October 04, 2017

プレショット・ルーティーンの重要性

 

以下の記事の筆者Mike Reid(マイク・リード)は、PGAツァー他で九勝を挙げているプロ。

'Focused for Golf'
by Wayne Glad, PhD and Chip Beck (Human Kinetics, 1999, $16.95)

「私はプレショット・ルーティーンを固く信ずる者だ。それは安定したゲームへの鍵であると考える。あなたがボールに歩み寄るルーティーンを構築すれば、あなたの脳はいつ打つべきか知ることが出来る。あなたのボールへの接近が不規則で不安定なものだと、脳はいつ打つべき時が訪れるのかさっぱり判らず、あなたのゲームも不規則で不安定なものになってしまう。

1986年、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がthe Masters(マスターズ)の優勝へと突き進んでいたのを見た人が、私に云った。Jack Nicklausがバッグからクラブを抜いて打つまでにきっかり13秒だったと。12秒は稀で、14秒も稀であった。Jack Nicklausとは似ても似つかぬ性格のLee Trevino(リー・トレヴィノ)やLanny Watkins(ラニィ・ワトキンス)らのように、ボールに向かったらすぐ打つ派であっても、彼らのプレショット・ルーティーンも毎回同じである。彼らのルーティーンは署名のように独自なものだ。

あなたはプレショット・ルーティーンに、一打に集中するための何かを含める必要がある。それがあなたの脳に、いつ打つべきかを教える。それは毎回ほとんど同じであるべきだ。よいプレショット・ルーティーンは、コースで考えることの一つを減らしてくれる」

 

(October 04, 2017)

Moe Norman(モゥ・ノーマン)のプレショット・ルーティーン

カナダの伝説的異才Moe Norman(モゥ・ノーマン、1929〜2004)とプレイした経験のあるインストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)の証言。Moe NormanはSam Snead(サム・スニード)すら舌を巻いたほど完璧にストレートなボールを打ち、"pipeline Moe"(パイプライン・モゥ)と云うニックネームが付けられました。

【参照】「Moe Norman(モゥ・ノーマン)の半生」(tips_85.html)

'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)

「私はトーナメントのラウンドで、かつてないボール・ストライカーとして有名だったカナダのプロMoe Norman(モゥ・ノーマン)と数え切れないほど一緒にプレイしたことがある。それは70年代だったが、彼は依然として絶頂期であった。

彼と彼のゲームには【編註:世に膾炙しているより】もっと普通でない側面があった。Moe Normanの偉大なゲームについてこれまで読んだことのないものの一つは、彼のプレショット・ルーティーンについてである。彼にそんなものはないのだ。彼は単純にボールに向かって行き、それを打つ。私の印象では、彼が視覚化に用いる時間などゼロに思えた。私がティー・グラウンドで最初に打つ番だと、急いでティーを拾わなかなければ、次に打つ彼のボールがもう宙を飛んでいるような勢いだった。彼はボールにすたすたと歩み寄り、『バーン!』もうボールは消えているのだ。

これを、私は彼の個性の異常な側面の知られざる一つとして書きとめておく次第だ。彼について考えれば考えるほど、そして私がゴルフを教えれば教えるほど、私はMoe Normanの準備の欠如についての回想に耽ってしまう。彼はどうなろうとどうでもいいかのようで、それが明らかな鍵なのだ。彼はどのスウィングでも結果について恐れたりせずに打った。彼はトーナメントにおいてでも、あたかも練習場でボールを引っ叩いているかのようにプレイしたのだ。彼は考える脳ではなく、"body mind"(身体にある心)でボールを打ったのだ。これこそが最高のパフォーマンスの至上の形であろうと考える」

 

(October 04, 2017)

Chip Beck(チップ・ベック)の「60を切った、その日」

PGAツァー・プロChip Beck(チップ・ベック)は、1991年にネヴァダ州Sunrise(サンライズ)G.C.(パー72)で開催されたLas Vegas Invitational(ラスヴェガス招待)の最終日に、13バーディ(残りは全てパー)で59を達成しました。PGAツァー史上、Al Geiburger(アル・ガイバーガー)に次ぐ二人目の快挙でした。

【編註】Al Geiburgerの59は1977年、Chip Beckが1991年。八年後の1999年にDavid Duval(デイヴィッド・デュヴァル)。その後数人が達成し、PGAツァーで現在までに八人が60を切っています。

'Fucused for Golf'
by Wayne Glad, PhD and Chip Beck (Human Kinetics, 1999, $16.95)

「私は自慢するわけじゃないが(えっと、ま、一寸その気はあるけど)、この原稿を書いている1998年夏の時点までに、PGAツァーのトーナメントにおいて私以後に59を記録した者はゼロだ。

トーナメント前の夕方、私とキャディはコースに赴いた。数人のプレイヤーが練習グリーンの周りでチッピングやパッティングをしていた。そのうちの二人が、59を記録した者への賞金【編註:100万ドル】について話していた。『見てろ』と一人が行った。『今週誰かが59を出すぜ。このコースは他より難しくない。いくつもバーディを出せるし、パー5も二打で乗せられるんだ』 その週早々、私のキャディはコースを歩いて廻り、このコースならいいスコアで廻れると云っていた。私は、彼が見事な予言者だとは知らなかった。

しかし、私は賞金のことなど深く考えず、いいラウンドをし、トーナメントの勝敗に絡むことだけを願っていた。しかし、最終日の59は、私を優勝争いの位置につけてくれた。とどのつまりは三位に終わったが、59は私に素晴らしい週を恵んでくれた。

最終日、アウトからインに移った時、コース・マーシャル(場内整理係)の一人が『ワオ、あんたは誰よりも二打少なくて、しかもインはアウトより易しいんだぜ』と云った。私は『そうかね。最高だ』と応えたが、これはちょっぴり私にプレッシャーを与えた。インで、私はいくつかバーディを得始めた。私が唯一凄いトラブルに陥ったのは、パー3で動揺した時だ。私はグリーンエッジからチップして、カップを3メートルオーヴァーし、それを沈めるにはとても難しいパットを残したのだ。私はそれを成功させなければならないことを承知していた。幸運にも、私はプレショット・ルーティーンにしがみつき、そのパットを沈めることが出来た。これは素晴らしいパーだった。

No.15でパットを沈めた時、私のスコアは50丁度であった。59を達成するには、私は次の三つのホールでバーディを射止めなくてはならなかった。

 

スポーツ専門のCATVであるESPNが最後の数ホールを記録するためにやって来た。彼らがNo.17を撮影している時、私はそこで信じられないようなバーディを得た。風が右から左に吹き、ピンはグリーンの右に切られており、距離は私の中間クラブだった。私はグリーン・エッジにボールを着地させ、土手を転がし上げ、良質のパットをする必要があった。そのショットは狙った通りに飛び、カップ近くへと弾んだ。それでもなお、私は右から左へカーヴするタフなパットをしなければならなかった。それが沈んだ時、私は驚いた。どんな時であれ、3〜4.5メートルのバーディ・パットを沈めなければならないとしたら、それはほとんど奇跡と云ってよかったからだ。

結論は最終ホールに持ち越された。私は本気になった。単にボールをフェアウェイに打つだけなのに気違いみたいになった。凄く、凄く緊張した。幸運にも、プレショット・ルーティーンが支えてくれ、私はいいティーショットを打てた。次のショットに向かった時、次のグリーンは凸凹しているので、どんな距離であれ成功の保証はないことに気づいた。だから、フェアウェイから出来る限りカップの近くに寄せる決意をした。それはまたも中間クラブの距離だった。私の目算では、8番アイアンによるバンカー越えのボールは僅かに高く上がって、カップの近くで停止する可能性がありそうだった。そのショットはうまく行った。私の目には、ボールはカップのすぐ右横に着地し急停止したように見えたが、グリーンは上り勾配だったので、確かではなかった。グリーンに上がって行った私は『おー、ワーオ!』と云った。観衆が拍手しグリーンに詰めかけている様子から、そのパットはタップインの距離かと思っていたのだが、実際には約1メートルの左から右への下りという手強いラインで、しかもその途中にはいくつか踏み跡が残っていた。それは沈めるにはタフなパットだった。

状況を認識した同伴競技者のアマチュアたちは、『おれたちは、どうしたらいい?あんたの邪魔をしたくない』と云い、自分たちのボールを拾い上げてしまった。私はグリーンの端に向かい、体勢を立て直した。私は出来る限りチャンスを活かそうと思った。それが出来るようになるまで気持ちを落ち着かせた。私に出来たのはそれが全てだった。私はうまくパットした。それはどう転ぶか不明だったが、カップの端を捉え、底へと転げ込んだ。それは右へカーヴし、カップの右側に落ちたのだ。私はとてもいいパットだと感じた。なぜなら、それはどうにでもなったからだ。もっと右へ弾んだかも知れなかったのだが、私が適切な強さで打ったのでラインを逸れなかったのだ。

思い返すと、私はどのホールでもチャンスに挑み、結果が私に味方してくれたことに気づく。それが大事なのだ。事を起してチャンスを活かす。もちろん、なおかつショットを成功させなくてはならない。この時、私は全てを成功させ、素晴らしい気分を味わったのだ」

(October 04, 2017)



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