February 07, 2018
●Tom Watson(トム・ワトスン)のロブ・ショット
下記の本が出版された1983年の二年前、Tom Kite(トム・カイト)は60°(ロブ)ウェッジを使い始め、その一年後からはずっと賞金王だったそうです。当然Tom Watsonは60°ウェッジについて知っていた筈ですが、なぜかこの記事はサンドウェッジによるロブ・ショットです。バンカー・ショットのようなアドレス法がユニークなことと、60°ウェッジにも技術的に参考になる部分があるので紹介することにします。 'Getting Up and Down' 「ボールを高い軌道で短い距離に放つのはシンプルなのだが、誤解され間違った打ち方をされている。これは多くのゴルファーたちから恐れられているショットだ。ライが適切であれば、私は常にサンドウェッジを用いる。うまくプレイするには、グリップ、スタンス、クラブフェースなどを調整し、通常よりクラブのロフトを増やす必要がある。 オープンなクラブフェースとウィーク・グリップによってアドレスしなければならない。先ずクラブを地面に置き、クラブフェースがターゲットの右20°を指すようにする。次いで、グリップをウィークにする。両手を反時計方向に回し、左手の親指をシャフトに沿って真っ直ぐ伸ばす。その時、クラブフェースがなおも20°オープンになっていることを確認せよ。最後に、身体をターゲットの20°左に揃える。これは20°のオープンなクラブフェースを相殺するためである。これで準備完了。 オープンに構えたスタンス・ライン(左右の爪先を結んだ線)に沿ってスウィングする。私の鍵となる想念は《ボールを打つまで左手のナックルが空を向いているように感じる》というものである。その意味するところは、クラブフェースがオープンなままフォロースルーに向かうということだ。ボールは急速に宙に舞い上がり、着地してさほど転がらずに停止する」 プロたちがプレイするような、絨毯みたいなフェアウェイであればサンドウェッジでもいいでしょうが、草が短く地面が固いフェアウェイで盲目的にサンドウェッジを使うのは考えものです。バウンスの少ないサンドウェッジなら問題ありませんが、バンカー用の多めのバウンスを備えたサンドウェッジは、ヘッドを地面で跳ね返ってボールをトップさせる原因となります。サンドウェッジのバウンスを確認することをお勧めします。 |
(February 07, 2018)
●Tom Watson(トム・ワトスン)が バックスピンを嫌う理由(わけ)
下記の本が出版されるまでに、Tom Watsonはthe Masters(マスターズ)に二勝、U.S.オープンに一勝、全英オープンに五勝しています。その彼が「盛大にバックスピンをかけてかけてピンへと転がり戻すテクニックは嫌いだ」と云っているのは驚きです。
'Getting Up and Down'
by Tom Watson with Nick Seitz (Random House, 1983, $14.00)
「TVでトーナメントを見るゴルフ・ファンの多くは、どうやったらキキーッとブレーキがかかったかと思うと、誰かが糸をたぐり寄せているようにボールが戻って来るハーフ・ウェッジのショットが出来るのか訝る。Lee Trevino(リー・トレヴィノ)はこれの名人である。彼はフェアウェイの固いテキサスで育ったので、そういうショットが不可欠だったのだ。
私は個人的には、予測がつかないそういうショットを好まず、推奨もしない。Lee Trevinoは才能があり、そういうショットをやり遂げるに充分な経験を積んでいる。多くの者はそうではない。私はハードパン(裸地)から脱出するために、この手のショットを長期にわたって試みたことがあるが、その時限りである。
バックスピンをかけたければ、ボール位置をスタンス後方とし、短く力強いスウィングでハードにボールをヒットダウンすればよい。バーンっ!あなたがボールを正しく捉えれば、盛大なバックスピンを与えることが出来る。
基本的に、バックスピンはボールをソリッドに打ったことの結果に過ぎない。宙に浮くどんなボールもいくばくかのバックスピンを得ている(フライヤーはバックスピンが少なく、放物線を描くように飛ぶ)。こういう答えは人々を満足させない。だから私は付け加える。スタンスを二つに分けた後方にボールを置けばさらにバックスピンをかけるチャンスがあると(ボールは加えられた前方への勢いによって低く出るだろうが)。
余分のバックスピンを加えようと何度も試みたものの、望んだ結果は得られなかった。その理由は僅かなミス・ヒットや、クラブフェースとボールの間に挟まった草によるもので、それらがバックスピンの幾分かを抹殺し、私が打ったボールは急停止せずピンを大幅に越えてしまった。ボギー(;_;)」
【おことわり】画像はhttp://3.bp.blogspot.com/にリンクして表示させて頂いています。
(February 07, 2018)
●ロブとフロップの違い
私はロブ・ショットもフロップ・ショットも同じだと思っていました。違うんですね。
'Flop or lob' 「・ロブとフロップ、TPOの違い テクニックは似通っているが、それぞれを必要とする状況とショットの結果がかなり異なるものなのだ。 ロブはほとんど真っ直ぐに空中に舞い上がり、着地後直ちに停止する。典型的な例としては、ボールとピンの間にバンカーがあり、カップはバンカーの近くに切られているという場合に用いられる。ボールの軌道がほぼ垂直というだけでなく、ボールを急停止させるバックスピンを生み出す。 フロップはグリーンサイドのラフで、普通のチップ・ショットには遠過ぎ、ピッチ・ショットには近過ぎるという場合に用いられる。これはボールを空中に上げ(ロブほど高くはない)、グリーンにソフトに着地し、カップまでゆっくり転がる。何故かというと、長い草がクラブフェースとボールの間に挟まるので、バックスピンは最小限となるからだ。 ・テクニックの違い どちらも、サンド・ウェッジやロブ・ウェッジを使い、オープン・スタンス、オープンフェースにするのは同じだが、共通点はそこまでである。 ロブは、高い軌道を生むためにクラブフェースでボールの下を滑らせられるふかふかのライを必要とする。長く、ゆっくりのバックスウィングをし、フル・フィニッシュを目指してスウィングする。フェースをオープンにし、ハードにスウィングすればするほどボールは高く上がる(極端な場合、ボールは垂直に近く上がる)。 フロップではそういう自由なスウィングは出来ない。濃いラフに対処するには、ディセンディング・ブローが必要だからだ。テイクアウェイの初期にコックし、3/4のバックスウィングをし、ソフトな両腕でクラブをボールに向かって落下させるため、のったりしたダウンスウィングをする。濃い草の抵抗と下降するスウィング軌道が、フォーロースルーを短くする。ボールは宙に浮き、ソフトに着地し、カップへと転がる」 |
(February 07, 2018)
●手首を使わないフロップ・ショット
若干25歳で'Golf Digest'誌の"Best young teachers"の一人に選ばれたMatt Killen(マット・キラン)の「手首を返さないロブ・ショット」。彼自身が“新型”と称しているように、これまで紹介したロブ・ショットと多少違います。 'The flop without the flip' 「完璧なフロップ・ショットを成功させた後、同じショットを完全にドジることほど腹の立つことはない。そういうムラを生じさせないためには、手首の動きを制限したフロップ・ショットを遂行すべきである。これまで教えられて来たフロップ・ショットは、あまりにも手首を多用し過ぎるから失敗し易いのだ。 60°か64°のウェッジを使う。 バックスウィングで手首をコックしたら、頭を静止させたまま身体の回転で振り抜く。これだと、クラブヘッドはボールの下の地面を滑るので、地面を掘ることはない。高く上がって軟着陸する、ムラのないショットが出来るようになる。 ピッチ・ショットの小型版として練習を始め、次第にこの新型フロップに移ることを奨める。公式:《両手を下げれば下げるほど、ボールは高く上がる》」 なぜ「頭を静止させるか」ですが、Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)が次のように云っています。 「【ロブ・ショットを遂行する場合】体重を中央に保つこと。もし、インパクト前後で(普通のピッチ・ショットのように)身体を左に移動させると、クラブフェースのロフトを減らしてしまい、ボール軌道の高度が失われてしまう」 【参考】「Annika Sorenstamのロブ・ウェッジの使い方」(tips_120.html) |
(February 07, 2018)
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