August 01, 2018

長いパットにはライトハンド・ロー

 

ここ数十年、私はどんな距離でもレフトハンド・ローでパットして来ましたが、長い距離を寄せる技術がいまいちでした。無力なレフトハンド・ローで長いパットをするのは少し不自然で、遠くへ転がすためにパターを持ち上げたりしなければならなかったからです。

その昔、新しいテクニックとしてレフトハンド・ローが注目を集めて始めた頃、LPGAのJuli inkster(ジュリ・インクスター)は短いパットだけレフトハンド・ロー、長いパットはライトハンド・ロー…と使い分けていました。

で、10メートルのパットを二つのグリップで比較してみました。ライトハンド・ローだと多くがギミーの距離に寄るのに反し、レフトハンド・ローは1メートルもショートすることが多いという結果でした。やはり、長いパットにレフトハンド・ローは向いていないようです。

実際のラウンドで試してみました。この作戦は正しい。特に、グリーンの外の長い草の上からカップまで転がす際などは、これに限ります。この方式を思いついてすぐ、あるホールでグリーン外1メートルからチップインでバーディを得ました。左手主導のストロークだったら、カップのかなり手前で息絶えていたところです。

 

(Aug 01, 2018)

あるパー3での作戦の勝利

 

No.12(105ヤード)パー3は、距離は短いものの、誰もが攻めあぐねる難物ホール。やや上りのレイアウトである上に、グリーンの手前は全面完璧にバンカーでガードされているので、距離より長めに打つ必要があります。ショート気味のボールはバンカーで一網打尽。かといって、距離ぴったりに打つと、砲台グリーンなので、オンしたボールは奥のラフへ転げ出てしまいます。

私は8番アイアン〜6番アイアンまでを使って、色んな打法でテストしました。距離的には、7番アイアンのスウィングがぴったり。問題はそれをどうやって停止させるか?1クラブ増やしてフェードをかければ、少ないランで止まってくれるのではないか?しかし、フェードがかかるよりもシャンクを多発する結果となり、この試みは頓挫しました。

ふと浮かんだのが木越えのショットの応用。ボール位置をスタンスのやや左側とし、右足体重で高あ〜く上げる。他のホールの木越えのショットで成功しているのですから、このNo.12に木はなくとも同じ効果が出せる筈。

で、ある日、ボール位置をスタンス前方とし、アイアンを打つには邪道ですが普通より高くティーアップし、7番アイアンをフルに握ってスウィング。ボールは高めの軌道でまっしぐらにピン方向に。しかし、止まってくれたかどうかは勾配のせいで見えません。恐る恐るグリーンに近寄ると、ボールはカップを1.5メートル過ぎたところで停止していました。作戦成功、万歳。

そのパットを沈めてバーディ。このホールでのバーディは棚ぼたみたいなものです。'Golf is a thinking man's game'(ゴルフは考える人のゲームである)という言葉がありますが、今回の私はその正しさを実感しました。

 

(August 01, 2018)

XE1 Wedge(エクシーワン・ウェッジ)

最近のある日、私の親しいJack Rushing(ジャック・ラッシング、89歳)が、「エイジ、このウェッジを使ってみないか?」と一本のクラブを差し出しました。それはThe Golf Channel(ゴルフ・チャネル)のCMでしょっちゅうお目にかかる製品XE1(エクシーワン)の59°ウェッジでした。

このウェッジの謳い文句は「バンカーで、フェースをオープンにし、オープンにしたスタンス・ラインにそってクラブを振り、ボール後方3センチにヘッドを叩き込め…などという複雑なメソッドとはおさらば。このウェッジならピンを真っ直ぐ狙って、ただ振るだけ。練習も不要」というもの。

私にとってのウェッジの用途はバンカー専門ではなく、ピッチングとチッピングにも欠かせない武器であり、事実上私のショート・ゲームにとってのExcalibur(アーサー王の魔法の剣)に近いものなのです。それは現在はTitleist Vokey製の60°ウェッジであり、これを他のウェッジに替えることなど考えられません。しかし、新しいものを試してみるにやぶさかではありません。

私は近くのNo.18グリーンに赴き、10〜15ヤードのチッピングを数個のボールで試みました。何と、ランが少なく、全部ぴったりピン傍に寄るではありませんか。続いて、バンカー・ショット。No.18のバンカーは砂の層が薄く、バウンスが多いウェッジでは固い地面で弾かれてボールの赤道を打ってしまい、盛大なホームランになるのが定番なのです。ですから、私はバウンス角の少ないVokeyの60°を使っています。ところが、このウェッジでも数個のボールは危なげなくピン傍に寄ってしまったではありませんか。

[XE1 wedge]

試打を終えた私は、$50ドル以下なら買ってもいいか…と思いながら、あまり欲しそうな表情を見せないようにし(^^;;、単に「いくらなの?」と尋ねました。意外や意外、Jackは「気に入ったら、あんたのもんだ」とだけ云いました。驚いた私は、素直に感謝しつつ、有り難くそのウェッジを頂きました。多分、Jackは65°ウェッジを購入し、この59°をおまけとしてタダで手に入れたので、全然惜しくはないのでしょう(そういう宣伝を見たことがあるのです)。

御覧下さい。写真は全てリーディング・エッジを下方に向けた状態で、左からTitleist Vokey製の60°ウェッジ、真ん中がXE1製の59°ウェッジ、右がFeel製56°サンド・ウェッジ。XE1の凄いデザインがお判り頂けるでしょう。バウンス角は7°ぐらいらしいですが(大して多くない)、フランジをベラボーに長くして、絶対に砂に潜り込まないようにしているわけです(中は空洞)。識者に云わせると、これに似たデザインは過去にもあったとか。私にはこれは、チッパーと呼ばれるチッピング専用クラブやハイブリッドなどの幅広いソールを想起させます。

私は雨の後のゴルフが嫌いですが、その理由の一つはドライヴァーのランが減って面白くないことと、二つ目は60°ウェッジが湿った地面でザックリとなり、チョロを多発するせいです。このXE1の幅広いソールはザックリを防いでくれ、私のゴルフを全天候型にしてくれそうでした。もし、現在の60°ウェッジと同じ働きをしてくれるなら、このザックリ予防ソールの方がいいかも知れません。

で、夜半に雨が降った翌日、XE1の59°ウェッジがTitleist Vokeyの60°ウェッジに置き換えられるものかどうか、テストしてみました。

1°のロフトの違いがどう出るか心配でしたが、それは問題ではありませんでした。60°ウェッジより飛び過ぎるというほどではなかったからです。問題は、60°ウェッジよりも寄るということもなかったことです。肝心のバンカー・ショットもホームランは出るし、ピン傍に寄るということもなく、がっかり。幅広ソールの内側の空洞に、千切れた草がやたら入り込んで掃除しにくいのも気に入りません。その幅広ソールのお蔭で、ザックリが一度も出なかったのは評価出来ますが。

では、最初に試打した時の素晴らしさは一体何だったのか?私はXE1が戯曲『欲望と云う名の電車』の女主人公ブランシュのように、私に媚を売ったのだと思います。「あたしって凄いのよ?ね、あたしを買って?」XE1はあの時、精一杯魅力を振り撒いて見せたのです。「嘘だろう!」って?嘘ではありません。新しいドライヴァーを注文すると、主人が浮気して自分を捨てることを知った以前のドライヴァーは、鬱病になって全然飛ばなくなりますからね。

私はXE159°ウェッジをJackに返却しました。

(August 01, 2018)



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