July 12, 2017

ダウンスウィングの研究

「正確無比なショットの秘訣」(07/09)で、《ダウンスウィングの両手が腰の高さの時、右前腕とシャフトが重なるべきだ》という説およびそれを実践しているRicky Fowler(リッキィ・ファウラー)の例を紹介しました。そのセオリーはまた、右肘がズボンの右ポケットを追い越さないという点でも共通しています。もっと沢山、こういう実例が見つけられないか…と思いました。

[cover]

手元に二冊のスウィング連続写真集があるので、その中から右図と同じダウンスウィングをしているプロを探しました。

1) 'David Leadbetter's Lessons from the Golf Greats'
by David Leadbetter with Richard Simmons (HarperCollins, 1995, $29.95)

これには25名の男女プロの連続写真が収められています。連続写真と云っても、飛行線後方と正面から一人につき8枚ずつしかありません。右の図のようなアクションを調べるには飛行線後方のアングルが必要ですが、タイミング的にカメラが捉え切れなかったり、編集者が上の位置の一駒を選択していないこともあるわけです。

ダウンスウィングの両手が腰の高さで右前腕にシャフトが重なっているのは、Laura Davies(ローラ・デイヴィス)、Ernie Els(アーニィ・エルス)、Raymond Floyd(レイモンド・フロイド)、Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)、Nick Price(ニック・プライス)、以上五名のみでした。

2) 'Lessons from Golf's Greatest Swings'
from the editors of 'Golf Digest' (NYT Magazine Group, 1996, $4.95)

この'Golf Digest'誌別冊には33名のプロの連続写真が掲載されていますが、飛行線後方からは一人につき9枚。ダウンスウィングで右前腕にシャフトが重なっているのはPaul Azinger(ポール・エイズィンガー)、Corey Pavin(コリィ・ペイヴン)、Nick Faldo(ニック・ファルド)、Nick Price(ニック・プライス)、Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)、Moe Norman(モゥ・ノーマン)、以上六名。

不思議ですが、こちらの方ではLaura Davies(ローラ・デイヴィス)とErnie Els(アーニィ・エルス)の右前腕はシャフトと重なっていません。彼らのスウィングが変わったのか、カメラのシャッター・チャンスのせいか、編集者の画像選択のせいなのかどうかは不明。

この別冊の巻頭を飾っているのはJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)で、彼自身の写真を材料に19項目にわたって「連続写真の読み方」を解説しています。《右前腕とシャフトが重なるべき》というテーマを探究している私に、彼は次のように冷水を浴びせかけます。「もし、シャフトが右腕に重なるようだと、ボールはドローかプッシュになり、逆に、シャフトが左腕に重なるようならボールはプルかフェードになる筈だ」 で、彼自身のクラブシャフトは右前腕の上(地面と45°の角度)になっています。

通常、私はJohnny Millerの云うことには耳を傾けるのですが、今度ばかりは眉に唾しました。以下の写真を御覧下さい。これら世界の精鋭たちが、みな揃いも揃ってドローかプッシュを打っているなんて信じられないからです。


Rory Mcilroy(ロリィ・マカロイ、愛蘭)

Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア、スペイン)

Tony Finau(トニィ・フィナウ、米国)

Adam Scot(アダム・スコット、豪州)

Lydia Ko(リディア・コゥ、ニュージーランド)

Emiliano Grillo(エミリアノ・グリロ、アルゼンチン)


松山英樹(日本)

Paul Casey(ポール・ケイスィ、英国)

Henrik Stenson(ヘンリク・ステンソン、スウェーデン)

Ernie Els(アーニィ・エルス、南ア)

 

手元にある他の本も調べてみました。Byron Nelson(バイロン・ネルスン)、Lee Trevino(リー・トレヴィノ)、Steve Elkington(スティーヴ・エルキントン)らが、右前腕とシャフトが重なるダウンスウィングをしていました。それぞれ単行本に掲載された写真であり、最初の二人のはスウィング分析の材料とされています。ドローやプッシュを打った写真を分析の材料にするとは思えません。

[Hogan]

'The Fundamentals of Hogan'
by David Leadbetter (Doubleday and Sleeping Bear Press, 2000, $27.50)

David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)による'Ben Hogan's Five Lessons'(邦題:モダン・ゴルフ)の解説本にレイト・ヒットの練習に関する部分があります。それはBen Hogan(ベン・ホーガン)の右図の位置から素振りをするというものですが、この位置は飛球線後方から見ればまさしく右前腕とシャフトが重なる部分です。David Leadbetterは次のように述べています。

「ダウンスウィングが始まると、右肘は落下して右腰に向う。一方、両手は胸からの距離を維持している。この感覚を養うには、ダウンスウィングの途中の、インパクトの一歩手前の状態を作る(右図)。右肘は右腰に接しているか、右腰の前にある。このポーズを数秒間キープし、ついでフィニッシュに向って"aggressive"(攻撃的、積極的)に振り抜く。これをマスル・メモリにインプットする。これがHoganが望んだ『パワーを増すためには、私は三本の右腕が欲しい』を実現する、パワー全開のためのポジションである」

【参考】「レイト・ヒットの研究・特訓篇」(tips_54.html)

(july 12, 2017)

ダウンスウィングの右肘について

 

「正確無比なショットの秘訣」(07/09)で、《ダウンスウィングで、右肘はズボンの右ポケットを越えてはならない》という説を紹介しました。「二つのプレーン」(tips_80.html)で有名なインストラクターJim Hardy(ジム・ハーディ)が、Ben Hogan(ベン・ホーガン)の右肘に関する考察を書いています。

'The Plane Truth for Golfers'
by Jim Hardy with John Andrisani (McGraw-Hill, 2005, $16.95)

「私はここで不正確なインストラクションについて指摘しておきたい。それはBen Hoganが'Ben Hogan's Five Lessons'(邦題:モダン・ゴルフ)で提起した腕に関するもので、特に右肘に関わるものだ。Ben Hoganの本は、ダウンスウィングの開始にあたって右肘が腕をリードし、右腰の前に置かれるべきだと述べている。

彼の偉大なゴルフへの道は平坦ではなかった。彼がトップクラスとなってもなお、低く飛び、絶えずつきまとうコントロール不能のフックを克服せんと、何年も練習に明け暮れた。彼はフックを手懐(てなず)けようと腐心したのだ。

彼に役立つと思われたことの一つは、股関節の上に右肘を落下させる動きであった。私は明白に、Ben Hoganが右肘を身体の前に位置させることによって、クラブを後方に置き去りにし続けられると考えたと思う。彼は、そうすればクラブフェースをターゲットラインに対してオープンにしたまま、ターゲットラインのインサイドからボールに向かうことが出来ると考えたのだ。彼は当初、その二つの要素でフックを撃滅可能だと感じたに違いない。しかしながら、彼がダウンスウィングで(かなりインサイドのスウィング軌道で)クラブフェースをオープンにすればするほど、インパクトの瞬間にクラブフェースをスクウェアにするため、両手をもの凄く返さなくてはならなくなった。インパクトの瞬間に、独立した手の動きによってクラブフェースを一定してスクウェアにすることなど、到底不可能である。それはあなたがハンデ25だろうとBen Hoganであろうと同じである。超短時間に行うべき精密な動きとしては、常軌を逸している。

[Hogan]

だが、Ben Hoganは彼のプロ生活後半になって、ダウンスウィングで徐々に右肘を後方にし、(以前のように腰の前ではなく)身体の右に向けるようになった。これはシャフトを過度にインサイドでなくクラブフェースをスクウェアにするオンプレーンに変えた。私には、これが(手で過度にクラブフェースを弄くることなく)上体の回転が両腕とクラブをインパクトで鞭のように動かせるようになった理由であろうと考える」

以下は、同書から「2プレーン・ゴルファー」の正しい腕の使い方。

「2プレーン・プレイヤーのトップで、両手は右肩の上にある。両手が下方へ動く時、両手・両肩と右肘で形成される三角形の角度を大幅に広げる。それはまるで右腰の高さにある板を空手チョップで叩き割るようなものだ。この両腕の下方へのチョップは、2プレーン・プレイヤーのダウンスウィングにおける最も重要なパワー源である。覚えておくこと:両腕をあなたの右サイドに真っ直ぐ突進させねばならない。多くのゴルファーは両腕とクラブをボールに向かって振るべきだと考える。大間違い!あなたが両手をボールに向かってスウィングすると、両腕はインサイドに充分に落下せず、過度にアウトサイドに振られてしまう。その結果は急角度のアウトサイド・インの薪割りスウィングである。

もし2プレーン・スウィングに秘訣があるとすれば、それはボールに向かって振るのでなく、両腕を切り離して(=セパレーション)身体の右サイドに落下させ、インサイドからヒットすることである」

[icon]

セパレーションについて「体型別スウィング(テコ型の補遺)パート2」(tips_157.html)には、「ダウンスウィングの最初で、クラブは(ボール方向へと前方に向かうのではなく)下降せねばならない。ということは、両手は右肩から独立して離れるということだ。われわれの用語で、これをセパレーション(分離)と呼ぶ。左腕が地面と平行になるまでに、(横幅の観点からすると)右腕はクラブヘッドを身体から引き離すように真っ直ぐになり始める。このように、左腕とシャフトで形成される90°の角度【コック】を保持しながら、クラブを下降させクラブヘッドの運動の弧を広げるのである」と書かれています。

【参考】「二つのプレーン」(tips_90.html)

(July 12, 2017)



?[Anim

 Copyright © 1998−2017   Eiji Takano    高野英二
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.