April 05, 2017

バンカー・ショットの盲点

最近のゴルフ雑誌のtipには目新しいものがなくなり、仕方なく私のゴルフ蔵書を読み直して、落ち穂拾いをしています。最近、ふと手に取った本で「ん?」と思わされた箇所がありました。そして、それは私のバンカー・ショットの盲点でした。ひょっとすると、世界中でそれを知らなかったのは私だけで、私個人のお恥ずかしい盲点なのかも知れませんが。

著者Steve Elkington(スティーヴ・エルキントン、1902〜、豪)は、PGA選手権(メイジャー)を初め、各種ツァーで17勝しているプロ。

'Five Fundamentals'
by Steve Elkington with Curt Sampson (Ballantine Books, 1998, $27.00)

「私は『ボールのどれだけ後ろの砂にクラブを打ち込むのか?』としょっちゅう問われる。距離が長ければボールの近くの砂に打ち込むべきだし、距離が短ければボールから離れた地点に打ち込む。どれだけボール後方の砂にクラブを突入させるか最も簡単でベストの方法は、飛距離とボール後方にあるクラブを持つ手の距離を合致させるることだ。言葉を替えれば、もし両手がボール後方10インチ(約25センチ)であれば、クラブはボール後方10インチの地点で砂に突入するということである。当然のことだが、長いバンカー・ショットではボールからかなり離れた地点で両手を構えたりしない」

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すぐに理解出来なかった私は、上の文章を何度も読み返しました。そして愕然としました。Steve Elkingtonは「クラブヘッド」ではなく、「両手の位置」について言及しているのです。私は、これまでバンカー・ショットでの両手の位置について深く考えたことがありませんでした。もっぱら、フェースの開き方とクラブの突入地点を凝視することで万全を期したつもりになっていました。

しかし、私は自分のバンカー・ショットが、たまにプロ裸足の妙技になるかと思うと、初心者のようにお粗末になったりするのが不思議で、常にジグソー・パズルの一片が失われている気にさせられていました。今回上の記事を読んで、「原因はこれだっ!」と直感しました。なぜ、こんなことに今まで気づかなかったのか?

私は当サイトの「バンカー・ショット」のtipを総点検してみました。バンカーtipは合計123本もあるのですが、「手の位置」について触れたものは、たった二つしかありませんでした。

・「Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)のバンカー・ショットのアドレス」(tips_149.html)

 ボールを左足内側前方にすると、それは両手をボールの手前に位置させ、シャフトを少しターゲットの反対方向に傾ける。【編註:ハンドファーストの構えでなく、ヘッドファーストの意】 多くのゴルファーがボール位置をスタンス中央にし、シャフトをターゲット方向に傾けてバンカー・ショットをする。この構えでボール手前の砂を打とうとすると、多くの場合、あまりにも手前を打つことになり、チョロするかクラブヘッドが砂で跳ね返ってホームランになる。

 

 

Butch Harmonの父親でクラブ・プロだったClaude Harmon Sr.(クロード・ハーモン一世)は、1948年のthe Masters(マスターズ)にも優勝し、特にバンカー・ショットの名人と云われた人でした。彼が息子に教えたtipだとすれば信頼出来ます。

・「グリーンサイド・バンカー・ショットの秘訣」(tips_157.html)

Ernie Els(アーニィ・エルス)のtip「両手はややボールの後方で構える」。

これだけでした。念のため'Scrambling Golf'という本のバンカー・ショットの部分を読むと、著者George Peper(ジョージ・ペパー)は、エクスプロージョン型では両手について何も触れていないのに、スプラッシュ型では「両手を後方に置いているので、エクスプロージョン型のような急角度の下降スウィングにはならない」と云っていました。両手の位置は,特にスプラッシュ型で重要なのかも知れません。

両手をボールの後方に位置させるのは、滅多に言及されず軽視されている秘訣なのかも知れません。私はボール後方10センチぐらいにクラブヘッドを構えてアドレスしていたものの、Butch Harmonが喝破しているように、シャフトをターゲット方向に傾げるゴルファーの一人でした。

ボール位置を「左足内側前方」とか「スタンス中央」に定めてアドレスした後で、その10センチ後方とか(人によって異なる)にクラブヘッドを構えてはいけないのです。これではハンドファーストになってしまい、普通のピッチングのようにボールのターゲット側でディヴォットを取るスウィングになってしまいます。バンカーではボールの後方(ターゲットの反対側)でディヴォットを取り始めなくてはなりません。ハンドファーストの構えは皇室御用達のホームラン製造法なのです。

私のピッチングのボール位置はスタンス中央です。それに準じてバンカーでは「ボールの10センチ後方」をスタンスの中央とすべく、両足を右に10センチ移動してアドレスします。こうすると、結果的にボールは左足内側前方へ移ります。しかし、これでもまだハンドファースト気味になるので、両手を僅かにターゲットの反対側に引く必要があります。これでやっとボール後方10センチがスウィング弧の最低点となり、クラブの突入地点となりました。

これにて一件落着…とはいきませんでした。かなり改善されたものの、まだ結果にムラがあるのです。絶望しかけた時に思い出したのが、「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の バンカー・ショットへの助言」(tips_175.html)でした。彼は次のように云っています。

 あなたに必要なのは、今後どんなバンカー・ショットも『スローモーション』でプレイしようと決意することだ。メンタルにも身体的にも、スウィングの最初から最後までスローモーションのテンポを維持出来れば、あなたのバンカー・ショットの進歩は間違いないと保証する。

 

この記事を紹介はしたものの、私はスローモーションのバンカー・ショットに専念したりしませんでした。しかし、今回藁にもすがる思いでスローモーションのスウィングを試しました。15ヤードのバンカー・ショットが、五個連続でワン・ピン以内の距離へ。驚きました。Jack Nicklausの言葉は決して誇大表現ではなかったのです。

 

もっとも、スローモーションな動作だけでなく、私は左肘を伸ばし、左肩をボール位置まで廻し、トップで右肘を身体に近づけ、左手首をフラットにするインパクトを心掛けたので、これら全ての相乗効果であろうと思われます。左肘を伸ばし左手首をフラットにすることは砂を取る量を適切にしてくれます。左肩を廻すことおよび右肘を身体に近づけることは、砂に負けないパワーを生成します。

さあ、これで私のバンカー・ショットが常に成功と行くでしょうか?楽観は出来ません。しかし、かなり安定するであろうとは想像しています。

(April 05, 2017)

湿った砂から寄せる

 

筆者Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ、1931〜2013)は1964年のU.S.オープンを含むPGAツァー14勝を挙げ、後年はCBS-TVのメインの解説者を長く勤めました。湿った砂でのバンカー・ショットの技法は既にいくつか掲載していますが、このKen Venturiの記事には他と異なる点が多々あるので、参考までに取り上げました。

'Ken Venturi's Stroke Savers'
by Ken Venturi with Don Wade (Contemporary Books, 1995, $14.95)

「湿った砂は重く、しかも締まっているので通常とは異なるショットが必要になる。短いが力強いスウィングで、しかもコントロールを失わないようにする。

1) クラブフェースをボールに対しスクウェアにし、砂に鋭く突入し打ち抜けるようにする。

2) バランス良く立つためスタンスを若干広めにし、スタンスをターゲットラインにスクウェアにする。  

3) 膝を柔軟にし、それを最後まで保つこと。

4) 短くフラットなバックスウィング。

5) クラブヘッドをボールの背後に打ち込み、砂をグリーンに投げ出す。

ボールは急速に飛び出し、乾いた砂より遠くに転がる。そのランを見込んでおくこと。

もし距離が40ヤード以上なら、サンドウェッジよりもピッチングウェッジを勧める。スウィングは上と同じだが、少ないロフトによってオーヴァー・スウィングをすることなく距離が稼げる」

【参考】
「湿ったバンカー、固いバンカー」(tips_76.html)
「湿ったバンカーではUスウィング」(tips_96.html)
「湿ったバンカーからの脱出」(tips_118.html)【編者推奨】
「湿った砂、二つのライ」(tips_135.html)

 

(April 05, 2017)



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