長さだ。長いバンカー・ショットの鍵はクラブヘッドが砂を打つ際にかなりのクラブヘッド・スピードを生み出すことと、加速することの二つだ。

アマチュアが犯す最も一般的なミスは、インパクトで減速することだ。これでは、必要な距離を飛ばすことは不可能である」

次のは、80〜100ヤードのバンカー・ショットについての、インストラクターRick Smith(リック・スミス)の推奨の手法。

'Try my 8-iron specialty shot'
by Rick Smith with Ron Kaspreske ('Golf Digest,' August 2002)

「80〜100ヤードのバンカー・ショットは、ゴルフの中で最も難しいものの一つだろう。理想的には、フル・スウィングをしてボールを高く上げ、ソフトに着地させてランを少なくしたいところだ。

1) 8番アイアンをフィンガーで握る。

2) クラブのヒールがトゥより高くなるように構える。

3) クラブフェースをオープンにし、僅かに左を狙う。

4) 通常より多少伸び上がるように立つ。

5) 砂よりも前にボールを打つ」

 

(June 03, 2018)

湿ったバンカーからのピッチング

 

'Golf Magazine'誌が当時の一流プロたちのtipを集め、素晴らしいイラストとの見開きで編集した素晴らしい本より。U.S.オープン優勝者でPGAツァーほかで計27勝を挙げたプロJohnny Farrell(ジョニィ・ファレル、1901〜1988)のバンカーtip。

'Golf Magazine's Pro Pointers and Stroke Savers'
edited by Charles Price (Harper & Publishers, 1959)

「砂が湿っていたり固い場合には、ボールをクリーンに打てる。砂が乾いていたりさらさらしている時には、このショットを試みるべきではない。この手のショットには8番か9番アイアンを使うべきで、ウェッジはお呼びでない。

・オープン・スタンスをとり、体重はやや左側にかけ、ハンドファーストで構える。
・ボール位置は左踵の正面。
・アドレスで、前腕部(特に右)をリラックスさせるように努める。右前腕はテンションが最も発生し易い場所だからだ。
・バックスウィングでエクスプロージョン・ショットよりさらに多く手首をコックする。
・前腕と手首を用いて、ボールを砂よりも先に打つ。

このショットは、ディヴォットの取り方まで事実上フェアウェイでのチップ・ショットと同じように打ってよい。何を隠そう、メンタル的にはボールの下に草があると考えて正解なのだ」

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60°ウェッジが一般的となった昨今では、もしそのバウンスが少なければ…という条件付きで、湿ったバンカー、固いバンカー、砂の層が薄いバンカー等では、60°ウェッジが最適だと思います。

(June 03, 2018)

Cary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)のバンカー・ショット【難しいライ篇】

 

【おことわり】この記事の筆者Cary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)は、実はバンカー名人ではなかったという話を聞いたので、このtipの公開は最後の最後まで控えていました。しかし、何方かのヒントにはなるかも知れないので、日の目を見せることにします。

メイジャー優勝三回を含むツァー41勝を達成したCary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ、1928〜1998)の「バンカー・ショット基本編」(tips_151.html)に続く、目玉や傾斜地などタフな状況のバンカー克服を目指す上級篇。

'Advanced Golf'
by Cary Middlecoff (Burford Books, 1957, $16.95)

「・目玉

これは易しいショットではない。これから脱出するには、ボールの右方5センチのところにクラブの強打を与えなくてはならない。この一撃の下降する空手チョップの特徴を強調するため、ボールをターゲット・ラインの右踵の前方に置く。クラブヘッドは5〜7センチほど砂に打ち込まれるべきなので、フォロースルーはほぼ期待出来ないが、それでもあなたの力が許す限りフォロースルーをとろうと努力するように。

このショットではバックスピンがかからないので長めのランを見込んでおくこと。

・砂に埋まったボール

 

クラブフェースを少しクローズにする。これは明白に砂に突入する角度を与える。このショットにはフルスウィングが不可欠である。なぜなら、ボールをグリーンに打ち上げるには、あなたの全力か、それに近いパワーが必要だからだ。

このタイプのショットの際、私は目はボールではなくクラブヘッドが砂に突入する箇所を見つめる。

・極端に深く砂に埋まったボール

これにはピッチングウェッジか9番アイアンが効果的である。鋭いリーディングエッジを砂に突入出来るからだ。バウンス【編註:日本方言では「バンス」】が大きいサンドウェッジだと砂で弾かれて跳ね返ってしまう。

[Paula]

・左足上がり

スロープの傾斜に身体を快適に合致させるため、体重を右足に掛ける。ボールはターゲット・ラインの右踵の前方に置く。これだと下降するスウィング弧の最後でクラブヘッドが砂に突入する。スウィング弧がやや上昇を始めた時に砂を打ったとしても、大怪我にはならない。左足上がりのライでは、クラブヘッドがターゲット方向に向かうほど砂の層が厚くなる。だから、平らなライの場合よりボールに近いところにクラブを突入させなくてはならない。

・顎の間近で砂に埋まったボール

クラブを多少アウトサイドに引き、インサイドにボールに戻すとよい。これは通常のショットでスライスやフェードを打つのと同じである。このカットする動きは、クラブヘッドが打ち抜くのを容易にし、ロフトによって顎を越えるのを助けてくれる。

・左足下がり

これは左足上がりの反対の調節をする。体重は主に左足、ボールはターゲット・ラインの右踵の前方に置く。クラブヘッドはボールの右方約2.5センチのところの砂に突入させる。

・非常に短い距離

ボールがグリーンエッジに極めて近く、ピンもバンカーに近い場合、フォロースルーを短くするだけで通常のバンカー・ショットをすればよい。だからといって、これはクラブヘッドを砂に突き刺し、フォロースルー無しでいいと云うわけではない。明確なフォロースルーがあるべきだが、クラブヘッドは1メートルほどボールを通過するべきである。

・バンカーからチップショット

これは時には賢い選択だが、常にある程度の危険が伴う方法でもある。これを遂行出来る条件は、クリーンなライで、ボールを隠すような砂が全く存在しないことだ。そして、前方に高い顎が無いこと。ピンまでボールが転がる余地(9メートル前後)があること。

正しいテクニックは、体重を主に左足にかけ、ボールは通常の(草の上からの)チッピングより右足の近くに位置させる。これを遂行する場合、先ず(砂ではなく)ボールを先に打つことを絶対確実にしなければならない。もし、ボールの右側の砂を打ってしまうと、クラブヘッドは砂に留まってしまいがちになり、結果を台無しにする。ダウンスウィングは、どんなチップショットもそうであるように、下方に打ち抜かれるべきである。これはボールが急速に停止するショットではない。

これは落ち着いた心境と自信のあるスウィングを必要とするショットだ。一抹の不安があればこれは断念し、普通のエクスプロージョン・ショットを行うべきである。

・バンカーからパターで出す

これは時には最も安全なショットである。上のチップ同様、クリーンなライで、スムーズなグリーン方向への上昇気味の傾斜があり、顎が無いことが条件だ。ソリッドにボールの中心を打てば、ボールは90°以下の傾斜なら駆け上がって行く。

あまりにもボールを低く打つと、ボールは出て行かない。ボールの天辺近くを打つと、ボールは砂にめり込み、少し転がるだけに終わる。湿って固い砂、あるいは浅い砂であれば、パッティングはかなり安全である。ソフトで深い砂の場合、パターを使うのは危険だ。

・長いバンカー・ショット

フル・ショットまではいかないが、かなりキャリーが要るというケースは、かなりタフなショットである。正しく遂行されたエクスプロージョン・ショットは30ヤード以下のキャリーでしかない。もっと距離が必要で、ライが芳しくなければ、ボールと砂を同時に取る必要がある。ボールが僅かでも砂に埋まっていると、これは困難極まりない状況だ。この場合の最良のメソッドはクラブフェースをややクローズにし、ボールと砂を同時に捉えることだ。ライがクリーンなら、ボールと先に接触すれば、距離はそこそこ正確に打てる筈だ」

 

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(June 03, 2018)



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