February 04, 2018

スコアリングのための二つのグリップ

 

以前、「二つのグリップを使い分ける」(tips_179.html)という記事を紹介しました。「グリーンまで100ヤード以内となったら、ウィーク・グリップにせよ」という趣旨でした。今回の記事は「150ヤード以内では、二つのグリップを使い分けよ」というもの。

'Scoring Zone grips' by Martin Hall,
a part of 'The Scoring Zone'
edited by Steve Hosid (PGA Tour Partners Club, 2000)

この本はPGA Tour Partners Clubという団体が会員のために出版した本で、定価は表示されていません。この本の題名となっている"scoring zone"(スコアリング・ゾーン)というのは、グリーンから150ヤード以内のことを指し、ミドル・アイアンからロブ・ウェッジまでの使い方のコツが説明されています。執筆者はツァー・プロであるTom Lehman(トム・レーマン)、Bruce Fleisher(ブルース・フライシャー)、Billy Mayfair(ビリィ・メイフェアー)、Mark McCumber(マーク・マカンバー)の四人。そして、インストラクターとしてMartin Hall(マーティン・ホール)が加わっています。以下の記事の筆者Martin Hallは、the Golf Channel(ゴルフ・チャネル)の'School of Golf"(ゴルフの学校)の先生兼小使い。

「最良のオールラウンドのゴルファーたちは二種類のグリップを用いている。彼らは直観的にグリップを替えているのかも知れないが、替えているのは間違いない。以下のように考えるとよい。

・ストロング・グリップ

フル・スウィングをする時は、ドライヴァーを打つのと同じグリップをする。左右の親指と人差し指の間にそれぞれティーを挟むと、時計の文字盤に見立てた場合、どちらのティーも一時を差す。両手の股で形成される"V"の字は、どちらも《顎と右肩の間》を差す。このストロング・グリップは、インパクトで僅かにクラブフェースをクローズにする動きでフェースをスクウェアにしてくれるため、フル・スウィングの状況に最適なのだ。

・フィネス・グリップ

【編註】"finesse"(フィネス)とは、「技巧的/巧妙に処理する)」という意味。

 

フル・スウィングでなく、3/4とか1/2のなどの部分的スウィングをしなければならない時は、グリップをウィーク目にする。左右の親指と人差し指の間に挟んだティーは、どちらもクラブシャフトの真上に近くなる。これをしばらく練習し、両方のティーが11時〜12時半の間に位置に納まるようにせよ。このフィネス・グリップは、理想的なスライス・スピンを生んでボールを急速に停止させるので、部分的スウィングをする状況に最適である」

(February 04, 2018)

緩いグリップが原因の手打ちを防ぐ

 

インストラクターPhil Ritson(フィル・リットスン)によるtip。

'Better by Saturday: Iron Play/ Long Game'
edited by Dave Allen (Time4 Media, Inc., 2004, $15.00)

「多くのゴルファーが、バックスウィングのトップで右手のハンドルを実質的に放してしまう。そしてそのミスに気づいてリグリップ(握り直し)をし、身体からクラブを放してしまい、ボールとのお粗末なコンタクトをする。

この手打ちに繋がる動きを防ぎ、しっかりしたグリップを維持するには、左手の親指を右の掌の生命線で締め付けることだ。これをチェックするには次のようにする。グリップする際、先ず左の親指の先の1/4で握り、それをいつものように右掌で包み、トップまでバックスウィングし、停止する。グリップを変更せず、首を廻して両手をチェックする。左の親指の1/4がそのままであれば、しっかりした生命線のプレッシャーを維持していることになる。そうでなければ、この生命線による締めつけを練習すること」

 

[icon]

しかし、きつ目のグリップが常にいいとも限りません。私がウェッジのフルスウィングの練習をしていて、三回連続でシャンクしたことがあります。グリップを緩めにして打ったらちゃんと飛びました。きついグリップでも手打ち(これがシャンクの原因)になることがあるわけで、要注意です。

(February 04, 2018)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のグリップ圧

'Get a smooth start'
by Jack Nicklaus with Roger Schiffman ('Golf Digest,' September 2013)

「私の手はスウィングする役を務める以前だというのに、ほとんど感じられないものの極めて重要な動きを見せる。それは私がまさにバックスウィングを始める前に、グリップを全体に押すアクションである。それには三つの目的がある。

1) それは正しいグリップ圧を確立する。
2) それは身体の全ての筋肉に『さあ仕事する時だぞ!』と準備指令を発する。
3) それは手・手首・腕・肩が同期したワンピース・テイクアウェイの動きを助けてくれる。

私が本当にいいプレイをしていた頃、アドレス時の私のグリップは緩かった。だが、まさにバックスウィングを開始する前、私はそれをしっかりさせた。私はそれを『クラブに圧をかける』と呼んでいた。

その時点から私は、一定のグリップ圧を維持するように専念した。スウィングの間(特にバックスウィングの開始とダウンスウィング)にグリップ圧が増すのは最悪のことだ。それはクラブをひったくるようなバックスウィング、あるいはトップから急激に引くダウンスウィングの原因となる。また、あまりにもきついグリップは正しいリリースを妨げ、飛距離と方向性に影響する。

あなたのグリップがTom Watson(トム・ワトスン)のようにかなりきつかろうと、Fred Couples(フレッド・カプルズ)のようにとてもソフトであろうと問題ではない。だが、クラブを引き始める前に少しだけグリップ圧をしっかりさせ、それを不変のものとすべきだ。そうすれば、スムーズなスウィングをし、ボールを長く真っ直ぐ飛ばすチャンスが増える筈だ」

 

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf Digest'誌に四年間連載したアメコミ風カラー・イラスト満載のインストラクション'Jack Nicklaus' Lesson Tee'(ジャック・ニクラスのレッスン・ティー)の総集編より。

'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest/Tennis Inc., 1977)

「グリップを緩めずに確実にスウィングし、同時にトップから打ちに行くことを防ぐ方法は、親指と掌をチェックすることだ。スウィングの間、左親指が右掌にすっぽり納まっているかどうか点検せよ。この結合を維持出来るなら、両手は一体となって働かざるを得なくなるのだ」

(February 04, 2018)

テンション下でグリップ圧を軽く保つ法

 

David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)による緊張回避の裏技。シャンク防止にも役立つ。

'How to keep your grip pressure light'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' March 1997)

「これはドリルとして、あるいはグリーン周りでのデリケートなショットとして効果的だが、Ben Hogan(ベン・ホーガン)はトーナメントで極度にプレッシャーを感じる際のティー・ショットで用いていた。

グリップエンドから左手の小指がはみ出るまで、手をずらす。一本の指を外すことが直ちにグリップ圧を軽くする。なぜなら、緊張は左手の最後の三本指からスタートするからだ。

同じグリップ圧を維持し、クラブにスウィングさせよ。クラブを乱暴に引ったくるようなテイクアウェイでなく、クラブの重みを感じられるようになる筈だ」

[icon2]

試してみましたが、たった一本外すだけなのに飛距離が落ちます。五本で握った時はアプローチ・ショットが乗ったのに、四本だとガード・バンカーに落下…という現象が起きます。たかが小指と馬鹿に出来ません。つまり、指を外すなら、クラブ選択も変わらざるを得ない…ということです。ドライヴァーならいいでしょうけど。

 

(February 04, 2018)



[Anim

 Copyright © 1998−2018   Eiji Takano    高野英二
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.