私はこの事件に関係した三人が自ら執筆した本を読むことが出来ました。
1) 生徒だったMelba Pattillo(メルバ・パティロ)の本
2) NAACP代表で生徒と家族を支えたDaisy Bates(デイジィ・ベイツ)の本
3) セントラル・ハイの教頭(全女生徒の責任者)だったElizabeth Huckaby(エリザベス・ハッカビィ)の本。
最初の二冊は黒人女性によるもので、Elizabeth Huckabyだけ白人女性です。上の二人の本によれば、Elizabeth Huckabyはあまり黒人生徒の側に立った行動をしなかったようになっていますが、実際には彼女は学校の人種統合に賛成する立場で、黒人生徒たちの庇護に尽くし、人種差別主義者の生徒とその家族とやりあったことも再三ではなかったようです。彼女の夫は人種差別主義者の攻撃を予期して、散弾銃に新しい弾丸をこめて待機した時期もあったそうです。これはElizabeth Huckabyが学校の人種統合に貢献した証拠でしょう。
教頭Elizabeth Huckabyが冷静に記述したMinnijean Brown(ミニジーン・ブラウン)のプロフィールは、激し易く、前後の見境無く反撃をする傾向があるというものです。食堂での食べ物のぶっかけっこ以前に、彼女と男女白人生徒たちとの罵り合いは二度や三度ではなかったと書かれています。Minnijean Brownは歌が得意で、校内の催しで歌いたがっていましたが、常に正式に参加申し込みをせず、締め切りを過ぎてからElizabeth Huckabyのもとへ「出られないだろうか?」と泣きついて来たそうです。わがままに育ったんでしょうね。
そういうMinnijean Brownのマイナス要素は、黒人の筆者の本では全く触れられていません。学校側が「催しで歌うことはあいならん」と云ったように書かれています。当事者の三者三様の視点を相互参照することが出来て良かったと思っています。
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