April 08, 2018

ティーアップの研究

現在の私は8.3センチのティーを地面でやっと立つ程度に浅く刺し、かなり高いティーアップでドライヴァーを打っています。ドライヴァーのヘッドは、そのボールの後方数十センチ(15〜20センチ)で構えます。ボールを見ないでヘッドの直前(写真の青い)を見つめながらスウィングします。これですと、ホットスポットと呼ばれるフェース上部で、高い軌道のボールを打て、距離が稼げます。

[tee up]

ティーアップの高さを一定したいところですが、ティー・グラウンドの固さ、傾斜、草の高さ…等に影響され、常に同じ高さには出来ません。ということは、ボールとクラブヘッドの距離も変わらざるを得ない…ということになります。スウィングは一定ですから(写真の赤い弧)、正しくボールの真ん中を打つためにはティーが高ければクラブヘッドをボールから遠ざけ、低ければボールに近づけなくてはなりません。

「フェアウェイウッドのボール位置」(03/11)で「程度の差こそあれ、スウィングというものは、常に左脇の下が最低点となる」という説を紹介しました。これを応用すると、私のスタンスの場合、左踵の正面が左脇の正面となるので、そこをボール位置にすべきということになります。そのボールの20センチ後方でドライヴァーを構える際、二つの選択肢があります。
a) そのまま真っ直ぐ(フェースはターゲットラインにスクウェアのまま)20センチ下げる。
b) 「先行捻転で飛ばす」(tips_161.html)のように、アドレス完了前に両膝・腰・肩をクラブヘッドがボールの後方になるまで廻す。この場合、クラブフェースは僅かにオープンに見えるが、スウィング軌道に対してはスクウェアなので問題ありません。【注意:手・腕の独立した動きでヘッドを動かすのではなく、身体の捻転によって後方に動かすこと】

a)の場合、否応無く両手は臍の正面になり、これはBen Hogan(ベン・ホーガン)風のアドレスです。私は入門時からJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)やMr. X(ミスターX)推奨の「逆Kのアドレス」(「Mr. X(ミスターX)のゴルフ」[tips_167.html])をしていますので、これにはちょっと抵抗があります。

b)を、身体の捻転抜きで、単に手・腕だけ動かしてオープン・フェースにすると、盛大なプッシュになります。これは先行捻転ではなく、「クラブフェースをオープンにしたアドレス」に過ぎません。

二つを比較テストしてみました。練習場で練習ボールを使ったテストではなく、コースで本番用ボールを用いたテストです。bの先行捻転では、クラブヘッドは20センチどころか自然に40センチ近くボール後方にすることが適切になりました。何百発も打ったテストではないので信頼性には欠けるでしょうが、先行捻転の最良のショットはBon Hogan方式より15ヤード遠くへ飛びました(平均でも優っています)。しかもこれは、これまで私が深く考えずに、ボールから20センチ離してスウィングしていた時より、20〜30ヤード遠くへ飛んでいます。先行捻転の御利益が証明されたと云っていいでしょう。

私のこのティーアップ・メソッドでの最重要事項は、スウィングの間中、実際のボールを見てはいけないということです。その数十センチ後ろのヘッド前の地点(写真の青い)を見つめながらスウィングしなくてはなりません。これは「アイ=ハンド・コーディネーション」(目と手・腕の協調作業)を逆手にとって、を仮想のボールとしてその地点をスウィング弧の最低点とします。その後の上昇軌道で真のボールを捉え、バックスピンを抑え、可能な限りのキャリーを稼ぐことを無理なく実行出来るという巧妙な作戦です。自然に上昇軌道で打てるので、下降気味の軌道が生む醜悪なポップアップを根絶させます。

ボールを見て打ってしまうと、そこがスウィング弧の最低点となってしまうため、高いボール軌道は得られなくなります。それだけでなく、ポップアップの危険や、盛大なプルを招く恐れがあります。

(April 08, 2018)

Annika(アニカ)式トップの作り方

 

'Stay on top of your game'
by Annika Sorenstam with Stina Steinberg ('Golf Digest,' May 2010)

「競技生活から引退し、結婚し、赤ちゃんが出来、おしめも替えなければならないし、私のゴルフ・スクールの理事会にも出なくてはならない。で、多忙な中で場所を選ばずに可能な、腕を錆び付かせないためのドリルを考案した。

私は絶えず鏡を使ってスウィングをチェックする。バックスウィングのトップが正しいと感じられない時、次の四つのステップのドリルを用いる。

1) アイアンを手に通常のアドレス体勢を取る。

2) クラブを持ち上げ、右肩の上にクラブを乗せる。

3) クラブを肩に乗せたまま、いつものスウィングのように身体を廻す。

4) その位置から、身体から腕を離して伸ばす。

これが私のスウィングのトップのあるべき位置である。私はこのポジションが身につくまで何度も何度も繰り返す」

 

(April 08, 2018)

打つのでなく、スウィングせよ

ある土曜日、私がゴル友のJim(ジム)とラウンドしていた時のこと。われわれがNo. 9のティーで打とうとしていると、後続のジュニア・ゴルファーの群れから背の高い一人の少年(15歳ぐらい)がカートを突っ走らせてやって来ました。
「サー?打ち込んで済みませんでした。いつもあんなに飛ばないのに、急に飛んでしまったんです」と少年。No. 8でロング・ドライヴを放ったのでしょう。
「ノー・プロブレム」とJim。実際には、われわれは打ち込まれたというボールに気づきませんでした。
「いつもは精一杯引っぱたくんですが、ゆっくりスウィングしたらとてつもなく飛んでしまって。やっと、どう打てばいいのか解りました」少年は、詫びに来たのか自慢しに来たのか分からないような感じで興奮しています。
「あ、アドヴァイスが一つある」去ろうとする少年に私が声を掛けました。「その発見を、家に帰ったらすぐ書いとくこと。人間は忘れっぽいからね」
「そうします。ありがとう!」少年が云って、仲間の方に戻って行きました。

私の別なゴル友Mike(マイク)のティー・ショット前の口癖(独り言)は、"Don't hit. Make a swing."(打つんじゃない。スウィングしろ)というものです。スポーツ心理学者の説によれば、脳は否定形の指令を理解出来ないそうです。たとえば「池を見るな」と自分に語りかけても、「見るな」という否定形の文句は脳に理解されず、「池」という言葉だけが脳に伝わるので、脳は「御主人はボールを池に入れたがっているらしい」と解釈するのだそうです。そういう観点ではMikeの"Don't hit"(打つな)は役に立ちません。しかし、"Make a swing."は役に立ちます。

"hit"(打つ)はボールをターゲットにした動作です。野球ならバントのように当てに行く動き。"swing"は振り抜く動作で、ボールはターゲットではなく、たまたまスウィング軌道に存在した邪魔者に過ぎないという感じ。次の例はパッティングに関してですが、いかにわれわれがボールに囚われるか、当てようとしがちになるかがよく解ります。

'Extraordinary Putting'
by Fred Shoemaker with Jo Hardy (G.P. Putnam's Sons, 2006, $21.95)

インストラクターFred Shoemaker(フレッド・シューメイカー)は、彼のゴルフ・スクールで面白い実験をしました。一人の生徒に練習グリーンでパターを持ってアドレスさせる。その前に篭一杯のボールを用意したパートナーがしゃがむ。パットする人は延々と振り子の動作をし、それが安定したリズミカルなストロークになったと実感出来たら、前にいるパートナーに「OK」と合図する。パートナーはパットする人の前にボールを置いたり、置くように見せかけて直前に取り去ったりして、いつ本当にボールを置くのか見当がつかないようにする。安定した自由で自然なストローク(振り子運動)をしていた筈の人が、ボールが置かれると(置かれたと思うと)、95%の割合でストロークを変えてしまう。多くの場合、ボールがあると概ね動きがスローダウンし、急停止するような気配が窺え、ジャブ(突く)風の動作となり、ボールが突如取り除かれた場合もぎくしゃくした動きになったり、軌道が変わってしまった。

 

【参考】「パッティングを妨害するもの」(tips_131.html)

(April 08, 2018)



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