July 19, 2017

Ben Hogan(ベン・ホーガン)の全英オープン余談 [Timmy]

「Ben Hogan(ベン・ホーガン)の全英オープン」(tips_172.html)で、Ben Hoganのキャディを勤めたTimmy(ティミィ)について触れましたが、彼が「一度だけBen Hoganを助けたことがある」という隠れた逸話を見つけました。

【註】図のHoganの後方でバッグに手を置いているのがTimmy。

Ben Hoganは常に"Timmy"と呼んでいましたが、彼の本名はCecil Timms(セシル・ティムズ)。彼がBen Hoganに雇われたのは、彼が以前仕事をしたことのある二人のアメリカのトップ・アマHarvie Ward(ハーヴィ・ウォード)とDick Chapman(ディック・チャップマン)の推薦があったからでした。

'Who could forget Paris or Hogan's Triple?'
by Dan Jenkins ('Golf Digest,' July 2003)

「1953年の全英オープンはスコットランドのCarnoustie(カーヌスティ)で開催された。キャディのTimmyは、全72ホールの中で一度だけBen Hoganを助けたと断言する。それは最終ラウンドのNo.10で起った。Ben Hoganは寒気と霧、小雨の中で4アンダーの68で廻って四打差で優勝する途中であった。

CarnoustieのNo.10は起伏の激しい450ヤード(パー4)で二打目はやや打ち上げとなるホールである。グリーンは、左は大口を開けているバンカー、右は大きな木と小川でガードされている。Ben Hoganは午前中の第三ラウンドのこのホールを、ドライヴァーと4番アイアンによってパーで上がっていたが、この時点で得るパーはもっと重要だった。この当時、スコアリング・システム【編註:リーダー・ボードなど】は完備していなかったが、ギャラリーの中のファンの口から、彼はRoberto De Vicenzo(ロベルト・デ・ヴィセンゾ、アルゼンチン)とタイ、多分Dai Rees(ダイ・リース、英国)とAntonio Cerdá(アントニオ・セルダ、アルゼンチン)より一打マイナスであると聞いた。この三人が、残り九ホールの対抗者であった。

いいドライヴを放った後、Ben Hoganは二打目でまた午前と同じ4番アイアンに手を伸ばした。キャディのTimmyが人生を彼の手に篭めたのはその時であった。彼は、4番アイアンを掴んでいるBen Hoganの手の上に自分の手を重ねた。そして『風が変わったっす。2番アイアンでさ』と云った。Ben Hoganは彼を睨みつけて考え込み、2番アイアンを引き抜いた。アドレスしたものの、動きを止め、再度Timmyを睨みつけて云った、『もしこれがグリーン・オーヴァーしたら、おれはこのクラブをあんたの額に埋め込むからな』

Ben Hoganは、他のショットと同じく精一杯のスウィングをした。一見、グリーンをオーヴァーさせてキャディの間違いを証明しようとするかのように。しかし、ボールはグリーンに乗りピンを3メートル越えて停止し、Ben Hoganは楽々2パットでパーを得た。

『彼は私に感謝しなかった』とTimmy。『私も彼の感謝を期待しなかった。彼は私が仕事としてすべきことをしただけだと考えたんだろうし、私の考えも同じだった』」

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初挑戦で全英オープンに優勝したBen Hoganの道程は「Ben Hogan(ベン・ホーガン)の全英オープン」(tips_172.html)を御覧下さい。

(july 19, 2017)

Ben Hogan(ベン・ホーガン)のクラブ選択

この記事の筆者Jimmy Demaret(ジミィ・デマレ、1910〜1983)はthe Masters(マスターズ)三回優勝を含め、全36勝を挙げ、後にTV番組'Shell's Wonderful World of Golf'(シェル提供・素晴らしきゴルフの世界)の司会も務めた人気プロ。Ben Hogan(ベン・ホーガン、1912〜1997)と同郷のテキサス生まれで、二人でペアを組んでチーム・プレイで何度も成功を収めました。以下の記事にはクローヴァーのライの対処法が含まれています。

[Hogan]

'My Partner, Ben Hogan'
by Jimmy Demaret (1954)

「Ben Hoganがクラブを選択するのを見守るのは、偉大なクラブ選択を見守ることだった。彼はバッグの中のどのクラブもそれがどんな働きをするか正確に知っていた。クラブ選択は、彼が完璧さを追求する多くのうちの一つの要素に過ぎなかったが、それはとりわけ私に感銘を与えるものであった。

天候と風はクラブ選択に大きな影響を与える。他にも、草の質や空気と地面の湿り気の具合も重要視しなければならない。クローヴァーを例に取ってみよう。Ben Hoganがクローヴァーに覆われた一画でプレイする際、彼が通常より二本分短めのクラブを選ぶのに気づく筈だ。その理由は、クローヴァーのライではボールは滑走(あるいはスライド)するからである。クラブがボールと接触する時、小さな葉のねっとりした性質がクラブフェースに油を塗ったように変化させ、バックスピンをかけることを不可能にする。ボールは輪を描くように宙に浮かび、ほぼコントロール不可能となる。こんな要素がクラブ選択とコース・マネジメントの要素として存在するということだ。

Ben Hoganには、彼に『慎重派』というレッテルを貼ってもいいクラブ選択法がある。アプローチ・ショットで、彼はグリーンをオーヴァーするのでなく、確実にショート目に打とうとする。彼が全英オープンに優勝したスコットランドのCarnoustie(カーヌスティ)で、全てのトラブルはグリーンの背後に待ち受けていた(アメリカでは90%のコースがそうだ)。全英オープンの間に何度もBen Hoganのキャディは4番アイアンを抜き出そうとしたが、Ben Hoganは5番アイアンを選び、僅かにショートではあるが安全な場所にボールを運んだ。そのキャディはそんなプレイをするのは間違いだと感じていたが、そう感じたのは彼が最初ではなかった。

私がBon Hoganとテキサス州のColonial C.C.(コロニアルC.C.)とプレイした時のことだ。彼のキャディは『おれはHoganよりこのコースをよく知ってるぜ』と他の連中に云った。ラウンドの最初から最後まで、そのキャディはBen Hoganに一本分長いクラブを押し付けようとしたが、Ben Hoganは常に一本分短いクラブを選んだ。
『4番ならベタピンですぜ?』と、あるホールでそのキャディが云った。
『5番でいい』Ben Hoganが答え、彼はグリーン・エッジにボールをつけた。

『別なクラブならベタピンだったのに…』とキャディが私にぶつくさ云った。『あの人はチャンピオンで、ここはあの人のホームコースだってのに、あの人は間違ったクラブ選択をしてる』
私は大笑いした。Ben Hoganは、グリーンの背後にトラブルが待っていることを熟知していた。彼は短いクラブでグリーン手前に届かせ、2パットでホールアウトしようとしていたのだ。その慎重さを間違ってるなんて誰が云えるだろう?無論、私は云わない」

(July 19, 2017)

 

クローヴァーからの脱出

 

様々な難しいライの処理法を網羅した'Scrambling Golf'(窮地脱出のゴルフ)から、クローヴァーのライについて。

'Scrambling Golf'
by George Peper (Prentice-Hall., Inc., 1977)

われわれの多くはボールがクローヴァーや生い茂った草の上に乗っている時、それが劣悪なライであると認識しない。ボールがラフの上にちょこんと座っているのに似て、とても好ましい状況に思える。だが、クローヴァーのライは(例え、それが四つ葉であったとしても)ラッキーなどというものではない。

【編註】写真のAlison Lee(アリスン・リー)は四つ葉のクローヴァーを見つけたようです。

クローヴァーのライの対処法はいくつかある。先ず第一は、『やっつけられない相手なら、そいつの仲間になってしまえ』という諺に準じて、ワン・クラブ減らし、普通のスウィングで高いフライヤーを打って、必要な距離だけ飛ばす。

二番目の選択肢は、パンチ・ショットによってフライヤー効果を減らすという方法だ。ワン・クラブ減らし、コンパクトに、手首を固くしてショットする。インパクトで手を先行させ、旗に向かってフォロースルーをする。この低いランニング・アプローチは、グリーン手前にバンカーや池がある場合には無論使えない。

三番目で最も洗練された手段は、劣悪なライから通常のショットで脱出しようとするものだ。ラフの上に座っているボールを打つように、クラブを短く持ち、ボールの天辺にクラブヘッドを揃え、右肩より左肩が高いアドレスをする。この場合のスウィングの鍵は長く低いテイクアウェイで、出来るだけ手首のコックを遅らすこと。これらの準備によって、ボールへの水平のダウンスウィングが生まれる」

 

(July 19, 2017)

クローヴァーではランニング

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf Digest'誌に四年間連載したアメコミ風カラー・イラスト満載のインストラクション'Jack Nicklaus' Lesson Tee'(ジャック・ニクラスのレッスン・ティー)の総集編より。

'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest/Tennis Inc., 1977)

【編註】写真のAlison Lee(アリスン・リー)は四つ葉のクローヴァーを見つけたようです。

「クローヴァーには注意せよ、たとえフェアウェイであろうと。クローヴァーは非常にすべすべした物質で、それがクラブフェースとボールの間に挟まると、常にバックスピンを減少させ、フライヤー・ライとなる。クローヴァーのライでは、厚く濡れたフェアウェイの芝同様、私は多くの場合通常のフル・ショットで宙に上げるギャンブルをするより、クラブを短く持ったパンチによるランニング・アプローチをする」

(July 19, 2017)



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