June 07, 2017

Mr. X(ミスターX)の トップ

Mr. X(ミスターX)のスウィング理論、トップ篇。

[beam]

'Golf Lessons with Mr. X'
by Mr. X and 'Golf Monthly' (Pelham Books, 1968, $4.95)

「こと一般ゴルファーに限って云えば、危険地帯はスウィングのトップであろう。この時点でプレイヤーの身体に対するクラブの片持ち梁(ばり)作用の引っ張る力が最大になり、バランスを壊しかねない恐れがあるからだ。【註】

【編註】「片持ち梁」は建築用語で、建造物の重量を一端のみで支え、他方を自由にした梁のような構造(右図参照)。ここで著者は、ゴルファーがトップでクラブヘッドとシャフトの重量を手で支える状態を「片持ち梁」に喩えています。

クラブの片持ち梁作用は、静止状態でおよそ3キログラムである。この梃子の作用に勢いを加えれば、バックスウィングのスピードでは、いとも簡単に7キログラムに達する。だから、スウィングをスムーズに開始することの重要性を理解し、それをトップからダウンスウィングで逆転させるべきだ(ひったくるような、乱暴な動きでなく)。

バックスウィングで『左爪先の杭(くい)』と『右脛(すね)の柱』【註】がしっかりしていれば、クラブがトップで水平になった時の片持ち梁作用は、両膝と臀部総体の動きと拮抗する。その下半身の動きは、左腰がターゲットラインからインサイドに(斜めに)スライドし、ターゲットに真っ直ぐ向かう右腰に道を空ける。だからこれは土台を引き摺る動きであり、左腰とクラブヘッドの慣性とのせめぎあいとも云える。

【編註】著者は次のように定義しています、「脚のアクションには重要な二つのポイントがあることを私は発見した。一つは右脚(膝と足の間)で、それはバックスウィングの最中、門柱のように不動でなければならない。私はこの身体の部分を『右脛(すね)の柱』と呼ぶ。これを股の骨とか右腰を不変に保つことと考えてはいけない。もう一つは左足親指の爪先の内側の先端で地面をしっかり噛むことで、私はこれを『左爪先の杭(くい)』と呼ぶ」【「Mr. X(ミスターX)のスウィングの土台」より】

以上と異なり、ゴルファーが腕と肩の筋肉でクラブを振り下ろそうとすると、クラブの慣性に加わる腕を引っ張り下ろす力は、クラブヘッドに先行して左に動こうとする臀部総体と両膝の動きを阻害する。それどころか、この望ましくない引っ張り下ろす力は、臀部総体を静止させるか、遥かターゲットラインの右へ強制移動させるかどちらかである。これは一般ゴルファーによくある過ちであり、彼らはダウンスウィング初期に膝と腰が左へ移動して推進力を生み出すのを待ち切れないのだ。成人の初心者は物体を腕で動かすのに馴染み過ぎており、ゴルフの正しいアクションは彼らにとって自然に思えない。だから、彼らは学ばねばならない。それは家でも出来ることだ。最初は、左腕一本だけでスウィングし、後には二本の腕で振る。

正しくダウンスウィングを行えば、素早い左腰の動きが急速にスピードを生み、それは左腕とクラブシャフトの鋭い角度(レイトヒット)を確立する。クラブヘッドがプレイヤーの「測鉛線」【註】の頂点に近ければ近いほど、クラブシャフトが垂直になるまで両手の下降は速くなる。その下降はクラブヘッドに向かって外側へ流れて行き、ボールへと大幅に速度を増す。名人たちの両手と左腕で形成するコックを保っていた手は、ほぼ右の股関節の真向かいに達した瞬間に梃子(てこ)の作用を加える。成人の初心者は、この一連の動作をマスターするのが難しいようだ。しかし、正しい膝と腰のアクションを学ぶことによってマスター可能で、かなりの上達が期待出来る」

【編註】「Mr. X(ミスターX)のバランスと体重移動」(05/14)を参照。

【参考】
・「Mr. X(ミスターX)のゴルフ」(tips_167.html)
・「Mr. X(ミスターX)のポスチャー」(tips_183.html)
・「Mr. X(ミスターX)のグリップ」(05/07)
・「Mr. X(ミスターX)のスウィングの土台」(05/14)
・「Mr. X(ミスターX)のスウィング」(05/24)

 

【おことわり】片持ち梁建築の画像はhttp://img.decoratingdecorandmore.comにリンクして表示させて頂いています。

(june 07, 2017)

トップで左手首の皺をチェックせよ

著者Julius Boros(ジュリアス・ボロス)はメイジャー二勝(U.S.オープンとPGA選手権)を含め計25勝を挙げたプロ。

[wrinkles]

'How to Play Golf with an Effortless Swing'
by Julius Boros (Prentice-Hall, Inc, 1953, $4.95)

「私の両手がバックスウィングのトップで望ましい位置にあれば、左手首に皺を見ることが出来る。その皺は左親指と人差し指が形成する"V"の真下に現れる(図の印)。ここに皺が出来れば、クラブフェースは正しい位置にあり、ノーマルなダウンスウィンググはインパクトでスクウェアなクラブフェースを生み出すことが判っている。

もし皺が手首の後ろ(手の甲の下、図の×印)に現われたら、クラブフェースは地面に対して過度に垂直になる。バックスウィングのトップでこうなると、スライスになるのが普通である。

左手首の皺がバックスウィングのトップで正しい場所に現われれば、クラブシャフトは自然に左親指の上に乗り、左掌の膨らみの下半分に沿って伸びる。

以上の他に一つだけ気掛かりなのは、スウィングのトップでグリップがしっかりしているかどうかだ。私は絶対に緩ませたくない。普通、ゴルファーの左手に緩みが起き易く、これが起きるとダウンスウィングの初期にリグリップ(握り直し)しなければならず、これは時期尚早のアンコックを促し、クラブをアウトサイドに抛り出すことになる。この結果はクラブヘッド・スピードの喪失と、ボールを擦るような打撃である」

(June 07, 2017)

トップで右肘を浮かせるべきか、引きつけるべきか?

 

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)の、果てしなき議論への結論。

'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)

「この議論の対象となっているテーマに、私なりの考えを述べたい。

インストラクターのある一派は、バックスウィングのトップに近づくにつれ、両腕は身体に比較的引きつけられるべきだと云う。左腕がその位置になると、右腕は肘をほとんど下に向けて右脇に付けるべきだと主張するのだ。この、右腕と身体の一体感という理論のチェックポイントは、右脇にハンカチを挟んで、それを落とさずにフル・スウィングを完了させるというものだ。この助言はともすれば誇張して受け止められ、生徒たちは狭いバックスウィングの貧弱なパワーの捻転をする。

一方、フライング・ライト・エルボー(右肘を浮かせたスタイル)のトップは、ゴルフ理論の議論の的となっている。これはあまりにもアップライトであり、オン・プレーンのスウィングではないと繰り返し言及されている。実際には多くのプロがフライング・ライト・エルボーでプレイしており、目立つところはJm Furyk(ジム・フューリク)、Fred Couples(フレッド・カプルズ)、そしてJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)らである。

私は、クラブを持ち上げるべき完璧なプレーンは万人にとって一つだけだなどという説に同意しないし、偉大なプレイヤー数百人の研究に見解の基盤を置く。あなただって今日のPGAツァー・プロを観察すれば、容易にそれを確認出来る。あるいは偉大な二人の巨人、Ben Hogan(ベン・ホーガン)とJack Nicklausのスウィングを思い起こすだけでも事足りる。Ben Hoganのスウィングは低く、Jack Nicklausはとてもアップライトだ。要するに、似たスウィングは二つとしてなかったし、今も二つとないのだ。トップ・アマでも、プロの世界であっても。

 

Jack Nicklausは劇的に右肘を浮かし、それは批評家たちから修正すべき過ちとされた。しかし、Jack Nicklausは26歳になる前に八つのメイジャーに優勝し、大方の批難を黙らせた。彼がアップライトなスウィングの効果を証明したからだ。二度のU.S.アマ優勝を勘定に入れれば20のメイジャーに優勝したJack Nicklausは、ゴルフの専門家たちから嘗てない偉大なゴルファーとして評価されている。私のリストのナンバー・ワンもJack Nicklausである」

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記事添付の写真で筆者Jm McLeanは、「バックスウィングのトップで、右肘と身体との間に若干の隙間を作ることが好ましい」と解説しています。

私がゴルフに入門した時の教科書はJack Nicklausの本でしたから、右脇にハンカチを挟んだ練習などとは無縁でした。しかし、今考えれば、私のフライング・ライト・エルボーは、トップで左手首の角度を凸(手を掌側に折る)にしたり、凹(甲側に折る)にしたりして方向性を悪くし、上達を阻む原因となった気がします。

現在の私は低く長く大きい弧のテイクアウェイをしつつも、トップで右肘を折り畳み身体に近づけるようにしています(とは云っても、ハンカチを挟んだら落ちるほどの隙間はあります)。その右肘の動きが自然なコックを促すので、飛距離を生むパワーには事欠かず、左手首が凸凹になるのを防止してくれて方向性も良くなっています。

私は「体形別スウィング・プレーン篇」(tips_137.html)の自己診断テストで自分が「中プレーン」のゴルファーであると承知しており、自分にそぐわないアップライトなバックスウィングを必要としないせいもあります。アップライトでなければ、ことさらフライング・ライト・エルボーをする必要もないわけで。

 

(June 07, 2017)



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