December 28, 2016


スウィングの鍵は少ないほどよい

 

Byron Nelson(バイロン・ネルスン、1912〜2006)は、ヒッコリー・シャフトの時代にキャディをしながらゴルフを覚えましたが、スティール・シャフト時代に突入した時、それを使いこなした最初の人となったことから『モダン・ゴルフの祖』と呼ばれています。彼は1945年にPGAツァー11連勝、年間計18勝を挙げるという記録を樹立し、この記録は今も破られていません。以下の記事は名人Byron Nelsonのスウィング動作に関する助言。

ここで「スウィングの鍵」とは、スウィングの際に守ろうとする遵守事項"swing keys"のことで、"swing thoughts"と呼ぶ人もいます。

[Byron]

'Shape Your Swing The Modern Way'
by Byron Nelson with Larry Dennis (Golf Digest, 1976)

「私のゴルフ人生の初期には、スウィング動作について多くのことを考えた。クラブをターゲットラインに沿って引くべきか?バックスウィングで両手をどれだけ高く上げるべきか。どのようにダウンスウィングを始めるべきか。これらは、ヒッコリー・シャフトからスティール・シャフトに移行するスウィングの大変更に伴うものであった。しかし、多くのゴルファーにはそのような変更は絶対ない筈だ。

1937年以降私のキャリアの最後まで、私はスウィングする際に考えることはしなかった。私はこの時期に用いたスタイルを確立していたからだ。スウィングはかなりオートマティックでエフォートレスになっていた。私は心にターゲットを抱き、バックスウィングでボールからクラブを引き、ダウンスウィングで戻したいラインを視覚化する。それが私のスウィングの引き金を引く想念である。あなたには他の想念があるだろうし、それはバックスウィングとダウンスウィング、それぞれで計二つかも知れない。そうした想念はスウィングの前に出来る限り潜在意識に手順を覚え込ませておくべきである(心で意図的に順を追って遂行するのでなく、本能的に身体が動くように)。

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)が次のように云った時、全く正鵠を射ていた。すなわち、『スウィングの間に三つのことを考えていると、プレイはお粗末だった。二つのことを考えているとパー・プレイのチャンスがあった。たった一つのことだけ考えている時はトーナメントに優勝出来た』

あなたがそんな風にプレイ出来れば、スウィングについて一手、一手、順に考えなければならない人よりずっといい結果が得られるだろう。それが、ゴルファーが練習する理由であり、ショットの遂行について考えなくてもいい境地に到達するためである。あなたは自分のスウィングに充分な自信をつけ、完全に信じられるようにすべきである。それを達成する唯一の途は、充分な数のいいショットを、意識的に分析せずとも打つことが出来るまで練習することだ。

いったんそのような自信が(潜在意識が遂行するスウィングによって)構築出来たら、あなたが考えるべきことはショットそのものと、そのために何が必要であるかだ。どこへ着地させるか?高く打つか、低くか?フェードかドローか?こうしたオートマティックなスウィングをするために自信を構築するのが簡単だというつもりはない。しかし、その域に達するために懸命になるのは意味があることだ。なぜなら、それこそがいいゴルファーになるために必要なものだからだ」

(December 28, 2016)

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のスコア・メーキングの秘訣

'Astonishing but True Golf Facts'
by Allan Zullo (Andrews McMeel Publishing, 2002)

「1930年、偉大なBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の絶頂期、彼は次のように語った、『ゴルフ・コースで不注意な一打を未然に防げるようになるまで、私の成功はおぼつかなかった。四年間の五つの選手権のほとんどの勝利に貢献した小さなことは、単純に1ラウンドにつき一打節約するということによって、不注意な、あるいは馬鹿げたミスを免れるというものだった』」

(December 28, 2016)

悟り(第二弾)

 

第一弾は「私はもうこれ以上上達しないであろう」というものでした。【参照 : 「悟り」tips_176.html】悲しいかな、その正しさはその後のラウンドで証明されています(;_;)。

最近悟ったのは、われわれは完璧なスウィングを追い求める余り、スウィング理論にがんじがらめにされ、錯乱状態になっているのではなかろうか?ということです。それを悟ったのは、ゴルフと日本人の語学習得に共通項があるような気がしたからでした。

日本には小学校、中学校、高校、そして大学にすらネイティヴ・スピーカーがゼロに近いせいで、英会話の授業はなく、英文解釈、英文法、英作文だけをみっちり教えられます。高校入試、大学入試にもそれらが重視されるため、ますます読み書きと文法の勉強を強いられます。

カミさんの友達のジョージア州に住むアメリカ人で、以前日本で英会話学校の講師をしていた女性がいます。日本人留学生とアメリカ人との交流の場で、この元講師はいつも苛々させられるとこぼしていました。アメリカ人の質問に、日本人留学生たちはすぐには答えず沈黙しているのだそうです。元講師は"Say something! Say something!"(何か云いなさい!何でもいいから云いなさい!)とハッパをかけなくてはならないとか。アメリカでは、何も云わないのは意見がない、即ち低能であるとみなされるのだ…と説明してくれました。

私には日本人留学生の態度がよく解ります。彼(あるいは彼女)は頭の中で英作文をし、その文が文法的に正しいかどうか秘かにチェックしているのです。「これでよし」となって初めて口を開くのです。しかし、私の経験から云うと、もうその頃にはグループの話題はとっくに別なものに移っていて、いまさら答えても場違いなタイミングとなっています。仕方なく日本人留学生は沈黙を続けるしかない。日本人留学生は、会話を優先させない日本の英語教育の犠牲者なのです。

今は変わったでしょうが、中国から全世界に商売に飛び出して行った昔の華僑たちは「通じりゃいいんだ」という会話をしました。彼らは文法なんか教わっていませんから、単語を並べるだけ。食っていかなきゃならないので真剣です。「これ買うよろし。これ真好(Very good)。低廉低廉(安い安い)。あなた奥さん完全幸福。さ、買うよろしね!」てな調子。

 

われわれはゴルフも,日本人留学生のように文法に忠実に実行しようとします。体重よし、グリップよし、アライメントよし、左腕を伸ばすんだ!スウェイするなよ!ターゲットに背中を向ける!よし、行け!どっかーんっ!

言語というものは「初めに言葉ありき」であって、「初めに文法ありき」ではありません。みんなが喋っている言語を体系化したものが文法に過ぎません。それなのに、日本人は英文法でがんじがらめにされている。ゴルフも、羊飼いがモグラの穴に石ころを入れるという「初めにゲームありき」でした。ゴルフ理論は、上手い人がやっていることを体系化したものに過ぎません。例えば、Tom Morris(トム・モリス)親子とかJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)などの技法。ゴルフ場は遠いし料金が高いせいもあって(←ネイティヴ・スピーカーと会話する機会が少ないことに類似)、日本人は理論(=英文法)の研究に余念がなく、練習だけに精を出す。

ツァー・プロTom Kite(トム・カイト)は「パットのタッチを身につけよ」という記事で、「練習道具は完璧なストロークを習得する助けにはなるだろうが、活き活きしたパットをするタッチが身につくわけではない」と断言しています。文法的に完全な英文を作り上げたとしても、現実の場面で即座に発言出来なければ活き活きとした会話に参加出来ないのと同じことです。

私の住んでいる町には、独立したゴルフ練習場(打ちっ放し)というものがありません(昔あったけど、つぶれた)。四つあるゴルフ場はそれぞれ練習場を備えていますが、グリーン・フィーに較べて練習ボール代が高い。従って、大人も子供もいきなりコースに出て行くというケースが多くなります。云ってみれば、文法を習わずに外国語を喋る華僑のようなもの。私の知っているアメリカ人で、この方式によって二年ぐらいの間にめきめき上達した男がいました。日本のゴルフの反対です。

われわれも文法(理論)に縛られない自由闊達なゴルフをすべきではないでしょうか。本能的に球を打つ。見てくれが悪くたっていい、上がってなんぼなのですから。

(December 28, 2016)



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