June 28, 2017

Lee Trevino(リー・トレヴィノ)の安定打法

 

[Lee]

当市の図書館は年に一度、古い蔵書や寄付された本を格安で放出します。【私は古い本こそ大事にすべきであって、放出したりすべきではないと思っていますが】 その催しで購入した一冊がこれ。Lee Trevino(リー・トレヴィノ)と云えば冗談好きな豪放磊落な気性で知られていますから、いい加減な本ではないかと高をくくっていました。あにはからんや、詳細で明解なイラスト付きで“ツァーで最も安定したボール・ストライカー”と絶賛される彼のスウィングを、何とかして読者に伝授しようという熱意がありありと感じられる内容でした。

'Groove Your Swing My Way'
by Lee Trevino with Dick Aultman (Atheneum/ SMI, 1976)

「私のスウィングは、あなたが目にするスウィングの中で最も格好いいものではないし、オーソドックスでないのは確かである。だが、これは最も機能的なスウィングなのだ。数年前、'Golf Digest'『ゴルフダイジェスト』誌が25人のツァー・プロに、『ツァーでベストなスウィングの持ち主は誰か?』という質問をしたことがある。以下はその応えの数例だ。

『私にTrevino(トレヴィノ)のアクションを与えて欲しい。それは詩的な動きとは云えないかも知れないが、確実に役に立つのだ』—Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)

『ベストなスウィングというのは、ほぼ毎回繰り返せるものだ。現在のツァーでいえば、それはLee Trevinoのスウィングだ』—George Archer(ジョージ・アーチャー)

『Trevinoは凄く格好いいように見えないが、彼は毎回同じことを達成出来るいいスウィングの持ち主だ。それこそがゴルフの神髄である』—Sam Snead(サム・スニード)

『最多優勝者の二人Jack NicklausとLee Trevinoのどちらか一人と云われたら、私はTrevinoを選ぶ。彼はツァーで最も安定したボール・ストライカーだ。彼はヒッティング・ゾーンで毎回デッドにスクウェアに打つ』—Homero Blancas(オメロ・ブランカス)

スタンダードなスウィングだと、上手なゴルファーでさえヘッドを長く飛行線上を動かすのは難しい(最高の場合で2〜3センチだろう。私のスウィングがほぼ常に正確なのは、他の誰よりも長く飛行線上にクラブヘッドを保ち続けるからだ。その長さは他の人より僅か数センチ長いだけかも知れないが、これがとてつもない差を生み出す。スタンダード・スウィングでのボールとのコンタクトは、スウィング弧の僅か一点である。ボールは、その一点においてクラブフェースが向いている方向に飛ぶ。熟練したゴルファーはその一点でフェースをうまくスクウェアに出来るだろうが、彼らはしょっちゅう練習し、妻や子供や仕事など全てを無視してその技を獲得する。週に一度や二度ラウンドするだけの大多数のゴルファーは、(短いショットとパットを除き)ターゲットライン上でクラブヘッドを動かすことなど出来ない。五人のうち少なくとも四人は、インパクトで飛行線を横切るようにクラブヘッドを動かす。

【編註】以下の技法を真似するのであれば全部まとめて実行すべきものであり、どれか一つ二つを伝統的スウィングに応用すべきものではないと思われます。

私の方法の主な要素は四つある。

1) 飛行線の左に身体を揃える

両足、腰、方など全てをターゲットの左に揃える。【伝統的スウィングでは、飛行線に平行に身体を揃える】フル・ターンのバックスウィングをする通常のショットの全てで、私は30〜40度ほど身体をオープンに構える。

【編註】アライメント(角度)とクラブによる狙い方(角度)については、この項の後半を御覧下さい。

2) クラブを飛行線の外側にテイクアウェイする

私は飛行線の約7センチ前後アウトサイドにクラブヘッドを引く。その後は伝統的スウィングと同じように、クラブを持ち上げつつ普通に肩と腰をフルに捻転する。多くのゴルファーのダウンスウィングは、テイクアウェイの動きに対応するので、アウトサイドのテイクアウェイ軌道は重要なのだ。

3) 膝と腰の横移動(スライド)でダウンスウィングを始める

ダウンスウィングの最初の動きは左腰と左脚が、文字通り左にスライドすることだ。実際には横移動しながら左腰と左脚は回転もするのだが、その動きは横移動の感覚を抱くべきだ。

これを実行するには、右足の内側から左足の拇指球の外側へと体重を移動させる。この時、頭を腰と一緒にスライドさせないこと(脚と腰は肩の下でスライドすると考えれるように)。この横へのスライドがインサイドからボールに向かう軌道を約束してくれる。

4) インパクト後、左脇を開けよ

インパクト後もクラブヘッドを飛行線上で少しでも長く動かし続けるには、ボールを打ち抜きつつ左腕を身体の左から離さなければならない。これが正しく行われれば、右肩は身体の周りを廻るのではなく、下方に位置するのを感じる筈だ。クラブヘッドが飛行線上に留まる長さがほんの僅か伸びるだけでも、ボールが目標にスタートするチャンスは増大する筈だ。

 

あなたが私のプレイ【編註:あるいはヴィデオ】を見れば、ダウンスウィングからフォロースルー初期にかけて、私の右肩が顎の下に深く沈むことに気づいたかも知れない。私は多くのゴルファーより右肩を極端にスウィングする。それはダウンスウィングの横移動と、インパクト後の左腕の飛行線への伸張が原因である。私はこの右肩の極端な動きを意識的にやれと云うつもりはない。あなたが、腰のスライドと左腕の伸張を実行し、しかも頭をちゃんと静止させ続ければ、この右肩の回転は結果として起るものなのだ。

▼アライメント(角度)と狙い方(角度)の組み合わせ

基本はアライメント(身体の向き)30度左で、狙い方(クラブフェースの向き)も30度左である。これでスライスやフックが出る場合には、次のように角度を変えてみる。

・スライス防止

a) アライメント20度、狙い方30度  スライスが出るのはアウトサイド・インでボールに向かうスウィングにより、ボールに左から右へのサイド・スピンを与えるからだ。アライメントの左向きを減らせば、クラブはインサイドからインパクトに向かうようになる。

b) アライメント30度、狙い方20度  クラブフェースの左への狙い方を減らすことで、ボールを左に打つ恐れを少なく出来る。これが、インパクトであなたの手首を自由に右から左へ回転させる作用を生む。このエクストラの手首の回転がスライスを防止する。

・フック防止

a) アライメント30度、狙い方40度  フックを防ぐためにさらに左を狙うというのは奇妙に聞こえるだろうが、左を狙えば手首がクラブフェースを左へ廻すことを本能的に阻むことになる。この手首の回転がフックの主たる要因である。

b) アライメント40度、狙い方30度  あなたのフックの原因が過度にインサイドからボールに向かうことであれば、アライメントの左向きの度を増やせばノーマルになる。このノーマルなクラブヘッドの動きが、フックの原因である手首の左回転を抑制する」

(june 28, 2017)

Lee Trevino(リー・トレヴィノ)のスウィング分析

この記事の筆者Dick Aultman(ディック・オールトマン)は、Lee Trevino(リー・トレヴィノ)の技術本'Groove Your Swing My Way'(1976)の共著者でもあります。こちらの本はその一年後の出版ですが、多分同じ時期に執筆が進行していたものと思われます。

[Methods]

'The Method of Golf's Masters'
by Dick Aultman & Ken Bowden (The Lyons Press, 1975, $19.95)

「Lee Trevinoのメソッドは、伝統的スウィングの観点からすれば混乱の極と云える。

彼はターゲットの遥か左にアライメントし、飛行線の外側にテイクアウェイし、トップで左手首を内側に折ってクラブフェースを極度にクローズにし、インパクト・ゾーンで普通ならスライスとなるクラブヘッドを引き摺る動きをする。このようなオープンなアドレスだと、プルを防ぐためにダウンスウィングで飛行線のインサイドからボールに向かわねばならないし、恐るべきプル・フックを防ぐために両脚と左手・左腕を最高のコントロールで左へ引っ張らねばならない。

上のようなスウィングで、Lee Trevinoがターゲットに毎回真っ直ぐに飛ばせるのは何故か?彼の一心不乱の練習【註】を別にすれば、それは『劇的な帳尻合わせ』によるものと云えよう。全てのスウィング要素が極端であるために、クラブヘッドがどの時点でどこで何をしているか、彼にとって感知し易いのだ。だから、異常を発見し易くコントロールもし易い。

【編註】Lee Trevinoは、プロ入りする前Texas(テキサス州)のある打ちっ放しでゴルフを教えていた。彼の日課は午前に18ホール廻り、練習場で1,000発のボールを打つことだった。最初の離婚の原因は、彼があまりにもゴルフに熱中したためであった。

Lee Trevinoのスウィングは、その開始から極端に強い左手によるコントロールを必要とする。それ無しだとテイクアウェイで右手がクラブを引っ張り上げてしまうだろうし、トップでクラブシャフトを正しい向きに揃えられない。また、それ無しだとインパクト前に右手によってクラブヘッドはクローズ・フェースで飛行線に近づくことになる。

彼のスウィングには左手主導だけでなく、強靭でしなやかに速く動く脚と優れたリズム感覚も必要だ。彼はバックスウィングとダウンスウィングとの間に、両脚が前方への動きをリードするに充分な時間を与えるべく、一定のリズミカルなビート(拍子)でスウィングする」

(June 28, 2017)



?[Anim

 Copyright © 1998−2017   Eiji Takano    高野英二
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.