January 14, 2018

クラシック・スウィングとモダン・スウィング

 

「体型別スウィング」の共著者(三人)のうち、インストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)とDr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)の二人が執筆したゴルフ全般の教本から、昔風のスウィングと当世風スウィングの比較。両方をごっちゃにするとまずいと思われます。

'Total Golf'
by Mike Adams & T.J. Tomasi with Kathryn Maloney {Triumph, 2000, $19.95)

[Miller] [Elkington]  
クラシック・スウィング モダン・スウィング
プロの例   Johnny Miller(写真左), John Daly,
   Colin Montgomerie
   Steve Elkington(写真右),
   Paul Azinger,
   Ernie Els, Corey Pavin
ボール位置スタンス前方 スタンス後方
グリップウィーク〜 ニュートラル ストロング〜ニュートラル
腰の後方傾斜/右脚ストレート 水平
腰の動き水平移動、その後回転 ひたすら回転
テイクアウェイワンピース(胸、両手、クラブヘッド等全て) 連続(腕→コック→肩の回転)
バックスウィング高い弧(上方に) フラット(円弧を描く)
右足の位置ターゲットラインに直角 右に開く
手と前腕の動作不可欠 最少限
両脚活発に動く 控え目に動く
リリース投げ出すような動作 身体の回転でリリース
フィニッシュリヴァースC(写真左) 背骨を真っ直ぐにする

 

【原註】いずれのプロも、これら全ての特徴を備えているとは限らない。

 

上に名前が挙げられた全てのプロのスウィングが分析されているのですが(九人のLPGAプロの分析もあるとはいえ、クラシックかモダンかの区分けはされていない)、その中の男子ではCorey Pavin(コリィ・ペイヴン、1.75m、70kg)が最も小兵で日本人の体型に近いので、彼のスウィング分析のみ紹介します。

「Corey Pavinの1995年のU.S.オープン優勝は、彼の競技生活の頂点であった。ロング・ヒッターではないがショット・メイカーとして知られ、パッティングも最高、Ryder Cup(ライダー・カップ)における戦果も傑出している。彼は“ブルドッグ”と渾名されているほどの闘士である。

彼はフィール・プレイヤーであり、どうボールを打つか技術的に考えるのではなく、ボールがどう打たれるべきか運動感覚でコントロールする。そのため、彼のスウィングは時として異常な身体の位置をとることがあるが、騙されてはいけない、結果が示すようにそれは見た目よりも素晴らしいスウィングなのだ。

1) 【ヴィデオの0:20】Corey Pavinは、捻転のための安定した基盤を得るため、両肩の外側に踵を広げたスタンスをとる。彼の両肩はアドレスでほぼ水平(普通とは異なる)。彼の特徴であるフラットな肩の回転の準備として背骨を傾斜させず、リラックスしたポスチャー。グリップエンドと身体との間には、拳+伸ばした親指の幅の充分な空間がある。彼の顎は、左肩の到着を待って誇らしく上げられている。

彼の背骨下部と、ベルト・バックルを指すクラブシャフトとが完璧な90°を形成していることに注目。これが彼の安定したヒッティングの秘密である。

ドライヴァーを打つ時、ドローで飛距離を得るため、彼は右足を下げる。彼はコース・レイアウト次第で自由にボールを曲げられるので、フェードを打つ時にはややオープン・スタンスをとる。

2) 【ヴィデオの0:26】テイクアウェイで、彼の両手はクラブの内側に位置している。両手が腰の高さになり、クラブを引き上げる時点になると、彼はコックする。

3) 【ヴィデオの0:29】クラブがコックされると、初めてクラブヘッドを両手を追い越して高くなる。左腕はスタンスライン(ターゲットライン)の真上で、クラブヘッドは高く彼の背後に廻され、シャフトは彼の上腕二頭筋(力こぶが出来る箇所)に重なっている。

ここで重要なのは、両手がオンラインで、クラブヘッドがラインの後方であることは、彼のフラットな捻転にマッチしたクラブうヘッドへの奥行きを与えているということだ。もし、ここで彼が両手をスタンスラインの内側に引いたら、過度にインサイドであり、クラブヘッドは彼の後方で立ち往生してしまうだろう。

彼の目がボールに据えられたままなので、身体が後方に捻転されるに従い、彼の頭は以前より傾斜している。

4) 【ヴィデオの0:32】トップで、クラブフェースと肩の傾斜角度はマッチしている。また、彼は両膝を柔軟にして腰の水平を維持し、右肘を地面に向けることで左腕はアドレス時のシャフトのプレーンを同一に保っている。

5) 【ヴィデオの0:34】ダウンスウィングの開始で、クラブシャフトが下降する前に、両肘で形成された三角形が傾いで、クラブシャフトをターゲットの左に向かわせる。この動きはシャフトを右の上腕二頭筋に重ね、完璧なオンプレーンの位置を形成する。【参考:「ダウンスウィングの研究」(tips_185.html)】

彼の右踵は、両手がズボンの右ポケットを通過するまで地面から離れず、それがインパクトまでの安定した姿勢を保証する。彼の両手はスタンスラインに戻り、同様にシャフトも(3)の位置に戻る。

6) 【ヴィデオの0:37】リリース時のクラブシャフトは、(2)の鏡像である。シャフトは左の二頭筋に重なっており、彼がプレーンの角度を保っていることを示している」

 

【おことわり】写真はhttps://imagesvc.timeincapp.com/とhttps://waxgolf.files.wordpress.com/にリンクして表示させて頂いています。

(January 14, 2018)

世界はフラットである

 

Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)のこの記事の題名は、フラットなスウィング・プレーンと、地球球体説以前に信じられていた地球平面説をかけた洒落です。

'The world is flat'
by Johnny Miller ('Golf Magazine,' June 2014)

「1980年代、Mike Reid(マイク・リード)は、ドライヴィングの正確度No.1か2を六年間も続けて"Rader"(レーダー)というニックネームがついた。【編註:今ならレーザーでしょうね】1990年代、Fred Funk(フレッド・ファンク)は80%近いフェアウェイ・キープ率を達成した。最近ではZach Johnson(ザック・ジョンスン)がそれに近い。興味深いことに、これら三人に共通するのはフラットなスウィングをするタイプだということだ。

私がプレイした1970年代、スウィングはとてもアップライトだった。スウィングのトップでわれわれは両手を右肩の遥か上に挙げ、フィニッシュで左肩の遥か上に両手を挙げた。あまりにもアップライトなので、われわれは背骨を逆Cの形になるほど曲げなくてはならなかった。私の現役時代、フラットなスウィングをする人は稀であった。現在は誰もがフラットである。2014年のツァーで、1960〜1980年代の私やJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)他のようなスウィングをする人は3〜4人に過ぎない。

Matt Cuchar(マット・クチャー)のスウィングを見てほしい。彼のスウィングはとてもフラットで、両手がほんの僅か肩の上になるフィニッシュをする。このフラットなスウィングは正確さに役立つだけでなく、インパクトで身体の回転速度を増す。何故なら、クラブを上方にリリースする必要がないからだ。それは純粋な回転であり、回転はスピードに等しいからだ。

 

スウィング・プレーンを変えるのはさして複雑なことではない。両手を肩から肩へ(右肩から左肩へ)スウィングすることから始め、インパクトにかけて身体を攻撃的に回転させる。バックスウィングが短く感じるだろうが、週末ゴルファーのほとんどにとってはそれでいいのだ。速いリリースによって短いバックスウィングは帳消しに出来、これまでよりずっとフェアウェイをキープ出来るようになる」

(January 14, 2018)

樵(きこり)型スウィングとの訣別

 

'Free your arms for power'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' July 2007)

「あなたが自分の精一杯のパワーでボールを打っていないと感じるなら、それはあなたがインパクトを過ぎても加速し続ける代わりに、ボールにクラブをゴン!と当てて、そこでストップしてしまうからだ。これは樵(きこり)が木を切り倒す時に斧で幹を刻む動きに酷似している。

樵型で突如減速するスウィングの結果は、通常高い軌道で、弱いフェードがかかり、手が詰まった動き(blocked hand action)をし、クラブヘッド・スピードが遅くなる。あなたのショットにこれらの症状が当てはまるようなら、インパクト・エリアで腕を自由に振る方法を学ぶべきである。

樵型になる原因の一つは、ボールに近過ぎるアドレスだ。両腕をリラックスさせて垂らしてから、クラブを保持している左手と左腿の間に右手を滑り込ませてみる。拳の幅よりやや広いのはOKだが、拳より狭い窮屈な間隔は両腕の自由を妨げるので問題である。

もう一つの原因は、グリップがきつ過ぎるせいだ。あまりにもきついグリップは手首と前腕部の自由を奪ってしまう。アドレスする時に、指先でグリップしているようにリラックスすることが大切」

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「検証・《アドレスで腕・手を前に突き出すな》」(tips_135.html)を紹介した頃、私は手・腕をだらんと下げたアドレスが最良と考えていました。しかし、「Bryson DeChambeau(ブライスン・デシャンボー)のシングル・プレーン」(tips_179.html)に見られるように、クラブ・シャフトと手・腕を一直線にして一つのプレーンでスウィングするのも、シンプルでいいようです。現在の私は、ドライヴァーを打つ時は手・腕を伸ばしています。腕を垂らしていた頃より飛距離は増し、方向性が乱れるということもありません。

 

(January 14, 2018)



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