October 15, 2017

George Knudson(ジョージ・ヌードスン)のナチュラル・スウィング

 

筆者George Knudson(ジョージ・ヌードスン、1937〜1989)は、生涯に28勝を挙げたカナダのプロ。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は、George Knudsonを「"a million-dollar swing"(100万ドルのスウィング)の持ち主」と評したそうです。

彼がこの本を執筆し始めた直後、肺癌を患っていることが判明。診断は芳しくありませんでした。彼は共著者(ゴルフ・ライター)に「懸命に執筆しよう。この本を完成させなきゃ」と云いました。幸い、ハードカヴァーの初版は彼の存命中に出版され、感謝の手紙がいくつも舞い込み、病床の彼を喜ばせました。一年後、George Knudsonは亡くなりました。

[Knudson]

'The Natural Golf Swing'
by George Knudson with Lorne Rubenstein (McClelland & Stewaet Ltd., 1988, $18.99)

George Knudsonは、自分のメソッドを'Natural swing"(ナチュラル・スウィング)と呼んでいます。同じカナダのプロMoe Norman(モゥ・ノーマン)のスウィングをモデルにした"Natural Golf©"(ナチュラル・ゴルフ)と混同しないで下さい。両者は全く別物です。

なぜ、ナチュラル(自然な)・スウィングなのか?彼は遠心力と慣性を利用すれば、自然に逆らわないスウィングが出来ると主張します。そして、正しいアドレスと正しいフィニッシュを作れば、その中間も自然に正しくなる…と。スウィングの基本は足・膝による体重移動であり、手・腕(およびクラブ)はその体重移動に追随して動くだけで、意図的に動かすべきものではない…と断言します。非常にシンプルで、「なるほど、自分にも出来そう!」と思わされます。

彼は練習の虫で、少年の頃から練習場でボールを打つことに熱中していました。当時、彼のターゲットはボールでした。"eye-hand coordination"(アイ=ハンド・コーディネーション、目と腕の協調作業)によって、「ボールを打つ」ことに専念していたのです。しかし理想的なショットとは程遠く途方に暮れます。ふと彼は、遠くのクラブハウス前の柱に掲揚されているカナダ国旗を目にします。その時、彼の心に変化が起き、「ターゲットはボールじゃない!国旗をターゲットにしよう!」こうして、ボールはクラブヘッド軌道の途中にあるものに過ぎなくなり、ターゲットに向かって振り抜くことが重要であることを悟ります。

彼は地元の上級アマやレッスン・プロのスウィングを真似しましたが、カナダ・オープンなどでプレイするアメリカのツァー・プロのスウィングも研究しました。特にBen Hogan(ベン・ホーガン)が彼のアイドルとなり、彼は国境を越えてアメリカのトーナメントにBen Hoganを追っ掛け、そのアドレス、ポスチャーやスウィングを模倣します。地元の人々は「まるでBen Hoganそっくり!」と彼のスウィングを褒めそやしましたが、彼は自分のショットが完璧でないことが不満で、さらに研究を重ねます。

George Knudsonはゴルフを生活の糧にすることを決意し、1954年にカナダ・ジュニア・アマ優勝を期に高校を中退、地元プロのキャディを務め、その後アシスタント・プロとなります。彼はついにプロとしてアメリカ、カナダのツァーに参加するようになりますが、彼のスウィング研究に終わりはありませんでした。以下は彼の言葉の数々。

「バランスはスウィングの基本の根底である。バランスを崩せば、コントロールとパワーを失う。バランスこそ、私が提唱するナチュラル・スウィングのナンバー・ワンの鍵だ。私はスウィングの最中に一切の無理をしない方法を探し求めたい。左腕を真っ直ぐ伸ばすとか、頭を固定するとか【註】、きついグリップをしたり、ボールに屈み込むとか…これらの無理はどれもバランスを破壊する。バランスのよいゴルファーは、全てを自然に行い、何かを懸命に行おうとしたりしない。バランスのよいゴルファーを観察すると、緊張ではなく自由さが、努力ではなくスムーズさが見てとれる。

【原註】『頭を動かすな』は間違いだ。頭は身体の動きにつれて動くのが自然である。

 

偉大なインストラクターの一人Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)に教えを乞うたら、彼から『お若いの。ゴルフで食べて行くつもりなら、脚を使うことを学ばにゃ駄目だよ』と云われた。それ以前、私は(多くの人々同様)ゴルファーの手の動きしか目に入らなかった。それはお粗末な観察眼に由来する間違いに過ぎなかったのだ。手は不随意のアクションをすべきものであり、スウィングの結果として正しい形で動く。手・腕を動かすのは両脚であり、手・腕は脚の動きに只乗りするだけなのだ。手・腕(およびクラブヘッド)を動かす手段は体重移動である。スウィング動作の間、意識的に両手・手首・腕を動かしてはいけない。それらは単に身体の中心に対し相似形で伸ばされ、身体の動きに従って動くだけに過ぎない。そして、身体を動かすのは足の動きである。

遠心力は100 mph(44.7 m/s)以上のクラブヘッド・スピードを生み出すことが出来、プレイヤーにとてつもないエネルギーの感覚を与える。さらに、スウィング弧が大きければ大きいほどより多くのパワーが生成され、究極的にボールは遥かな距離を旅することになる。遠心力は腕が関節から抜けるような感覚を生む。遠心力がスウィングのパワー生成を管理する要素なら、慣性は安定性の生成を管理する要素である。

■アドレス

アドレスで左足は(ゴルファーの身体の柔軟性にもよるが)少なくとも25°オープンにすべきだ。何故なら、われわれはフィニッシュで左足に100%の体重を乗せて立つべきであり、そのための準備をしておくべきなのだ。オープンにした左足は膝・腰・肩をもオープンにする。

アドレスで右手は左手より下に位置するべきだ。【編註:逆だとスライスを生じる】しかし、両手は自然に垂れ下がるべきであり、無理に右肘を身体にくっつけたりしないように。

■エネルギー充填

私はスウィングをバックスウィングとダウンスウィングに分けるのを好まない。それらはそもそも区切りのない連続した動作であるし、実際には上半身が捻転を終える前に下半身はターゲットに向かっているので、これを二つに分けることなど出来ない。バックスウィングという言葉は、クラブをある位置まで引き上げることだけを意味する。私は"loading"(充填、積み上げ)、"unloading"(放出)と呼ぶのを好む。「充填」はエネルギーと確たる意志とを暗示する。それは何か起りそうな、何か活き活きしたものとエネルギーとが感じられるではないか。

「充填」の目的は持てるエネルギーを掻き集めることである。それは急いで行う必要はなく、リラックスして遂行されるべきだ。体重を移動することでエネルギーを蓄積する。フットワークはスウィング動作を開始する随意的なアクションである。だから、あなたの両足にメッセージを伝えるべきだ。充填の動きは、体重を右足に向かわせることである。バランスを管理しつつ、両手は積極的には動かさず、左腕は自然に伸びる。両手が大人しくしている間、右肘は途中で畳まれる。これらは体重移動への不随意的な(=自動的な)反応である。

体重移動によってクラブが動く結果として、手首がコックする。これもまた自動的なアクションであり、充填作業の完了間際にコックされるのだ。バランスを失うようなコックをしてはならない。

充填作業における随意的アクションとして学ぶべきは、体重移動と捻転のみである。これらは、あなたが主導しなければならない。不随意的(あるいは自動的)アクションは、右肘を折ることと左腕を伸ばすことである。

■エネルギー放出

説明のためにスウィングを前半と後半に区分するものの、この部分は充填動作完了前に始まる動作である。

フィニッシュの体勢へと向かって体重移動する意志が、連続した動作を生む。左足が先ずフィニッシュの位置につく。それに左膝・腰・肩・腕・手、最後にクラブヘッドが続く。体重の100%を左に移すので、それらは全て自然に最終位置に達する。

 

『ダウンスウィングの開始で、腰を水平に動かせ』というインストラクションがあるが、これは大多数のゴルファーには難しい。右に移動させた体重を左に移せば、いとも簡単に腰も動く。試してみられよ。

体重移動と共に、あなたが努力せずとも驚くべきことが起る。自然な遠心力の作用によって、クラブヘッドは足と身体の動きに遅れ始めるのだ。これは『レイト・ヒット』とか『ラグ』と呼ばれるものだ。これは努力して得るものではない。そうなるようにお膳立てしておくだけでいいのだ。

エネルギー放出の動きはいとも単純である。充填作業が正しかったと信じ、それに反応すればよいだけである。《コントロールしたかったらコントロールすべきでない》

■フィニッシュ

フィニッシュの形はターゲットに面し、すっくと立つことだ。両足・両膝・腰・肩・上体・頭…がターゲットを向き、全ての体重(100%)は左足の上。左右の膝は自然な柔軟性を保つ。右足は左に引き寄せられ、浮き上がっている(これが全体重を左に移した証拠である)。あなたは、全てのエネルギーを放出した自由な感覚を抱いていることに気づく」

【おことわり】ポートレート画像はhttps://i2.wp.com/canadiangolfer.com/にリンクして表示させて頂いています。

(October 15, 2017)

Lee Trevino(リー・トレヴィノ)のロング・サム、ショート・サム

 

左手親指を伸ばすとフック防止、縮めるとスライス防止になる…というLee Trevino(リー・トレヴィノ)のtip。

[thumb]

'Groove Your Swing My Way'
by Lee Trevino with Dick Aultman (Atheneum/ SMI, 1976)

「ある時、私はTom Weiskopf(トム・ワイスコフ)に尋ねたことがある。何故、彼がそんなにも左手親指をシャフトに沿って伸ばすのかと。彼の答えをそのまま引用すると、『ベイベー、"long thumb"(ロング・サム、伸ばした親指、写真左)だと絶対フックしないからさ』 私は試してみた。ほんとにフックしなかった---私は100ヤードも右へ打ってしまったのだ(;_;)。

シャフトの下方に左親指を伸ばせば伸ばすほど(ロング・サム)、最後の三本の指でクラブをきつく握ることになる。それは左手によるコントロールの度合いを増し左手首をきつくする。それが右手でクラブフェースをフックの角度で投げ出させる要因である。

あなたがフックの深刻な病苦に悩んでいるのでない限り、私は極端なロング・サムを勧めたりしない。しかし、若干のロング・サムがあなたにインスタントな左手主導のコントロールを与えてくれるかも知れない。そして、そのちょっとしたエクストラのコントロールが、インパクトでクラブフェースをほんのちょっと長く正しい方向に向け続けてくれるかも知れない。

多くの右利きゴルファーはもっと左手によるコントロールが必要なので、極端な"short thumb"(ショート・サム、縮めた親指、写真右)が必要な人は比較的少ないだろう。私はショート・サムは、過度に右手ののさばりを許すことになるという気がする。個人的には、食べる時には私は右手に頼るのだが、ゴルフではそうではない」

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「体型別スウィング(テコ型の補遺)パート1」(tips_157.html)によれば、日本人の平均的体型と思われるテコ型体型ゴルファーは「左手の親指は"long thumb"(ロング・サム)でも"short thumb"(ショート・サム)でもなく、"medium-long thumb"(ミディアム・ロング・サム)にすべきである」そうです。

【おことわり】画像はgolftipsmag.com/にリンクして表示させて頂いています。

(October 15, 2017)



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