【詳細4】

[Bobby]

検事補Bobby Delaughter(ボビィ・デローター)は、この裁判に関与したせいで妻に去られていました。妻は人種差別主義者の判事の娘で、夫が黒人の側に立って白人を告発することに耐えられなかったのです。彼女自身もともかく、親元、親戚、友人、社交界から白い目で見られることにも耐えられなかったようです。

数年後、まだ調査の途中Bobby Delaughterは看護婦Peggy(ペギィ)と知り合い、やがて結婚します。Bobby Delaughterは丁度亡くなった時のMedger Eversと似た年齢で、前妻との間にもうけた子供の数と性も同じでした。彼は調査や彼の立場に迷いが生じると、無人となったEvers家のカーポートを見に行き、家族の前で夫であり父である男性の背中に向けて弾丸を発射した犯人への憎悪を確かめ、次ぎなる進展を誓ったそうです。

裁判は検事側の勝利に終わり、検事Ed Peters(エド・ピータース)と揃っての記者会見も済みました。Bobby Delaughterが検事局で家族の笑顔に囲まれていると、同僚の女性が「Mrs. Myrlie Eversはいま記者会見中ですが、あなたに会いたいので帰らないで待っていてほしいとのことです」と伝えて来ました。

Bobby Delaughterは妻Peggyとしばらく待っていました。Myrlie Eversはこの瞬間を長い間待っていたわけだから、彼女を急がせたりは出来ません。しかし、エモーショナルなローラー・コースターに乗っていたわけで、Bobby Delaughterの疲れは重く、とても待っていられない状態でした。「ジャクスンをお発ちになる前に、必ず伺います」と伝言して、二人が一階の出口へ向かった時、飛び出して来たMyrlie Eversと出会いました。

「Myrlie Eversはそれまで一度も見せたことのない大きな笑顔を見せ、頬には涙が流れていた。彼女は母親がやるように両手で私を引き寄せ、私は彼女の震えを感じ取った。

『ありがとう、Bobby。私と、私の家族、Medgarのためにしてくれたことに感謝します。Medgarもこれで安らかに眠れるわ』お返しの抱擁をすると同時に、私の目にも涙が溢れて来た。Mrs. EversはPeggyに向き直り、『Mrs. Delaughter、許して頂戴ね。でも、私はこの男性を愛し始めてしまったの、私の息子たちの一人のように。彼の傍にいて彼をサポートしてくれたことに感謝します。信じて。私はそれがどんなに大変なことか知っているの。どう云ったらいいかしら。私たち、彼を愛してるのよ』『私もです、Miz Myrlie、私もです』とPeggyが応じた」

from 'Never Too Late'
by Bobby Delaughter (Scribner, 2001, $27.00)

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