June 25, 2017

常識外れのパッティング

 

ある日のラウンドで、以前はパット名人だった(現在はそうでもない)老人から助言を貰いました。私はインサイドに引き、ストレートに出すストロークをしている、それがミスの原因だ…と云うのです。下手くそな男から云われたのなら無視するところですが、相手が相手だけにショックでした。

Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)はインサイドに引き、ストレートに出すストロークをしているので、私のストロークも100%悪いとは云えません。しかし、私は、ストレートに引き、ストレートに出すストロークをしているつもりだったので、ショックを受けました。勿論、私の最近のパッティングがベストの状態でなかったこともありましたが…。

室内で2メートルのパットをするのを、ターゲットライン後方からデジタル・ヴィデオ・カメラで撮影してみました。ストロークは問題なく、ボールは真っ直ぐターゲットに向かいます。一点、気になったのは、アドレスでヒールが浮いていたこと。これは私が手首をロックするために、両手をかなり持ち上げているせいなので、当然と云えば当然なのです。しかし、ヴィデオで見るまでは、もっと微かな角度だろうと思っていました。微かどころか、かなり上がっていたのです。

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両手を上げるアドレスは、手首を殺すための方策なので私にとっては不可欠です。両手を上げ、なおかつヒールを浮かしたくないとなると、かなりボールから離れて立たないといけません。普通、パットではボールは目の下か、あるいは目の内側と教えられます。目の外側というのはあまり聞きませんが、Fred Couples(フレッド・カプルズ)は少なくとも5〜10センチは目の外側にボールを置いてアドレスしていました(1993年にメイジャー優勝した当時)。私が両手を上げ、ヒールを浮かさないようにアドレスすると、ボールは約28センチも目の外になります。

なぜ、ボールを目の下に置かねばならないかですが、首を廻してラインに沿って目を滑らせた時、ターゲットが正確に確認出来るから…というのが理由の一つ。私の場合、アドレス前にボールに描いた線をターゲット(カップあるいは中間目標)に揃えてあるので、方向はもう決まっています。ラインを見るためにボールを目の下にする必要はありません。もう一つの理由は、振り子式にストロークするなら、両手を肩から自然に垂らすのが妥当で、それだとボールは目の下になる…ということでしょう。しかし、私の2メートルのテストでは、とても不思議ですがそのどちらも無視出来るのです。では、長いパットだとどうなるのか、その成否が気になりました。

翌日、練習グリーンで10メートルのパットを同じようにヴィデオ撮影。ボールから離れたアドレスで打ってみました。構えた後、カップを見ると、肩の線はカップの1メートル近く左を向いている感じ。「をいをい、いくら何でもこれは異常なんでないの?」と思ったほど。しかし、打ったボールは間違いなくカップ近辺に向かいます。私レヴェルの10メートルのラグ・パットとしては悪くありません。よく使われる二本のレールの比喩:ターゲットラインと身体の向きが平行であれば問題無いわけです。

ヴィデオに撮りながら30発近く打ってみました。両手を揃えて上げたり、左手だけ上げたり、上げる角度も変えてみたり、色々テスト。驚いたことに、三回も10メートルのパットに成功しました。つまり、大筋において、私の試みは可能性を秘めていると云えそうでした。実際、この練習直後の本番のNo.1で、8メートルのパー・パットを沈めることが出来ました。

帰宅してヴィデオをチェックすると、伸ばした両手とパター・シャフトが一線になっているスタイル【左上の写真】の時に、パットに成功していました。パターヘッドが真っ直ぐライン後方に引かれて、結果を見る前に「あ、これはいいストロークだ!」と思うと大当り。手首を折らず、手元を凹ませないメソッドの効果のようです。写真の白線は目に垂直な線、ボールは赤矢印の幅だけ目の外です。約28センチも離れています。手前の黒い物体はヴィデオ・カメラ。

鏡でどの程度両手を上げるべきか、研究しました。「3(スリー)ジョイント・ストローク」式に右親指と手首の中間部分が「ビビッ」と緊張するまで上げると、パターと両手は一直線ではなく、かなり弓なりになってしまいます。で、両手を基準にすることを断念。そして、両手・腕を伸ばすと綺麗に腕・手とパター・シャフトが一直線になり、ついでに手首までロックされることが判りました。つまり、目の下からボールを何センチ離すかではなく、《パターのヒールを上げずに左肘をロック出来る(蝶番を動かなくする)位置が、適正なボールと身体の距離を決定する》と考えるべきだったのです。

以上のポイントを踏まえてアドレスしたら【註】、仕上げは右肩が前に出ないバックストロークをすること。右肩が前に出ると円弧型ストロークになってしまい、ボールは真っ直ぐ転がりません。

【註】アドレスする際、右脚が左より長い私は左膝を少し内側に押し込みます。それによって脚の長さの違いを相殺し、身体を水平にします。ボールを真っ直ぐ転がすには、私がこの調整が必要なのです。【参考:「脚の長さの違いは、両手の向きに影響する」(tips_169.html)】

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ボールから離れて立つと、否応なく円弧型ストロークになる筈ですが、ヴィデオでは私は右肩を前に出さず、終端でパターヘッドを少し上げる軌道にしてストレート・ストロークを保っています。本来なら、終始低く長くストロークしたいところですが、手・腕の長さに限界があるので、距離が10メートルともなるとパターヘッドを上げざるを得ません。(写真はカメラ位置が地面すれすれなので、パターヘッドの位置はかなり上方に誇張されています)

ヴィデオ・チェック直後のラウンドで、おずおずとこの方式を実行してみて、8メートルのスライス・ラインを成功させて、バーディ。その次のラウンドでは6メートルと4メートルをねじ込んで、二つのバーディ。そのまた次のラウンドでは7メートル(上りなので実質8メートル)を沈めてバーディ。この成果は、これまでの私の過去のいくつかのパッティング・スタイルの中でも優秀な部類です。

結論として云えるのは、
a) パター・シャフトと両手・腕を真っ直ぐにすると正確にストローク出来る。
b) パターのヒールやトゥは上げない方がよい。【ただし、ヒールを下げ過ぎるとダフってショートしがちになる】
c) ボールから離れて立っても問題無い。
…の三点です。(a)と(c)は、イップス対策で変わったグリップを多数発明したBernhard Langer(ベルンハード・ランガー)さえやらなかったほど常識外れですが、私には役に立っています。アメリカのゴルファーたちは"Whatever works."(役に立ちゃ何だっていいのさ)と云いますが、まさにその心境。

私が受けた助言は、私がたまたまインサイドに引いたミスを目撃された直後だったようで、いわば見当違いのお節介だったわけです。しかし、それが私のヴィデオ・チェックに結びつき、自信を持ってストローク出来るポスチャーを確立させてくれたのですから、感謝すべきお節介でした。

(june 25, 2017)

パットの方向制御を向上させるポスチャー

次のGolfTec(ゴルフ・テック)の記事は、私の「常識外れのパッティング」(上の記事)がいかに常識外れであるかを非難する教科書的メソッド。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「身体の右脇を鏡に映しながらアドレスし、次の諸点をチェックせよ。

・左右の前腕を平行に

 あなたの右前腕は左前腕を覆い隠すべきで、こうすればパター・シャフトと前腕が一直線になる。このポスチャーならラインに正しくパターヘッドを動かせる可能性が高い。

・目をラインの近くに

 多くのインストラクションが『目はラインの近くで、ラインと平行にせよ』と指示するが、さほど精密である必要はない。目がラインに近ければよい。あなたがあまりにボールから離れたり直立したりすると、ストロークに過度の円弧を作り出し、安定した打撃を与える能力を制限してしまう。いかなる場合でも、両目を地面に水平にし、ラインに平行にすることを第一義とせよ。

・両腕を中心に

 手・腕ではなく、身体でストロークをコントロールすれば、中央でボールとコンタクトし、選んだラインにボールを転がし始められるチャンスを増大させる。手・腕のアクションを制限するには、身体と両腕を一つのユニット(単位、塊、チーム)として動かす。もし、アドレスであなたの両腕が身体からあまりにも離れていると、ストロークの間、パターヘッドをオフラインに操作する余地を生み出す。逆に、両腕を身体にくっつけるのも、同じように害がある。これは身体を揺り動かす動きを煽り、身体を動かさずにインパクト・ゾーンで両手がパターヘッドを動かすに必要な空間をゼロにしてしまう。

 

腕の位置を固定するベストの方法は、両方の上腕三頭筋【註】の上半分だけを上体に軽くつけることだ。この程度に両腕を身体に接触させることは、自由さと腕のコントロールを完全に調和させ、肩でストロークさせることを促す」

【編註】力瘤(こぶ)の出る方が上腕二頭筋(肘を曲げる時に使う筋肉)で、その裏側にあるのが肘を伸ばす時に使う上腕三頭筋。

(June 25, 2017)

楽なパットというものは存在しない

 

最近のいくつかのラウンドで、短いパットを何回かミスしました。どれも「これは簡単。バーディ(あるいはパー)は頂きだ」と思えたパットでした。顧みれば、ある時はボールを見送って(ルックアップ)パターフェースをオープンにしたせいです。しかし、ちゃんと頭を残してストロークしたのに失敗したケースもあります。それらの中には、カップの周りに私が読み切れなかったブレイクがあったものもあるでしょう。しかし、その多くは、私のメンタルおよびストローク両面に落ち度があったのだと思われました。

反省点その一。短い距離、簡単なラインということで、いつもより時間をかけずにパットした。アライメント、スタンス、ポスチャー等を、長いパットのようにじっくり確認・実行するのを怠った。そのパットを舐めていたのです。

反省点その二。きちんとボールをパターのスウィートスポットで捉える努力をしなかった。目の焦点が虚ろだった。これもパットを舐めていたせいです。その結果、ボールはへろへろと転がり、狙ったところを逸れてしまった。

ある日、同じチームの一人が、パー3で長いバーディ・パットに挑みました。それはギミー(OK)の距離より僅かに長い70センチほどショート。彼は直感でパットするタイプで、私のようにラインを横から見たり、しゃがんで見たり、ボールに描いた線をラインに揃えたりしません。ボールの後ろに立ってブレイクを判断するだけで、アドレスしたらすぐに打ちます。この時の70センチのパットも、あたかもタップインさせるかのような気楽さでストローク。ボールは僅かにカップを逸れ、ボギーに。彼は自分のミスを罵りました。

次のホール(パー4)。私は三打目をカップから1メートルに寄せました。他のチーム・メンバーはみなボギーで、私のパー・パットに期待しています。私は、下りのスライス・ラインだが難しくはない、パーは頂き…と思いながらパット。失敗orz。この時の私も、そのパットを侮っていたのです。そして、次の教訓を得ました。

教訓:"There's no easy putt in golf except gimme."(楽なパットというものは存在しない、ギミー以外は)

この文句を例の70センチのパット失敗の仲間に聞かせると、「あはは!確かにそうだ。簡単なのはギミーだけだ」と笑っていました。

今後、短いパットに向かう時、必ずこのフレーズを心の中で唱えようと思います。徒に緊張するためではなく、きちんとパットするために。駅員や運転士の確認喚呼のように「アライメントよし。スタンスよし。ポスチャーよし」と喚呼すべきなのです。深呼吸も併用すれば逸る心を静めることが出来、パットも沈めることが期待出来るでしょう。

 

(June 25, 2017)



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