July 09, 2017

Jim McLean(ジム・マクレイン)のスロット・スウィング

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)は“Xファクター”、“Yファクター”などユニークな発見で有名ですが、この「ゴルフ・スウィングには一つのプレーンでなく、二つのプレーンが必要」とする“スロット・スウィング”も注目に値します。次項の「正確無比なショットの秘訣」と合わせてお読み下さい。

'The Slot Swing'
by Jim McLean(John Wiley & Sons, 2009, $25.95)

[Garcia]

「高いプレーンから低いプレーンにシャフトを落下させることを、私はスロット・スウィングと呼ぶ。【註】 スロット・スウィングはボールとのソリッドなコンタクト、突き刺すような弾道、選んだクラブに適切な軌道などを生み出す。スロット・スウィングはまた、最も有害なエラーである手打ちを撲滅する。

【編註】"slot"(スロット)の原義は「自販機やスロット・マシンなどのコイン投入口のような細長い小さな穴、細長い隙間 」。「スロット・スウィング」はシャフトをトップから一定の位置(スロット)に落下させることを暗示している。

長い間、ゴルファーたちはボールと肩とを結んで描かれたガラス板の絵によって誤ったイメージを植えつけられて来た。【註】 アドレス・プレーンはガラス板のプレーンよりかなり低い。バックスウィングでパワーを蓄えるには高いプレーンでなければならず、ダウンスウィングでそれを低いプレーンに戻す必要がある。アマチュアはバックスウィングのプレーンをなぞってダウンスウィングをしようとするが、これはうまくいかない。両手はボールへと同じ軌道を辿らず、トップでのプレーンのまま留まる(あるいは僅かに急角度になるだけ)。低いプレーン(=スロット)へと落下するのはクラブシャフトである。下半身の中心をターゲット方向へシフトすることによってダウンスウィングの引き金を引くと、この動きは自然に発生する。

【編註】バックスウィングのガラス板の絵が強烈なのは確かですが、Ben Hogan(ベン・ホーガン)の本には“第二のプレーン”としてダウンスウィングのガラス板の絵も掲載されています(あまり目立たないけど)。Ben Hoganも「第二のプレーンは最初のプレーンより角度が浅い(=低い)」と云っています。

スロット・スウィングには三つのタイプがある。

1) 高く上げて低く下ろすプレーン

最も一般的なスロット・スウィング。クラブをアドレスより高いプレーンで上げ、ダウンスウィング開始と同時にクラブを落下させ、シャフトをフラットに(寝せるように)する。この代表はSergio Garcia(セルジオ・ガルシア、右図)やRickie Fowler(リッキィ・ファウラー)である。これはさしたる努力抜きで実行出来るので、私の生徒たちの多くに勧めている。

2) ほぼ同一プレーン

この代表はTiger Woods(タイガー・ウッズ)。私の考えではこれはとても難しい。上げるのも下げるのも同じプレーンというのは容易く聞こえるが、これには大変な運動神経と、スウィング動作のどの位置においても完璧さが要求される。これには何年もの練習が必要である。大概のゴルファーは自分は1プレーンのスウィングをしていると思い込んでいるが、実際には異なるプレーンを用いている。

3) 低めに上げて高くから下ろすプレーン

これは(1)の反対である。この代表はSam Snead(サム・スニード)、J.B. Holmes(J.B.ホームズ)、Matt Kuchar(マット・クチャー、右の写真)らである。クラブヘッドはテイクアウェイでインサイドからフラットに(低めに)上げられ、右手と右肘を身体の背後に位置させる。ダウンスウィングの開始で両手・腕はループを描き外側に向かう。クラブヘッドは身体の前で返されるのでなく、両手を追いかける。多くのゴルファーにとって、これは古典的な自殺行為である」

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(1)を実践する方法は「正確無比なショットの秘訣」(次項)をお読み下さい。

【参考】「腰のリードで、さらなるパワー」(tips_181.html)

 

(july 09, 2017)

正確無比なショットの秘訣

 

これは上の記事の「高く上げて低く下ろすプレーン」、「二つのプレーン」(tips.80.html)における「2プレーン・ゴルファー」に役立つ秘訣です。

 

・右肘が右ポケットを越えないダウンスウィング

先ず、私が2000年に当サイトに掲載した「レイト・ヒットの研究・解明篇」(tips_37.html)という記事の一節を御覧下さい。


[Fred]

答えは只一つ。右肘は漠然と身体の右へ引きつけられるのでなく、身体の右脇の背中寄りに引きつけられなくてはならない。

右肘が背中寄りに引きつけられるかどうか、体格の割りには飛ばし屋と云われたFred Couples(フレッド・カプルズ)のヴィデオを研究してみました。これ迄語られたことがなかったレイト・ヒットの秘密が解明出来ました。私はFred Couplesのズボンのポケットに注目したのです。彼の右肘がポケットを越えるかどうか。アニメを御覧下さい。細部は放っておいて、右肘()と右ポケット()の位置関係だけに目を凝らして下さい。Fred Couplesの右肘はインパクト直前まで右ポケットを越えていません。私が「右肘は身体の右傍の背中寄りに引きつけられなくてはならない」とした推論は正しかったのです。  (May 14, 2000)

 

 

・ダウンスウィングで右肘を右ポケットに入れよ

次はインストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)が2009年に出版した本『スロット・スウィング』の中の一節。この本の骨子は、ゴルファーは高めのバックスウィング・プレーンと、低めのダンスウィング・プレーン(=スロット)の二つを持つべきだというもの。

'The Slot Swing'
by Jim McLean(John Wiley & Sons, 2009, $25.95)

「ダウンスウィングの最初の動きは、ベルトの下の出来事である。バックスウィング完了後直ちに下半身がターゲット方向に水平に動く。膝も前方に動き、体重が左足に移動する。それにつれて両肘と両前腕が落下し、下半身はさらに前方に動く。クラブシャフトはフラットになり、ゴルファーが意識することなくプレーンは低めになる。

クラブシャフトとクラブヘッドはあなたの身体の背後に落下するように感じるべきだ。その鍵となるものは、右肘を腰に近づけ、右手の下に位置させることだ。これが正しく遂行されれば、右肘がボールに向かって動くように感じる筈だ。

もしバックスウィングからダウンスウィングへの推移で焦点を当てるべき何かが必要なら、それは右肘だ。クラブを身体の背中側にし続けながら、引き締まった右肘がズボンのポケットの中に入り込もうとしているように感じること。これが遂行出来れば、ボールにインサイドからのパワフルな打撃を与えることが出来る」

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どうです?ズボンの右ポケットに着目し、右肘が右ポケットを越えないこと…とする点などそっくりです。Jim McLeanの本は私の記事掲載の九年後の出版ですから、彼が私の記事にヒントを得た可能性があります(まさかね)(^^;;。

[drop]

私は凄い秘訣を発見したわけですが、発見しっ放しでそれを実行していませんでした(;_;)。これを機に、右肘が右ポケットに向かうスウィングを再開しました。トップで両手や右肘を落下させようとするとプッシュしたりしますが、右肘を右ポケットに向かわせるスウィングは別に難しくない上、驚くほど正確な方向性が得られます。

私はスウィング速度が早くないので、これによってドライヴァーの飛距離がどう変わるかより、アイアンでのその素晴らしい方向性にうっとりさせられています。このダウンスウィングのコツは、手・腕のことを忘れて先ず下半身を動かすこと(でないとプッシュする)。上半身がその動きに追随しますが、《右肘を右ポケットに向かわせる》が念頭にあれば,自然にそれが実現し、拍手喝采もののピン傍ショットが生まれます。これと「Mr. X(ミスターX)のタイミング」(6/21)の"ONE-TWO-THREE"のリズムを併用すると鬼に金棒です。

この《下半身主導で、右肘がズボンの右ポケットを越えないスウィング》を練習ラウンドで試した日、攻めるのが難しいあるホール(パー4)で、二打目のミドル・アイアンをピンに絡めて1.5メートルに寄せられたので、呆然とし、なおかつこれが秘密兵器となることを確信しました。

続く本番の日のNo.3(パー4)。私はティー・ショットをプッシュして右の松の木に当ててしまい、残りは95ヤード(木に当たらなければサンド・ウェッジかロブ・ウェッジの距離が残るところだったのに…)。経験上、この距離だと9番アイアンを6センチほど短く持って打たねばなりません。その距離感を信じつつ《下半身主導で、右肘がズボンの右ポケットを越えないスウィング》を実行したところ、何とチップイン、イーグル!大袈裟でなく、これは驚異的正確さを実現出来るメソッドと云えそうです。

'Golf Magazine'誌編纂による'Play Like a Pro'(Time Home Entertainment In., 2013、$29.95)という本でRickie Fowler(リッキィ・ファウラー、右の写真)は、彼のダウンスウィングについて「クラブシャフトは右前腕に重なる。これが超正確なスウィングの源だ。私はこれを単純に下半身を回転させることで達成する。とっても簡単」と述べています。これは「腰のリードで、さらなるパワー」(tips_181.html)に出て来たチェック・ポイント(上図)そっくりではありませんか!同書に出て来るRory McIlroy(ロリィ・マカロイ)やJustin Rose(ジャスティン・ローズ)なども全く同じ形のダウンスウィングをしています。 三名とも、ダウンスウィングでシャフトは右前腕に重なり、右肘は右ポケットの手前に留まっています。やはり、これが正確なショットを放つ秘訣なのです。

後日、「腰の動きで飛距離を伸ばす」(tips_116.html)の「三塁方向にベルトがグイッと引っ張られるように腰を動かせ」を加味してみましたが、私がこれを実行すると慌てふためいてしまってスウィングが荒くなり、ダフったりトップしたりします。私にはもっと穏やかな、《右ポケットを追い越そうとする右肘から逃れるように腰を動かす》…程度が適切のようです。

このスウィングはレイト・ヒットも実現するため、正確なだけでなく飛距離も増します。ウェッジは別として、ミドルアイアン、ショートアイアンはいつもより5ヤード(あるいはそれ以上)遠くへ飛んでいた感じ。このメソッドを実践する限り、今後はクラブ選択を微調整せねばなりません。折角ピンにまっしぐらに飛んでも、常に5ヤードもオーヴァーするんでは勿体ないので。

【参考】「腰の動きで飛距離を伸ばす」(tips_116.html)

 

(July 09, 2017)



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